バレット食道は必ず内視鏡で検査しないといけないのか?食道がんの発症率を推計

逆流性食道炎などの原因でできるバレット食道という状態は、食道がんが発症しやすいと言われています。しかしドイツの統計をもとに計算したところ、1cm未満のバレット食道が食道がんに進行する率は年間0.01%ほどと見られました。
◆統計データを組み合わせて推定
食道がんには扁平上皮
研究班は、ドイツの食道腺がんの統計と、バレット食道の
◆3cm未満では0.03%、1cm未満では0.01%
次の結果が得られました。
新たに診断されたT1の食道腺がんの患者1,017人のうち、573人(56%)に長セグメント、240人(24%)に短セグメント、204人(20%)に超短セグメントのバレット食道があった。
バレット食道がある人で、がんに進行する率は年間で長セグメントが0.22%、短セグメントが0.03%、超短セグメントが0.01%だった。
年間1件のがんを検出するために、長セグメントのバレット食道がある患者450人が毎年の
内視鏡 サーベイランスを受ける必要があり、短セグメントについては3,440人、12,364人の検査が必要である。
長さ3m以上のバレット食道から食道腺がんに進行する率は年間0.22%、長さ1cm以上3cm未満では年間0.03%、長さ1cm未満では0.01%と見積もられました。
1cm未満のバレット食道がある人が毎年1万人以上検査を受けることで、年間1件の食道腺がんが発見できると計算されました。1cm以上3cm未満のバレット食道がある人については、3,440人の検査で1件の食道腺がんが発見できると計算されました。
研究班はこの結果について、「1件のがんを検出するために内視鏡検査を受けなければならない患者の数の多さは、短セグメントまたは超短セグメントのバレット食道がある患者に対して内視鏡サーベイランスを行うことの価値に疑問を抱かせる」と述べています。
内視鏡検査には出血などのリスクもわずかながらあります。検査の目的とリスクのバランスを考えるうえで、検査前の情報を適切に評価することが大切です。
執筆者
Length of Barrett's oesophagus and cancer risk: implications from a large sample of patients with early oesophageal adenocarcinoma.
Gut. 2015 Jun 25 [Epub ahead of print]
[PMID: 26113177]
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