◆ビタミンDとカルシウムを補充する群とプラセボ群にランダムに分類
薬で治療中の165名のHIV感染者を、48週間ビタミンD3とカルシウムを補充する群とプラセボ群にランダムに分類しました。
ビタミンD3は、カルシウム吸収を促進し、骨量の減少を抑える働きがあります。
ビタミンD3とカルシウムを補充する効果を、骨密度、体内のビタミンDの量などで評価しました。
◆股関節と背骨の骨密度の低下を抑制できる
以下の結果が得られました。
48週の時点で、全股関節骨密度の低下の割合は、ビタミンD3とカルシウムを補充した群で、プラセボ群よりも少なかった。それぞれの中央値は-1.36%(四分位範囲[IQR]-3.43%から0.50%)、-3.22%(IQR-5.56%から-0.88%) (P = 0.004)であった。
腰椎でも類似した結果が得られた。
ビタミンD3とカルシウムを補充した群で、股関節と背骨の骨密度の低下が少なくなるという結果でした。
筆者らは、「ビタミンD3とカルシウムの補充は、エファビレンツ/エムトリシタビン/テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩の服用初期に見られる骨密度の減少を抑える。」と述べています。
ビタミンD3とカルシウムを補充することで、HIVの薬による骨密度の低下を抑制できるという結果でした。 骨密度の低下は、骨折や骨の変形につながる可能性があります。ビタミンやカルシウムでその予防ができるのであれば、HIV感染症の治療を補う方法として考えてもよいかもしれません。今後の更なる検証に期待したいです。
執筆者
Vitamin D and Calcium Attenuate Bone Loss With Antiretroviral Therapy Initiation: A Randomized Trial.
Ann Intern Med. 2015 Jun 16
[PMID: 26075752]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。