2015.07.22 | ニュース

甲状腺がんの治療で大量の放射性ヨウ素を飲んでも乳がんの発症は増えないのか?

6千人の観察研究
from The Journal of clinical endocrinology and metabolism
甲状腺がんの治療で大量の放射性ヨウ素を飲んでも乳がんの発症は増えないのか?の写真
(C) Nikolai Sorokin - Fotolia.com

甲状腺がんの治療に、大量の放射性ヨウ素を飲んで甲状腺に取り込ませることで内部から放射線を照射する方法があります。韓国の研究班が、追跡調査から、放射性ヨウ素治療を受けた人に乳がんの発症は増えていなかったことを報告しました。

放射性ヨウ素治療は、がんに集中して放射線を照射できる一方、副作用としての発がんのリスクが懸念されています。この研究では、治療による乳がん発症に注目しました。

 

◆甲状腺がん患者を追跡

研究班は、甲状腺がんに対して放射性ヨウ素治療を受けた3,631人を含む6,150人の甲状腺がん患者を対象として、フォロー期間のデータを統計解析し、放射性ヨウ素治療の有無によって乳がんの発症率に違いがあるかを調べました。

 

◆治療による差なし

解析から次の結果が得られました。

2年の潜伏期間を見込んだとき、放射性ヨウ素治療は女性患者の間で続発性乳がんの発症を有意に増やなかった(ハザード比0.49、95%信頼区間0.22-1.06)。このコホートでは、2年の潜伏期間を見込むと、高用量の放射性ヨウ素治療(120mCi以上)は続発性乳がんの発症率の減少と関連していた(ハザード比0.17、95%信頼区間0.05-0.62)。

放射性ヨウ素治療を受けた女性に、放射性ヨウ素治療を受けていない女性に比べて、乳がんの発症率に違いは見られませんでした

 

この研究では、乳がん以外のがんやほかの病気、また死亡率への影響については検討されていません。また、研究の方法による限界として、放射性ヨウ素治療を受けた人に、背景としてもともと乳がんを発症しにくい要因があった可能性も完全には否定できません。とはいえ、放射性ヨウ素の良い面と悪い面を考えるうえで参考になるであろう報告です。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Radioactive Iodine Therapy Did Not Significantly Increase the Incidence and Recurrence of Subsequent Breast Cancer.

J Clin Endocrinol Metab. 2015 Jul 6 [Epub ahead of print]

 

[PMID: 26147607]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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