2015.05.26 | コラム

研修医って正式な医者なの??

知られざる医師キャリアの実態〔その3〕
研修医って正式な医者なの??の写真
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「いま研修医ってことは、あと何年経ったら本当のお医者さんになれるの?」 自分が研修医のころ、何度も聞かれて歯がゆい思いをした質問です。

研修医も、医師免許をもっており、正式な医師の一員です。あまり知られていませんが、研修医だから制限されること、できないことというのはありません。唯一の例外は、開業して自分の病院を持つときに制限があるというくらいですが、大学を卒業してすぐに開業する人はいませんので、こちらも問題にはなりません。

 

◆ 研修医の働き方

研修医になったばかりの頃は、知識も経験も未熟ですから、基本的には上級医(上司)の意見を聞きながら診療に当たることになります。一方で、医学部では最後の2年間、病院実習を行い、医学生も研修医の下で実際の診療を行うわけですから、研修医になったばかりであっても、病院業務の経験は3年目と考えることもできます。

研修医の間は、2年間かけて様々な科を1-2ヶ月単位で回ります。たとえば4-5月:神経内科、6-7月:消化器外科、8月:小児科、9月:耳鼻科 といったような具合です。

 

◆ 研修医はオールラウンダー??

このシステムのデメリットとされるのは、例えば最初から産婦人科医になりたいと決めている人であっても、産婦人科以外の科も含めて2年間は複数の科の研修をしないといけないという点です。それは同時にメリットにもなり得るわけですが、「一通りの勉強をするのは、医学部ですでにやっているじゃないか」という意見もあります。

その一方で、様々な科の個別な知識や経験が豊富に得られるのは、研修医の間がラストチャンスです。現代の医療は専門分化が進んでいて、一人の医師が担当する分野が日々狭く深くなっています。昔は「内科、外科」という大きなくくりだったのが、「循環器内科、呼吸器内科、…」となり、さらに循環器内科の中でも「不整脈専門、虚血性心疾患専門、心臓弁膜症専門、…」などと分かれているのです。

「私は人差し指専門の整形外科医なので、中指の骨折は診られません」というブラックジョークがあります。笑えないのは、「手の外科」という専門分野(手首から先の手術のみを行う)が既に一般的になっており、近い将来には「指ごとの外科」ができる可能性も、あながち否定できないというところです…。

ここまで専門化が進んでしまうと、その道何十年という医師たちは、いわゆる職人芸のような見事な腕前や知識をもっています。一方で、自分の専門分野以外の知識は少しずつ抜けていきますし、たとえ知識を維持できていても、それだけでは日々進歩し続けている医学にはついていけません。そこで、研修医が活躍するのです。

各科で最新の知識を身につけたばかりの研修医が回ってくると、「その他の分野」では専門医に勝ることがあります。ある分野を深く突き詰めた専門医と、浅く広い知識をもった研修医。両者は互いに、持ちつ持たれつの関係でもあるのです。

 

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執筆者

沖山 翔

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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