2015.05.17 | ニュース

子どもの全般性不安障害が抗うつ薬で改善?

28週間の治療で重症度を下げる効果
from Journal of the American Academy of Child and Adolescent Psychiatry
子どもの全般性不安障害が抗うつ薬で改善?の写真

全般性不安障害は不安障害の一種で、特定の原因なく不安が続くものです。脳内のセロトニンという物質が関与しているとされ、治療にはSSRIという薬剤が使用されています。新しい選択肢としてデュロキセチンという薬が試され、実際の患者に対して治療効果が見られたことが報告されました。

◆デュロキセチンとは

デュロキセチンは、SSRIの次世代の抗うつ薬とされる、SNRIという種類の薬です。国内ではうつ病、うつ状態、糖尿病性神経障害に伴う疼痛へ使用されています。

 

◆ランダム化試験で全般性不安障害の小児へ投与

著者らは、次の方法でデュロキセチンの効能と安全性を検討しました。

全般性不安障害と一次的診断された7〜17歳の若年者にデュロキセチン(30-120mg/日、135人)またはプラセボ(137人)を10週間投与し、その後オープンラベルでデュロキセチン(30-120mg/日)を18週間投与した。効能は小児不安評価スケール(PARS)、臨床上の医師の印象による重症度(CGI-Severity)尺度、小児総合評価尺度(CGAS)を用いて測定した。安全性はコロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS)、バイタルサイン心電図、ラボラトリーモニタリングで評価した。

対象者はデュロキセチンの治療を受けるグループとプラセボ(偽薬)の治療を受けるグループにランダムに振り分けられました。治療する医師も、治療を受ける患者も、最初の10週間は行われている治療が、デュロキセチンか偽薬なのかを知りませんでした。その後、医師患者全員にこれからデュロキセチンを使うことを伝えデュロキセチンで18週間治療しました。

 

◆平均改善率-9.7vs -7.1

試験の結果は以下のとおりでした。

主要効能評価(GADに対してPRASで評価した重症度)で10週目までのベースラインからの平均改善率はデュロキセチンでプラセボより統計的に有意に大きかった (デュロキセチン-9.7 vs プラセボ-7.1、p ≦ 0.001, Cohen's d: 0.5)。 有害事象による収縮期および拡張期血圧の変化、治療の中断はデュロキセチン群、プラセボ群間で有意差はなかった[...]。 デュロキセチン群の心拍数、体重の平均変化 (それぞれ+6.5 回/分, -0.1 kg)はプラセボ群 (+2.0 回/分, +1.1 kg, p≦0.01)と有意に異なった。

デュロキセチンで治療した群は偽薬で治療した群よりも、さまざまな指標で測ったときの改善度が大きいという結果が得られました。副作用による血圧の変化、治療中断は2群間で差がありませんでした。

この研究では投与10週までのデュロキセチンの効能は偽薬に「優越していた」、また安全性は「既に知られているものと矛盾はなかった」と結論づけられています。

 

いつかこの薬が全般性不安障害の治療にも役立つときが来るのでしょうか?

執筆者

KA

参考文献

A randomized, placebo-controlled study of duloxetine for the treatment of children and adolescents with generalized anxiety disorder.

J Am Acad Child Adolesc Psychiatry. 2015 Apr

[PMID: 25791145]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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