2015.05.08 | ニュース

「瞑想」で抗うつ薬と同程度まで、うつ病の再発率を下げられる?

再発経験のあるうつ病患者424人を分析

from Lancet

「瞑想」で抗うつ薬と同程度まで、うつ病の再発率を下げられる?の写真

うつ病は一度再発すると、何度も繰り返してしまうことがあるため、再発しないように最低でも2年間は抗うつ薬治療を続けることが勧められています。その一方で、薬以外の治療法にも関心が向けられており、中でも瞑想を取り入れたマインドフルネス認知療法が再発リスクを減らすと言われています。 英国の研究チームが「マインドフルネス認知療法が、抗うつ薬の治療と同程度にうつ病の再発を抑える効果があった」と報告しました。

◆再発経験のあるうつ病患者424人を分析

研究チームは、過去に3回以上うつ症状を繰り返した経験があり、抗うつ薬を服用している成人患者424人を集め、212人ずつランダムに、マインドフルネス認知療法をする群と抗うつ薬治療を行う群に分け、2年間にわたって追跡しました。
うつが再発したかどうかを診断する人は、どちらの治療が行われたかを知らされていませんでした。
追跡期間終了後、統計解析によって両群の再発率を比較しました。

マインドフルネス認知療法群に分けられた人は、8回のグループセッションに参加し、否定的な思考を認識してそれに対処することを学び、その技法を自宅で毎日行なうように求められました。

 

◆マインドフルネス認知療法と抗うつ薬治療は同程度の効果

分析した結果、マインドフルネス認知療法群で再発率が44%、抗うつ薬治療群で再発率が47%であり、両群に統計的に有意な差はありませんでした。
5つの深刻な有害事象が両群において観察されました(2つの事象が死亡)が、いずれも治療によるものではないと判断されました。

研究チームは「マインドフルネス認知療法は抗うつ薬よりも効果が高いという結果ではなかった。両方ともに再発やうつ後遺症、生活の質により良い結果をもたらしていた」と述べています。

 

マインドフルネス認知療法がどの程度効果があるか、追加研究が必要ですが、うつ病の再発を防ぐための効果的な治療法の1つの選択肢になるかもしれません。

執筆者

佐々木 康治

参考文献

Effectiveness and cost-effectiveness of mindfulness-based cognitive therapy compared with maintenanceantidepressant treatment in the prevention of depressive relapse or recurrence (PREVENT): a randomised controlled trial.

Lancet. 2015 Apr 20

[PMID: 25907157]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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