いんとうがん(じょういんとうがん、ちゅういんとうがん、かいんとうがん)
咽頭がん(上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がん)
咽頭がんは咽頭にできるがん。鼻の奥から口蓋垂に高さにできる上咽頭がん、口蓋垂から舌の付け根までにできる中咽頭がん、食道の入り口付近にできる下咽頭がんに分けられる
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最終更新: 2024.05.10
咽頭がん(上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がん)の基礎知識
POINT 咽頭がん(上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がん)とは
咽頭がんのうち、上咽頭がんは鼻の奥から口蓋垂(のどちんこ)の範囲にできるがんです。中咽頭がんは口蓋垂から舌の付け根までの範囲にできるがんです。下咽頭がんは舌の付け根の高さから、食道の入り口までの範囲にできるがんです。症状は上咽頭がんは鼻づまり、鼻血、耳の詰まった感じ、耳鳴り、難聴などがでて、進行すると目が二重に見えることもあります。中咽頭がんや下咽頭がんの症状はのどの違和感や痛みです。咽頭がんは首のリンパ節に転移しやすく、首にしこりを触れることもあります。診断は細いカメラ(ファイバースコープ)を鼻から入れて行います。がんであることを確かめるために、腫瘍を一部切り取って組織診断を行います。がんの広がりや転移を調べるために、CT検査、MRI検査、超音波検査、PET-CT検査を行います。合併したがんを調べるために上部消化管内視鏡(胃カメラ)を行うことがあります。治療は放射線治療、化学療法(抗がん剤)、手術治療を組み合わせて行います。
咽頭がん(上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がん)について
咽頭がん(上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がん)の症状
- 咽頭がんのできた場所で、
症状 は異なる - 咽頭がんは頸部
リンパ節転移 を起こしやすく、腫れたリンパ節 をしこりとして触れることがある - 上咽頭がんの症状
- 中咽頭がんの症状
- 初期症状
- 食べ物を飲み込む時の違和感
- のどがしみる
- 進行した場合の症状
- のどの痛み
- 飲み込みにくさ
- 話しにくさ
- のどからの出血
- 呼吸困難
- 首のリンパ節の腫れ
- 初期症状
- 下咽頭がんの症状
- 初期症状
- 食べ物を飲み込む時の違和感
- のどがしみる
- 進行した場合の症状
- のどの痛み
- 飲み込みにくさ
- のどからの出血
- 耳の周りの痛み:下咽頭の神経が耳の神経とつながっていて、下咽頭の痛みを耳の痛みとして感じるため
- 声がかすれる:がんが周りにひろがると声帯の動きが悪くなるため
- 首のリンパ節の腫れ
- 初期症状
咽頭がん(上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がん)の検査・診断
- ファイバースコープ検査
- 鼻から細くて柔らかい
カメラ を入れて、がん の近くを観察する
- 鼻から細くて柔らかい
- 病理検査
組織診 :がんを疑う部分を一部切り取って、がんがあるか顕微鏡で詳しく調べる細胞診 :転移 を疑うリンパ節 に針を刺して、がんがあるか顕微鏡で詳しく調べる- 中咽頭がんでは
ヒトパピローマウイルス の有無を、組織診で調べる
- 血液検査
- 治療が行える全身状態かを調べる
- 画像検査
- 首のリンパ節への転移や、遠い臓器への転移がないか調べる
超音波検査 (エコー 検査)CT 検査MRI 検査PET-CT検査
- 首のリンパ節への転移や、遠い臓器への転移がないか調べる
上部消化管内視鏡検査 - これらの検査により、がんの進行の程度を
病期 (ステージ )で分ける
咽頭がん(上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がん)の治療法
- 治療は手術、
放射線治療 、抗がん剤 (化学療法 )を組み合わせて行う - 上咽頭がんの治療
- 手術ができない部位のため、放射線治療が基本になる
- 放射線治療に抗がん剤を組み合わせた、化学放射線治療を行う
- 化学放射線治療後に頸部
リンパ節 にがん が残存、再発した場合は手術を行う
- 中咽頭がんの治療
- 下咽頭がんの治療
- 早期がんでは放射線治療、化学放射線治療を行う
- 進行がんでは手術治療を行うことが多い
- 進行がんの手術では喉頭を切り取ることもあり、手術後は声がでなくなることがある
- 喉頭を切り取らない手術では、手術後は嚥下機能が低下し、食べ物が肺に入りやすくなる(誤嚥:ごえん)
- 声を出す機能を維持したい場合は、化学放射線治療を行うが、治療後にがんが残存、再発した場合は手術を行う
- 治療後の
経過観察 - 外来での定期的な経過観察と画像検査を行い、がんの再発の有無を確認する
- 再発予防方法
- 禁煙
- 過度の飲酒を控える