切迫早産と言われたら日常生活で気をつけることは?
切迫早産と診断されると、自分の生活が妊娠に悪影響を及ぼしているのではないかと心配になる人もいると思います。ここでは
目次
1. どこまで安静にするべき?仕事は?

切迫早産と診断されると安静にしなければいけないというイメージが強いと思いますが、実は安静にすることで早産が予防できるという証拠は現在のところはっきりしていません。
海外の研究では1,266名の早産リスクのある妊婦のうち、自宅あるいは入院でのベッド上安静を指示された妊婦と無治療の妊婦を比較したところ、妊娠37週未満の早産率に統計的な差は確認できなかったという報告があります。
しかし就労と早産に関する研究においては、初産婦では立ち仕事の時間、肉体労働、工業機械の使用、精神的・労働環境のストレスなどの数が多くなるほど早産や前期破水の割合が高かったという報告もあります。そのため切迫早産の兆候がある場合には、仕事の負担が軽減されるように調整したり診断書を書いてもらって休職するといったことも考慮していいでしょう。
自宅で過ごしたほうがお腹の張りや出血の自覚などの早産兆候があった場合に気づきやすく、かかりつけの病院を受診しやすいといった視点からも、安静を指示された場合には自宅で無理のない生活を心がけ外出は控えることが望ましいということは出来ます。
精神的なストレスを溜めすぎないようにするために、家族に身の回りのサポートをしてもらいゆったりと過ごすことは良いことでしょう。入浴に関しては陰部の清潔を保つことで感染を予防するという目的もあるのでかかりつけの医師から控えるようにと言われていなければ入ることをお勧めします。
上記のように切迫早産と診断された後の安静の程度については、確実な基準はありません。そのため実際にどこまで安静にするべきかというのは、かかりつけの医師と相談の上で決定するのが望ましいでしょう。
参考文献
・Cochrane Database Syst Rev. 2015 Mar 30. Am J Obstet Gynecol. 2001 Feb.
2. 早産と喫煙(タバコ)は関係する?
たばこの煙には、一酸化炭素、ニコチン、タールをはじめ200種類以上の人の体に有害な化学物質が含まれています。たばこの有害物質であるニコチンは、血管を収縮させ胎児の栄養源である胎盤の血流を妨げる可能性があります。また同じく有害物質である一酸化炭素は、血液の酸素運搬能を低下させるため胎児が低酸素となりやすくなる可能性があります。
これらの影響で胎児に酸素を供給している胎盤の血流が安定せず、胎盤機能不全となり早産になる可能性が高くなることが分かっています。また胎児の体重増加が妨げられるため、非喫煙者に比べると喫煙者の妊婦は2,500g未満の
その他にも喫煙は、子宮外妊娠、前期破水、常位胎盤早期剥離、前置胎盤、流産、死産、早産、胎児の発育や先天異常などが起こる確率に影響を及ぼすとされています。
タバコの有害物質のほとんどが主流煙よりも副流煙に高い濃度で存在するため受動喫煙にも影響があります。自ら喫煙する妊婦に比べて、受動喫煙によって胎児に流入する有害物質の量は数分の1ではありますが、受動喫煙していない妊婦に比べると受動喫煙によって影響が出る可能性はあります。
上記の様な理由で、妊娠前から禁煙しているほうがいいと思われますが、妊娠初期から禁煙をすることで早産や低出生体重児の確率は低下するといわれており、妊娠がわかった時点からでも禁煙をすることをおすすめします。
3. 早産と性行為は関係する?
性行為に伴う男性器の挿入や運動は、膣や子宮頸部に刺激を与えます。また、性行為や乳頭への刺激はオキシトシンという
- 切迫流産や切迫早産と診断されている(出血やお腹が張りやすいなどの症状がある)
- 過去の妊娠で切迫流産や切迫早産と言われたことがある
- 過去に子宮頸部の手術(子宮頸部円錐切除術など)をしており子宮頸管の長さが短い
- 子宮頸管無力症と診断されている
- 前置胎盤である
- その他医師から安静にするように指示されている
また、精液には、早産や破水のきっかけとなる絨毛膜羊膜炎の原因となるような
妊娠経過に問題がなければ、妊娠中の性交渉は禁止ではありません。しかし性交渉中に痛みや出血などの症状がある場合にはすぐに中止をし安静を保ち、症状が続く場合にはかかりつけの医療機関を受診するようにしてください。
4. 切迫早産と便秘は関係する?
妊娠中は胎盤から分泌されるプロゲステロンというホルモンの影響によって腸管の運動は抑制されます。また、妊娠後期に入ると大きくなった子宮や胎児が腸管を圧迫するため便が排出されにくくなり、便秘の症状が現れやすくなります。また切迫早産と診断されると、自宅や入院で安静を指示されることがあり、そのために腸の働きが悪くなり、便秘が悪化することがあります。妊娠前に比べて排便の回数が減ったり(一般的に1週間に3回未満は便秘とされます)、お腹にガスが溜まっているような感じがする、便が硬く出づらい場合には便秘の可能性があります。
便が硬く出づらくなることで、過度に腹圧をかけて排便することは切迫早産に悪影響を及ぼす可能性があります。また、ガスによる腹部の膨満感と子宮筋の緊張の自覚がわかりにくくなってしまうこともあります。
便秘は食生活の見直しと水分の摂取によって改善されやすく、以下のような対策があります。
- 水分は1日2リットル程度を目安に摂取する
- 繊維質の多い食べ物を摂取する
- 朝食を食べてから30分程度の際に排便の習慣をつける
- 朝、起床後すぐにコップ1杯の冷たい水を飲む
上記のような生活の見直しで改善されない場合には、かかりつけの医師に相談をして緩下剤(かんげざい)の処方を検討してもらいましょう。切迫早産と診断されると、安静にするという生活の変化から便秘が悪化しやすい可能性がありますので、排便の習慣を整えることも大切です。
5. ω3(オメガスリー)脂肪酸の摂取は早産に効果的?
オメガ3脂肪酸の摂取が早産を防ぐというはっきりした証拠はありませんが、食事全体のバランスを保ちながら適量のオメガ3脂肪酸を摂取することは良いことと思われます。
ω3脂肪酸は抗
海外では妊娠中にオメガ3脂肪酸を摂取することで早産率が低下したとする報告も出ていますが、否定的なものもあり、結論は定かではありません。また食生活によるオメガ3脂肪酸の摂取は、摂取量や他の食事との兼ね合い、消化吸収の個体差などからも日本人の食生活で早産を予防する効果が得られるかは結論づけられていません。しかしオメガ3脂肪酸に分類される、EPAやDHAなどは体が合成できない必須脂肪酸でありバランスの良い食事での摂取が勧められます。
現在、2015年版「日本人の食事摂取基準」で勧められている妊婦のオメガ3脂肪酸の摂取目安量は1.8g/日で、妊娠可能年齢にある女性の目安量に比べて0.2g/日ほど多い摂取目安量となっています。オメガ3脂肪酸の代表であるDPAやDHAは、イワシ、サバ、サンマ、アジなどの青魚に多く含まれていますが、青魚の摂取では魚介類に含まれる水銀の過剰摂取にもある程度の注意が必要になります。水銀による影響が心配な場合には、食事だけではなくサプリメントの併用も可能です。
妊娠中の食事について詳しくは「妊娠中の食事は何に気をつける?」でも説明しています。
参考文献
・臨床婦人科産科 69(3), 320-325, 2015-04.