ひまん(ひまんしょう)
肥満(肥満症)
皮下脂肪、内臓脂肪が蓄積した状態で、BMIが25以上の場合を指す。さらに健康障害などの条件を満たすと「肥満症」に該当する
8人の医師がチェック 89回の改訂 最終更新: 2024.12.04

肥満(肥満症)の検査について:問診、身体診察、腹部CT検査など

肥満とは身体に脂肪が蓄積しすぎた状態のことで、BMIが25以上の場合を指します。BMIは体重と身長から割り出される値ですので、自宅でも簡単に知ることができます。医療機関では肥満の原因や度合い、合併症について詳しく調べます。

1. 問診

問診では肥満と密接に関わる生活習慣に関する質問や、合併症に関わる質問を受けます。

  • 症状について
    • 体重の変化はどうか
    • 排尿障害はないか
    • 日中の眠気やいびきがないか
  • 生活習慣について
    • どのような食生活をしているか
    • 運動量はどれくらいか
    • 飲酒の習慣があるか
    • 過去または今、喫煙習慣はあるか
  • その他の背景について
    • 今までかかった病気や持病はあるか
    • どんな薬を服用しているか

肥満の人の多くは、エネルギーの過剰摂取や運動不足といった生活習慣が原因となっています。しかし、クッシング症候群甲状腺機能低下症といった病気や、ステロイド内服薬などの薬剤が体重増加の原因になることもあるため、問診ではこれらに関連する質問をされることがあります。

また、肥満になるとさまざまな病気にかかりやすくなります。何か気になる症状があればお医者さんに伝えるようにしてください。

例えば肥満の人がなりやすい糖尿病では、尿量が増えることがありますし、同様に肥満の人がなりやすい睡眠時無呼吸症候群では「日中の眠気」や「いびき」といった症状が現れます。

飲酒や喫煙についても聞かれることがあります。大量飲酒をする人では肥満になりやすいと言われているため、節度のある飲酒量にとどめておくように言われるかもしれません。また、喫煙については過去の喫煙習慣まで伝えてください。禁煙が体重増加の引き金になることがあるためです。

2. 身体診察

お医者さんが全身を直接診察することです。同じBMIでも脂肪と筋肉との割合は人によって違いますが、脂肪が多いのか筋肉質なのかは外観である程度判断ができます。また、水分の貯留で体重が増える人がまれにいます。たとえば、心不全腎不全、肝不全などの病気がある人です。水分貯留は身体のむくみとして身体診察で見つけられます。

3. ウエスト周径

へそ周りのサイズのことです。健康診断でよく計測します。男性では85cm以上、女性では90cm以上であれば内臓脂肪の蓄積が疑われます。

測る時には、洋服のサイズを測るときの「ウエスト」とは異なることに注意してください。服のサイズのウエストは、へそより上の一番細い部分を測りますが、ここでいう「ウエスト周径」はへそを含む周囲で測ります。通常の洋服のサイズの「腹囲」より長めの値になります。

4. 大人の肥満について:BMI(body mass index)

大人(18歳以上)が肥満かどうか判断するときには、BMIという指標がよく使われます。以下の計算式で求めることができます。身長の単位はcmではなくmであることに注意して計算してください。

  • BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

日本肥満学会の基準[1]によれば、18.5未満の人は「低体重」、18.5以上25未満が「正常体重」、25以上が「肥満」とされます。また、肥満はBMIによって1-4度に分けられます。

BMI 判定
<18.5 低体重
18.5≦、<25 普通体重
25≦、<30 肥満(1度)
30≦、<35 肥満(2度)
35≦、<40 肥満(3度)
40≦ 肥満(4度)

なお、BMIが35以上の人を高度肥満といいます。

5. 子どもの肥満について:肥満度

子ども(1-17歳)が肥満かどうか判定する基準として、「肥満度」がよく使われます。肥満度とは標準体重と比べて、どれくらい体重が多いかをパーセントで表したものです。(1歳未満では、体重が標準より多くても、将来の健康問題につながることはあまりないと言われている[2]ことから、肥満かどうか判定することはありません。)

計算式から求める方法と肥満度判定曲線を用いるやり方とがあります。肥満度判定曲線は母子手帳に載っていて、簡単に肥満度を知ることができます。ぜひ利用してみてください。

ここでは、やや面倒な方法ですが計算式について紹介します。

【肥満度の計算式】

肥満度={(実測体重-標準体重)÷標準体重}×100(%)

この式の中に出てくる「標準体重」は年齢などによって異なりますし、求められた肥満度から肥満かどうか判定する基準も年齢によって異なります。ここからは年齢区分ごとに説明していきます。

1歳から5歳の子ども

【1-5歳の標準体重の式】

  • 男児:標準体重(kg)=0.00206×身長(cm)×身長(cm)-0.1166×身長(cm)+6.5273
  • 女児:標準体重(kg)=0.00249×身長(cm)×身長(cm)-0.1858×身長(cm)+9.0360
    (参考文献3より)

この標準体重と、測定した体重を次の式に当てはめます。

【肥満度の式(再掲)】

  • 肥満度={(実測体重-標準体重)÷ 標準体重}× 100(%)

肥満度が15%以上で肥満との判定となりますが、その程度によって、ふとりぎみ、ややふとりすぎ、ふとりすぎに分けられます。

【1-5歳の子どもの肥満の判定基準】

肥満度 判定
+30%以上 ふとりすぎ(重度肥満)
+20%以上 +30%未満 ややふとりすぎ(中等度肥満)
+15%以上 +20%未満 ふとりぎみ(軽度肥満)
-15%超 +15%未満 ふつう(標準)
-20%超 -15%以下 やせ(軽度やせ)
-20%以下 やせすぎ(重度やせ)

たとえば、5歳で身長103cm、体重20kgの女の子について、計算してみます。

  • 標準体重(kg)=0.00249 × 103 × 103 - 0.1858 × 103 + 9.0360 = 16.3kg

この標準体重と体重20kgを、肥満度を求める式へあてはめます。

  • 肥満度={(20-16.3)÷ 16.3}× 100(%)= 22.7(%)となり、「ややふとりすぎ」に該当することがわかります。

6歳から17歳の人

さらに複雑になりますが、6-17歳の人の標準体重を調べる計算式を紹介します。

【標準体重を求める計算式】

  • 標準体重(kg)= a × 身長(cm)- b

年齢、性別ごとのa値、b値については下記の表を参照してください。

年齢/係数
a b a b
6 0.461 32.382 0.458 32.079
7 0.513 38.878 0.508 38.367
8 0.592 48.804 0.561 45.006
9 0.687 61.390 0.652 56.992
10 0.752 70.461 0.730 68.091
11 0.782 75.106 0.803 78.846
12 0.783 75.642 0.796 76.934
13 0.815 81.348 0.655 54.234
14 0.832 83.695 0.594 43.264
15 0.766 70.989 0.560 37.002
16 0.656 51.822 0.578 39.057
17 0.672 53.642 0.598 42.339

(参考文献4, 5より)

この標準体重や測定した体重を、次の式に当てはめます。

【肥満度の式(再掲)】

  • 肥満度={(実測体重-標準体重)÷ 標準体重}× 100(%)

この肥満度が20%以上で肥満とされ、その値によって軽度、中等度、高度に分けられます。

【肥満度と肥満の分類(6-17歳)】

肥満度 判定
20%以上 30%未満 軽度肥満
30%以上 50%未満 中等度肥満
50%以上 高度肥満

(参考文献4, 5より)

たとえば、11歳の138cm、45kgの男の子の肥満度について計算してみます。

まず、標準体重を求めるために必要なa値、b値は上の表から、それぞれ0.782、75.106であることがわかります。標準体重を求める式にそれら値をあてはめます。

  • 標準体重(kg)= 0.782 × 138 - 75.106 = 32.8(kg)

この標準体重を、肥満度を求める式へあてはめます。

  • 肥満度 ={(45-32.8)÷ 32.8}× 100(%)= 37.2(%)

ここから、中等度肥満に該当することがわかります。

6. 血液検査

血液検査では糖尿病脂質異常症などの病気を見つけられます。また肥満は肝臓、腎臓、膵臓に負担をかけるため、これらの血液検査の結果が異常になりがちです。

【肥満の人に行われる血液検査】

  • 糖尿病の検査(HbA1c、血糖
  • 脂質の検査(中性脂肪、LDLコレステロール、HDLコレステロール)
  • 肝臓の検査(AST、ALT、γGT)
  • 膵臓の検査(アミラーゼ、リパーゼ)
  • 腎臓の検査(クレアチニン、尿素窒素、尿酸)

肥満の合併症の多くがこのような血液検査で見つかります。

7. 腹部CT検査による内臓脂肪面積測定

腹部CT検査とは身体の断面を映し出す検査であり、内臓脂肪の量を調べることができます。へその位置で身体を輪切りにした時の内臓脂肪の面積が100cm2を超えると「内臓脂肪型肥満」と判断されます。

同じ肥満でも、内臓脂肪型肥満では皮下脂肪型肥満よりも、高血圧や糖尿病などの病気になりやすいです。

また、BMIが25未満で肥満との診断にならない人でも、腹部CT検査をすると内臓脂肪が多い人もいます。内臓脂肪が多いと指摘された人は、BMIにかかわらず生活習慣を見直すきっかけとしてください。

参考文献

1. 日本肥満学会. 肥満症診療ガイドライン2016. ライフサイエンス出版. 2016
2. Arisaka O, et al. Is childhood cardiometabolic status a risk factor from early infancy or toddler age? J Pediatr. 2017 Sep;188:314-315.
3. 日本小児医療保健協議会栄養委員会, 小児肥満小委員会:幼児肥満ガイド
4. 日本肥満学会. 小児肥満症診療ガイドライン2017. ライフサイエンス出版.2017
5. 生魚薫、橋本令子、村田光範:学校保健における新しい体格判定基準の検討.小児保健研究, 69:5-13, 2010