野球肘で知っておきたいこと:原因や対処法など
野球肘は主に成長期に投球しすぎることで
目次
1. 野球肘の痛みは内側?外側?
肘は複数の骨、
頻度としては内側が痛くなることが多く、小中学生では上腕骨内側上顆障害(リトルリーグ肘)と呼ばれるタイプの野球肘がよく起こります。大人では
外側が痛くなるものとしては上腕骨小頭離断性骨軟骨炎というタイプの野球肘が有名です。小中学生が発症しやすく、最初は無症状ながら重症化すると治療が難しい厄介な状態です。このタイプの野球肘を早期に見つけるために、小中学生に対する野球肘検診も近年は行われています。早期に見つけることができれば、安静によって多くの人で完治が期待できます。
2. 野球肘の原因は関節ねずみ?
軟骨や骨が損傷すると、その破片が関節に挟まって痛むことがあります。破片は移動するので、痛む箇所があちこち変わったり、挟まっていない時は全く痛まなかったりします。
こうした状態は「関節ねずみ」と呼ばれます。医学的には「関節内遊離体」とも呼ばれます。症状の出方によっては、
3. サポーターやテーピングは有効?
サポーターやテーピングを適切に使用することで、肘への負担を和らげる効果が期待されます。しかし、野球肘の予防・治療にとって最も重要なのは安静にすることや正しいフォームで投げることです。
痛みをサポーターやテーピングで抑えて競技を続けることは逆効果ですので、避けるようにしてください。また、強く巻きすぎることによって血流が悪くなり、肘や腕に悪影響を与える可能性もあるため、強く巻き過ぎないよう注意してください。
4. 野球肘に効くストレッチは?
野球肘の発症には、肘や肩周りの筋肉の柔軟性不足が関わっていることもよくあります。そのため、手首を伸ばす、ねじるなどのストレッチを行うと良いと考えられます。
また、肩や体幹、下半身のストレッチを行うことにより、肘に負担のかかりにくいフォームができると考えられるため、肘以外のストレッチも心がけてください。
5. 野球肘予防のための投球制限は?
野球肘を予防するためには、正しい投球フォームを身につけたり十分なストレッチをかかさないことも大事です。それと同時に、投球数が増え過ぎたり、投球間隔が短くなることを避ける必要もあります。野球肘は小中学生の投手と捕手に多いため、これらのポジションの人は特に気をつけてください。
投球制限の目安は、全日本軟式野球連盟のホームページで以下の通り推奨されています。
【年齢ごとの投球制限の目安】
- 小学生 週3日以内かつ1日2時間以内の練習時間にとどめること
全力投球は1日50球以内、週200球を超えないこと
- 中学生 週1日以上の休養日をとること
全力投球は1日70球以内、週350球を超えないこと
- 高校生 週1日以上の休養日をとること
全力投球は1日100球以内、週500球を超えないこと
しかし、この目安は米国などと比べるとかなりゆるい基準となっています。そのため、これを守るだけでは野球肘や野球肩になることを防ぎきれないという意見もあります。個々人によって投球の際にかかる負担も異なるため、あくまで目安として考えて、ケースバイケースで対応する必要がありそうです。
6. 大人も野球肘になる?
子供の肘は成長過程にあるため、小中学生は肘の骨や軟骨の損傷を原因とした野球肘を発症しやすいです。しかし、高校生以上の大人でも野球肘を発症することがあります。
大人になると骨や軟骨は成熟してくるため、小中学生とは野球肘の原因が異なることが多いです。高校生以上では内側側副靭帯という靭帯が損傷する、腕の筋肉が肉離れする、などの骨や軟骨に由来しないトラブルが増えてきます。
7. 野球肘でバッティングは大丈夫?
100%大丈夫、ということはありませんが、痛みが出ない範囲であれば一般的に野球肘でバッティングまで制限する必要はありません。ランニングや捕球練習も行い、肘をゆっくり休ませた後は競技に戻れるだけの体力と技術を維持することも大事です。