たのうほうせいらんそうしょうこうぐん
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
卵巣内部に球状の空間(のう胞)が複数生じる病気。月経異常や不妊などの原因になる
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最終更新: 2022.11.11
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の基礎知識
POINT 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは
卵巣内部に球状の空間が複数できる病気のことです。男性ホルモンがたくさん作られてしまうことによって排卵しにくくなります。その結果、不妊症を起こすことがあります。多嚢胞性卵巣症候群の詳しい原因はまだ不明ですが、肥満などが関連していると考えられています(ただし痩せている人にも起こります)。また、多嚢胞性卵巣症候群の人の特徴は月経周期が長い(35日以上)、にきびが多い、体毛が多い、肥満などが知られています。減量によって症状が和らぐことがあるので、肥満の人は減量が勧められます。また、不妊の原因になっている場合は薬によって排卵を誘発したり、手術で卵巣の一部を取り出したりします。多嚢胞性卵巣症候群が心配な人は産婦人科を受診してください。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)について
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の症状
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の検査・診断
- 血液検査
- 血液中の女性
ホルモン や男性ホルモン 濃度の測定を行う - 糖尿病やメタボリックシンドロームについても検査を行うことが多い
- 血液中の女性
- 経腟
超音波検査 卵巣 内部の、のう胞 状の変化を確認する- 両側の卵巣に多数の小卵胞が見つかることが特徴
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の治療法
- 肥満がある場合は5-8%ほどを目標とした減量によって排卵率の改善が期待できる
- その後の妊娠の希望があるかないかによって治療の方針が変わる
- 妊娠の希望がある場合
- 薬物療法:排卵誘発法
- クロミフェン療法
- hMG-hCG療法(ゴナドトロピン療法)
- ゴナドトロピン療法で卵胞の発育をコントロールできない場合にはART療法(高度生殖医療)を行う場合もある
インスリン 抵抗性が確認された人にはメトホルミンという糖尿病治療薬を使うことで排卵が誘発されやすくなる卵胞ホルモン 刺激製剤- 乳汁分泌
ホルモン 抑制薬
- 手術療法
腹腔鏡 下卵巣 焼灼術や卵巣の一部を切除する手術- 形の大きな成長途上の卵胞は卵巣の外側に存在しやすいので、その部位を治療する
- 薬物療法:排卵誘発法
- 妊娠の希望がない場合
- カウフマン療法(
エストロゲン 製剤とプロゲステロン製剤を内服する) 低用量ピル - ゲスターゲン(プロゲステロン製剤)の内服
- カウフマン療法(
- 排卵誘発を行うと、卵巣過剰刺激症候群や多胎妊娠が生じることがある
- 糖尿病を併発していることが多く、その場合には糖尿病の治療も同時に行う