げんぱつせいたんじゅうせいたんかんえん
原発性胆汁性胆管炎
体内で作られた自己抗体(自分の体を攻撃する物質)が肝臓の中の胆管に炎症を起こし、肝機能を徐々に低下させる疾患
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最終更新: 2020.02.27
原発性胆汁性胆管炎の基礎知識
POINT 原発性胆汁性胆管炎とは
原発性胆汁性胆管炎(Primary Biliary Cholangitis: PBC)は体内で作られた自己抗体(自分の体を攻撃する物質)が肝臓の中の胆管を破壊し、肝機能を徐々に低下させる病気です。自己免疫疾患の一つであると考えられており、他の自己免疫疾患(関節リウマチ、全身性強皮症、シェーグレン症候群、慢性甲状腺炎など)を合併しやすいことがわかっています。初期に症状を自覚することは少ないですが、病状が進行すると疲労感・かゆみ・口のかゆみ・黄疸(皮膚や目が黄色くなる変化)などが見られるようになります。 症状や身体診察に加えて、血液検査・エコー検査・CT検査・肝生検などを用いて診断します。この病気を完治する治療法はありませんが、肝機能を改善させたり病状の進行を遅らせるためにウルソデオキシコール酸の内服を行います。肝機能が悪化して肝硬変となり、黄疸や腹水などの症状が出現した人では肝移植が検討される場合もあります。原発性胆汁性胆管炎が心配な人や治療したい人は、消化器内科や消化器外科を受診して下さい。
原発性胆汁性胆管炎について
- 体内で作られた
自己抗体 (自分の体を攻撃する物質)が肝内胆管 (肝臓内で胆汁を運ぶ管)に炎症 を起こして、肝臓の機能を徐々に低下させる病気 - 以下の2つに分類される
症候性 :肝障害による症状 が出現するタイプが全体の20-30%無症候性 :肝障害による症状が見られないタイプが全体の70-80%
- 日本全国で約5-6万人の患者がいると推定される
- 軽症の患者の数は年々増加している
- 中年以降の女性に多い(男女比は約1:7)
- 同じ家族(親子や兄弟など)内で
発症 するケースが見られるため、遺伝的な要素が関係していると考えられる - 特に症状のない状態であればその後の経過は良好で、一般人とほぼ同等である
- 約10-40%(5年間で約25%)は症状のある原発性胆汁性胆管炎へ移行する
黄疸 が出るようになると進行性でその後の経過は不良である
- 血清T.Bil(総
ビリルビン )値から推測される余命は以下の通り- T.Bil値が2.0mg/dlでは約10年
- T.Bil値が3.0mg/dlになると約5年
- T.Bil値が6.0mg/dlを超えると約2年以下
原発性胆汁性胆管炎の症状
原発性胆汁性胆管炎の検査・診断
- 触診:お腹を触り、肝臓の腫れの有無を調べる
- 視診:目や皮膚が黄色くないか調べる
- 血液検査:肝機能、
自己抗体 (抗ミトコンドリア抗体 )の有無などを調べる - 画像検査:肝臓の状態を調べる
腹部超音波検査 CT 検査MRI 検査
- 病理検査(肝
生検 ):肝臓に針を刺して組織の一部を取り出し、顕微鏡で観察して肝障害を起こした原因を調べる
原発性胆汁性胆管炎の治療法
原発性胆汁性胆管炎のタグ
原発性胆汁性胆管炎に関わるからだの部位
