女性に多い肝臓の病気「原発性胆汁性胆管炎」にオベチコール酸の効果は?
20歳以降の女性に多い原発性胆汁性胆管炎は、気付かないうちに肝臓にダメージがたまっていく原因不明の難病です。進行して肝臓移植が必要になることもあります。新薬のオベチコール酸の効果が試されました。
原発性胆汁性胆管炎とは
肝臓では胆汁という消化液が作られています。
胆汁は本来、
治療にはウルソデオキシコール酸などが使われます。
ウルソデオキシコール酸は胆汁の流れをよくする薬です。「ウルソ」は熊という意味で、漢方薬の熊胆(ゆうたん、くまのい)に含まれています。市販薬としてもウルソデオキシコール酸の薬が売られています。
ここで紹介する研究では、オベチコール酸の効果が検討されています。オベチコール酸はウルソデオキシコール酸とも似た物質です。
オベチコール酸で原発性胆汁性胆管炎を治療する研究
原発性胆汁性胆管炎の患者で、ウルソデオキシコール酸の治療を受けても効果が不十分だった人などが対象になりました。217人の患者が対象とされました。
対象者はランダムに3グループに分けられました。
- オベチコール酸10mgを使うグループ
- オベチコール酸を5mgから始めて適宜10mgを上限に増やすグループ
- 有効成分を含まない偽薬を使うグループ
すべてのグループで12か月の治療が行われ、血液検査値が一定基準よりも改善する効果が判定されました。
オベチコール酸で検査値改善
治療により、検査値改善が基準を満たした人の割合は次のようになりました。
- 偽薬を使ったグループでは10%
- オベチコール酸5-10mgのグループでは46%
- オベチコール酸10mgのグループでは47%
つまり、オベチコール酸を使ったグループのほうが検査値が改善した人が多くなりました。
副作用も
副作用が疑われる
- 偽薬のグループで4%
- オベチコール酸5-10mgのグループで16%
- オベチコール酸10mgのグループで11%
解釈
副作用も見られた一方で、オベチコール酸により検査値が改善すると思われる結果が得られました。
オベチコール酸は近い将来、原発性胆汁性胆管炎の治療法に加わる可能性があります。
原発性胆汁性胆管炎は依然として原因不明で元には戻せない病気ですが、治療は進歩しつつあります。
執筆者
A Placebo-Controlled Trial of Obeticholic Acid in Primary Biliary Cholangitis.
N Engl J Med. 2016 Aug 18.
[PMID: 27532829]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。