C型肝炎にウルソデオキシコール酸が肝障害を軽減

現在の肝硬変治療では、抗炎症療法としてウルソデオキシコール酸が用いられることがあります。その効果は、どんな根拠によって確かめられたのでしょうか?慢性肝炎・肝硬変の診療ガイド2013で引用されている、2007年の論文を紹介します。
◆慢性C型肝炎患者を、ウルソデオキシコール酸(UDCA)の投与量別に3群に分類
肝臓のダメージを測る指標として、血液中の「ALT」という物質の量がよく使われます。肝臓の細胞が破壊されているときにALTが増えるといわれています。
今回の研究は、ウルソデオキシコール酸(UDCA)がALTの上昇を抑制できるか検証するために以下の通りに行われました。
アラニンアミノ基
転移 酵素 (ALT)が高い慢性C型肝炎患者を、24週間のUDCA使用量が150mg/日(n=199)、600mg/日(n=200)、900mg/日(n=197)にランダムに振り分けた。ALT、アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST)、γ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)の変化を評価した。
ウルソデオキシコール酸の使用量別に3群に振り分け、肝臓のダメージを反映する血液検査の値を比較しました。
◆ウルソデオキシコール酸1日600mg、または900mgで検査値が改善
調査の結果、以下のことを報告しました。
変化の中央値は(150、600、900mg/日、それぞれ)、ALTで-15.3%、-29.2%、-36.2%、ASTで-13.6%、-25.0%、-29.8%、GGTで-22.4%、-41.0%、-50.0%であった。 これらのバイオマーカーは、150mg/日の群の減少量がその他の2つの群よりも
有意 に小さかった。ALTとASTの変化は600mg/日と900mg/日の群の間で違いはなかったが、GGTでは900mg/日の群で有意に低かった。
ウルソデオキシコール酸を1日600mgまたは900mg投与すると、150mg投与した場合よりも検査値をより改善するという結果でした。
この結果をうけて著者らは、「1日600mgのUDCAが慢性C型肝炎患者においてALTとASTを下げる最適な量である。さらに、1日900mgの投与量ではGGTの値を下げる[...]」と述べています。
抗
執筆者
A large-scale, multicentre, double-blind trial of ursodeoxycholic acid in patients with chronic hepatitis C.
Gut. 2007 Dec
[PMID: 17573387]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。