2015.08.11 | ニュース

C型肝炎にウルソデオキシコール酸が肝障害を軽減

東京大学の研究チームが596名のランダム化研究
from Gut
C型肝炎にウルソデオキシコール酸が肝障害を軽減 の写真
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現在の肝硬変治療では、抗炎症療法としてウルソデオキシコール酸が用いられることがあります。その効果は、どんな根拠によって確かめられたのでしょうか?慢性肝炎・肝硬変の診療ガイド2013で引用されている、2007年の論文を紹介します。

◆慢性C型肝炎患者を、ウルソデオキシコール酸(UDCA)の投与量別に3群に分類

肝臓のダメージを測る指標として、血液中の「ALT」という物質の量がよく使われます。肝臓の細胞が破壊されているときにALTが増えるといわれています。

今回の研究は、ウルソデオキシコール酸(UDCA)がALTの上昇を抑制できるか検証するために以下の通りに行われました。

アラニンアミノ基転移酵素(ALT)が高い慢性C型肝炎患者を、24週間のUDCA使用量が150mg/日(n=199)、600mg/日(n=200)、900mg/日(n=197)にランダムに振り分けた。

ALT、アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST)、γ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)の変化を評価した。

ウルソデオキシコール酸の使用量別に3群に振り分け、肝臓のダメージを反映する血液検査の値を比較しました。

 

◆ウルソデオキシコール酸1日600mg、または900mgで検査値が改善

調査の結果、以下のことを報告しました。

変化の中央値は(150、600、900mg/日、それぞれ)、ALTで-15.3%、-29.2%、-36.2%、ASTで-13.6%、-25.0%、-29.8%、GGTで-22.4%、-41.0%、-50.0%であった。 これらのバイオマーカーは、150mg/日の群の減少量がその他の2つの群よりも有意に小さかった。

ALTとASTの変化は600mg/日と900mg/日の群の間で違いはなかったが、GGTでは900mg/日の群で有意に低かった。

ウルソデオキシコール酸を1日600mgまたは900mg投与すると、150mg投与した場合よりも検査値をより改善するという結果でした。

この結果をうけて著者らは、「1日600mgのUDCAが慢性C型肝炎患者においてALTとASTを下げる最適な量である。さらに、1日900mgの投与量ではGGTの値を下げる[...]」と述べています。

 

炎症療法としては、強力ネオミノファーゲンシーの効果を以前に紹介しています。合わせてご覧ください。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

A large-scale, multicentre, double-blind trial of ursodeoxycholic acid in patients with chronic hepatitis C.

Gut. 2007 Dec

[PMID: 17573387]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。