原発性胆汁性肝硬変を治療、オベチコール酸の効果とは

原発性胆汁性肝硬変は、免疫の異常により、黄疸などの症状とともに肝臓の障害を起こす病気です。肝臓を守る治療薬としてウルソデオキシコール酸がありますが、効果が十分に得られなかった場合を対象に、オベチコール酸による治療の効果が研究されました。
◆ウルソデオキシコール酸治療後の人が対象
この研究は、
対象者はもともと使っていたウルソデオキシコール酸に加えて、オベチコール酸を使うか偽薬を使うかにランダムに分けられ、3か月の治療を受けました。
◆オベチコール酸でALPが減少
次の結果が得られました。
オベチコール酸治療を受けた対象者に、ベースラインから研究終了までに平均ALPの
有意 な減少があった(P<0.0001、すべてのオベチコール酸群と偽薬群の比較)。ALP値はオベチコール酸群では平均でベースラインと比べて21%から25%減少し、偽薬群では3%減少した。かゆみが代表的な有害事象であり、発生率は偽薬群で50%に対してオベチコール酸10mg群で47%(偽薬群と有意差なし)、25mg群で87%(P<0.0003)、50mg群で80%(P<0.006)だった。
オベチコール酸を使ったグループで、偽薬のグループよりもALPが改善しました。副作用として、かゆみが現れる頻度が偽薬のグループよりも多くなりました。
原発性胆汁性肝硬変を根治する治療は知られていません。肝臓のダメージが進んで肝硬変となるのを抑える治療法が探られる中で、この結果がひとつの材料になるかもしれません。
執筆者
Efficacy of obeticholic acid in patients with primary biliary cirrhosis and inadequate response to ursodeoxycholic acid.
Gastroenterology. 2015 Apr
[PMID: 25500425]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。