乳腺線維腺腫の検査について:乳がんとの区別に必要となる
乳腺線維腺腫が疑われる人には診察や検査が行われます。その主な目的は乳がんとの区別です。特に、
1. 問診
【乳腺線維腺腫が疑われる人への問診例】
症状については自分でわかる範囲の内容を伝えてください。乳がん検診などで偶然疑われることもあるので、症状がなければ「無症状」と答えてもらって問題ありません。また、乳腺線維腺腫が疑われた場合、乳がんとの区別が重要になります。血縁者に乳がんや卵巣がんの人がいると乳がんになりやすいことが知られているので、できれば血縁者の病気について日頃から把握しておくようにしてください。 問診できちんと情報を伝えるには、事前の準備が大事です。上のリストを参考にして自分なりにまとめてから受診すれば、伝え忘れを減らせるでしょう。
2. 身体診察
身体診察とは身体をみたり触ったりして身体の状況を詳しく調べることです。問診で得た情報をもとにして、詳しく身体をすみずみまで調べます。乳腺線維腺腫が疑われる場合、乳房の診察が重点的に行われます。具体的には、しこりの大きさや形、可動性などが調べられます。
3. 画像検査
身体の中を画像として映し出す検査を総称して画像検査と呼びます。乳房の検査としてよく知られている
マンモグラフィ検査
マンモグラフィ検査は放射線を利用して乳房の様子を観察する検査です。乳房を圧迫した状態で検査が行われるので痛みをともないますが、乳房を圧迫するのは放射線量をなるべく少なくするために必要なことなのです。 より詳しくは「こちらのページ」で説明しているので、参考にしてください。
超音波検査
超音波とは人の耳には聞こえないような高い振動数の音です。超音波を利用することで、身体の断面を画像化することができます。マンモグラフィ検査とは違って放射線を使わないので、被ばくの心配はありません。マンモグラフィ検査ではわかりづらい病気の部位を超音波検査では詳しく調べることができます。
MRI検査
4. 病理学的検査
病気が疑われる部分を取り出したものを顕微鏡でみて、病気の有無などを判断する検査を病理学的検査といいます。乳腺線維腺腫の病理学的検査には「
細胞診
細胞診とは病気の部分から取り出した細胞を観察することです。具体的には、病気が疑われる部分に細い針を刺して、
組織診
細胞がいくつも集まって、まとまりになったものを組織といいます。細胞診は一つ一つの細胞を観察するのに対して、組織診では組織としてまとまった細胞を観察します。多くの細胞を検査の対象とすることができ、細胞同士の関係も観察することができるので、細胞診に比べて診断の精度が高いという利点があります。その一方で、細胞診より太い針を刺さなければならなかったり、皮膚を数センチ切開する必要があることから、組織診に比べて痛みも強くなります。痛みを伴う検査になりますが、麻酔をして行うことが多いので、怖がらなくても大丈夫です。組織診の結果が最終的な判断材料になることが多いので、乳がんとの区別が難しい場合には特に重要な検査に位置づけられます。
参考文献
・ Michael S Sabel,MD., Overview of benign breast disease. UpToDate
・日本乳癌学会, 「患者さんのための乳癌診療ガイドライン」
・日本乳癌学会, 「乳癌診療ガイドライン」
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