[医師監修・作成]乳腺線維腺腫の検査について:乳がんとの区別に必要となる | MEDLEY(メドレー)
にゅうせんせんいせんしゅ
乳腺線維腺腫
乳房にできる良性の腫瘍性病変。15-30歳くらいの女性に多く見られる
6人の医師がチェック 47回の改訂 最終更新: 2020.07.01

乳腺線維腺腫の検査について:乳がんとの区別に必要となる

乳腺線維腺腫が疑われる人には診察や検査が行われます。その主な目的は乳がんとの区別です。特に、マンモグラフィー検査や超音波検査といった画像検査と、病気の部分の一部を取り出して調べる病理学的検査が重要です。

1. 問診

問診とは対話形式による診察のことです。患者さんがお医者さんに症状や身体の状況などの情報を伝えます。患者さんから情報をもとにしてお医者さんがより詳しく質問します。

【乳腺線維腺腫が疑われる人への問診例】

  • どんな症状があるのか
  • 症状はいつからあるのか
  • 症状に変化はあるのか
  • 持病や過去にかかった病気
  • 血縁者に乳がん卵巣がんにかかった人がいるか
  • 内服中の薬
  • 喫煙歴
  • 飲酒歴

症状については自分でわかる範囲の内容を伝えてください。乳がん検診などで偶然疑われることもあるので、症状がなければ「無症状」と答えてもらって問題ありません。また、乳腺線維腺腫が疑われた場合、乳がんとの区別が重要になります。血縁者に乳がん卵巣がんの人がいると乳がんになりやすいことが知られているので、できれば血縁者の病気について日頃から把握しておくようにしてください。 問診できちんと情報を伝えるには、事前の準備が大事です。上のリストを参考にして自分なりにまとめてから受診すれば、伝え忘れを減らせるでしょう。

2. 身体診察

身体診察とは身体をみたり触ったりして身体の状況を詳しく調べることです。問診で得た情報をもとにして、詳しく身体をすみずみまで調べます。乳腺線維腺腫が疑われる場合、乳房の診察が重点的に行われます。具体的には、しこりの大きさや形、可動性などが調べられます。

3. 画像検査

身体の中を画像として映し出す検査を総称して画像検査と呼びます。乳房の検査としてよく知られているマンモグラフィ検査もこの画像検査に含まれます。

マンモグラフィ検査

マンモグラフィ検査は放射線を利用して乳房の様子を観察する検査です。乳房を圧迫した状態で検査が行われるので痛みをともないますが、乳房を圧迫するのは放射線量をなるべく少なくするために必要なことなのです。 より詳しくは「こちらのページ」で説明しているので、参考にしてください。

超音波検査

超音波とは人の耳には聞こえないような高い振動数の音です。超音波を利用することで、身体の断面を画像化することができます。マンモグラフィ検査とは違って放射線を使わないので、被ばくの心配はありません。マンモグラフィ検査ではわかりづらい病気の部位を超音波検査では詳しく調べることができます。

MRI検査

MRI検査は超音波検査同様に身体の断面を画像化する検査です。超音波ではなく、磁気を利用します。マンモグラフィ検査や超音波検査に比べて、より詳しく病気が疑われる部位を調べられると考えられています。このため、マンモグラフィ検査でも超音波検査でもはっきりとしない人に行われると考えてください。 検査は筒状の機械に入って行い、検査時間は数十分です。検査の原理や様子については「MRI検査を受けるまえに知っておきたいこと」を参考にしてください。

4. 病理学的検査

病気が疑われる部分を取り出したものを顕微鏡でみて、病気の有無などを判断する検査を病理学的検査といいます。乳腺線維腺腫の病理学的検査には「細胞診」と「組織診」の2つの方法があります。

細胞診

細胞診とは病気の部分から取り出した細胞を観察することです。具体的には、病気が疑われる部分に細い針を刺して、病変の一部を吸い出します。この次に説明する、組織診より身体への負担が小さくてすむので、組織診に先立って行われることが多いです。しかしながら、細胞単位でしか病気を観察できないので、精度は組織診断に比べて劣ります。

組織診

細胞がいくつも集まって、まとまりになったものを組織といいます。細胞診は一つ一つの細胞を観察するのに対して、組織診では組織としてまとまった細胞を観察します。多くの細胞を検査の対象とすることができ、細胞同士の関係も観察することができるので、細胞診に比べて診断の精度が高いという利点があります。その一方で、細胞診より太い針を刺さなければならなかったり、皮膚を数センチ切開する必要があることから、組織診に比べて痛みも強くなります。痛みを伴う検査になりますが、麻酔をして行うことが多いので、怖がらなくても大丈夫です。組織診の結果が最終的な判断材料になることが多いので、乳がんとの区別が難しい場合には特に重要な検査に位置づけられます。

参考文献

・ Michael S Sabel,MD., Overview of benign breast disease. UpToDate
・日本乳癌学会, 「患者さんのための乳癌診療ガイドライン
・日本乳癌学会, 「乳癌診療ガイドライン
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