ひふそうようしょう
皮膚掻痒症
明らかな皮膚病変がないにもかかわらず、かゆみがでる病気
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最終更新: 2023.10.28
皮膚掻痒症の基礎知識
POINT 皮膚掻痒症とは
明らかな皮膚の病変がないにも関わらず、かゆみが出た状態です。皮膚掻痒症には汎発性(全身にかゆみが出るもの)と、限局性(身体の一部にかゆみが出るもの)の2つに大別されます。腎臓や肝臓をはじめとした病気が原因で皮膚掻痒症になることがあるので、原因となる病気が隠れていないかを調べます。病気がある人ではまずそちらの治療をします。かゆみに対しては、皮膚の乾燥がある人では保湿剤がまず試されます。他にも様々な内服薬が試されます。皮膚掻痒症で困っている人はまずは皮膚科を受診してください。
皮膚掻痒症について
皮膚掻痒症の症状
- 明らかな皮膚
病変 がないが、全身または体の一部にかゆみがでる - かゆみのために、引っ掻くことで二次的な病変を引き起こすことはある
皮膚掻痒症の検査・診断
- 原因となる疾患の検査を行う
- 血液検査
レントゲン (X線 )検査 など
皮膚掻痒症の治療法
- 原因となる疾患に対して治療をする
- かゆみに対する薬物療法
- 皮膚保湿の塗り薬
- 抗
ヒスタミン 薬、抗アレルギー 薬の飲み薬 - 肝臓や腎臓の病気が原因の時にはナルフラフィン(レミッチ®)なども用いられる
- 腎臓の病気で
透析 中の人には、透析のときにジフェリケファリン(コルスバ®)という注射薬も選択肢になる - 他にも様々な治療が試される
- 以下のことに気をつける
- 皮膚の乾燥を防ぎ、保湿を行う
- 皮膚を引っ掻かないようにする
皮膚掻痒症に関連する治療薬
抗ヒスタミン薬(外用塗布剤)
- 体内物質ヒスタミンの働きを抑えることで、痒みや赤みなどの皮膚症状を和らげる薬
- 湿疹は様々な要因により体内のアレルギー反応を引き起こす物質により、皮膚の痒みや赤みなどが生じる
- 体内のアレルギー反応を引き起こす物質にヒスタミンがある
- 本剤は抗ヒスタミン作用をあらわす成分を含む外用塗布薬
- 本剤に使われる主な成分にジフェンヒドラミンがある
抗ヒスタミン薬(内服薬・注射剤・貼付剤)
- 神経伝達物質ヒスタミンの働きを抑えることでアレルギー反応を抑え蕁麻疹、花粉症、喘息などによる、皮膚の腫れや痒み、鼻炎(くしゃみや鼻みずなど)、咳などの症状を改善する薬
- 蕁麻疹、皮膚炎、アレルギー性鼻炎、喘息などでは何らかの原因によって体内でアレルギー反応が起こり症状があらわれる
- 神経伝達物質のヒスタミンはアレルギー反応を引き起こす体内物質のひとつ
- 本剤はヒスタミンの働きを抑える作用(抗ヒスタミン作用)をあらわす
- 抗ヒスタミン作用に加え、ほかの作用によってもアレルギー反応を抑える薬剤もある
ナルフラフィン(掻痒症改善薬)
- 体内のオピオイドκ受容体へ作用することで、透析などを起因とする強い痒みを改善する効果をあらわす薬
- 透析や肝硬変などを起因とする痒みは症状が強くあらわれる場合もあり、抗ヒスタミン薬などの一般的な痒みを抑える薬によっても改善しにくいこともある
- 中枢神経や末梢神経にあるオピオイド受容体のタイプの中でもκ受容体は痒みと深く関わるとされている
- 本剤は主にκ受容体に作用することで透析や慢性肝疾患などによる痒みなどを改善する効果をあらわす
- 本剤は通常、一般的な痒み止め(抗ヒスタミン薬など)によっても治療効果が十分でない掻痒症に対して使われる
- モルヒネなどの投与によって引き起こされる痒みに対しての有用性も考えられる