ナルフラフィン(掻痒症改善薬) - 解説(効能効果・副作用・薬理作用など) | MEDLEY(メドレー)
ナルフラフィン(掻痒症改善薬)
体内のオピオイドκ受容体に作用することで、透析や慢性肝疾患などを起因とする強い痒みを改善する薬

ナルフラフィン(掻痒症改善薬)の解説

ナルフラフィン(掻痒症改善薬)の効果と作用機序

  • 体内のオピオイドκ受容体へ作用することで、透析などを起因とする強い痒みを改善する効果をあらわす薬
    • 透析や肝硬変などを起因とする痒みは症状が強くあらわれる場合もあり、抗ヒスタミン薬などの一般的な痒みを抑える薬によっても改善しにくいこともある
    • 中枢神経や末梢神経にあるオピオイド受容体のタイプの中でもκ受容体は痒みと深く関わるとされている
    • 本剤は主にκ受容体に作用することで透析や慢性肝疾患などによる痒みなどを改善する効果をあらわす
  • 本剤は通常、一般的な痒み止め(抗ヒスタミン薬など)によっても治療効果が十分でない掻痒症に対しての使われる
  • モルヒネなどの投与によって引き起こされる痒みに対しての有用性も考えられる

ナルフラフィン(掻痒症改善薬)の薬理作用

皮膚掻痒症は何らかの原因によって明らかな皮膚病変がないにもかかわらず痒み(かゆみ)が出る病気で、掻痒(かゆい所を引っ掻くこと)により皮膚を傷つけてしまうなど二次的な病変を引き起こすこともある。

透析などによって起こる掻痒症は一般的に炎症などを伴わない全身性の強い痒みがあらわれることがあるが、原因がハッキリとは解明されていない。

中枢神経や末梢神経にあるオピオイド受容体は疼痛、鎮静、鎮咳、消化管運動抑制などに関わり、そのサブタイプとしてμ(ミュー)、δ(デルタ)、κ(カッパ)の種類がある。この中でもκ受容体は透析による痒みなどに対して深く関わるとされている。また透析以外にも、肝硬変や慢性腎不全による皮膚掻痒症、モルヒネの投与による中枢性の痒みなどはオピオイド受容体の関与が考えられている。(モルヒネ投与による痒みはオピオイドμ受容体への刺激作用によるものとされμ受容体の拮抗薬により改善が期待できる。ナルフラフィンなどのオピオイドκ受容体作動薬は、鎮痛作用に関してはμ作動薬と同様だが、痒みに対してはμ受容体の作用に拮抗し、痒みを抑える方向に働くとされている。)

ナルフラフィンはオピオイドκ受容体に選択的に作用することで、透析や慢性肝疾患などによって引き起こされる掻痒症の改善効果が期待でき、特に抗ヒスタミン薬などによる治療によっても効果が十分に得られないような病態などに対して有用性が考えられる。

ナルフラフィン(掻痒症改善薬)の主な副作用や注意点

  • 精神神経系症状
    • 不眠、眠気、めまい、頭痛などがあらわれる場合がある
  • 消化器症状
    • 便秘、口渇、吐き気などがあらわれる場合がある
  • 泌尿器症状
    • 頻尿、多尿などがあらわれる場合がある
  • 肝機能障害
    • 頻度は稀とされるが、ASTやALTなどの数値の上昇などを伴う肝機能異常があらわれる場合がある
    • 倦怠感、食欲不振、発熱、黄疸発疹、吐き気、痒みなどがみられ症状が続く場合には放置せず、医師や薬剤師に連絡する
  • 相互作用(飲み合わせ)に注意する食品など
    • グレープフルーツなどの摂取によって本剤の血中濃度が変動する可能性があり注意が必要

ナルフラフィン(掻痒症改善薬)の一般的な商品とその特徴

レミッチ

  • 服用方法などに関して
    • 通常、1日1回、夕食後又は就寝前に服用する
    • 食事による影響は受けにくく食事の有無によらず服用可能(ただし、薬物代謝酵素に影響を与えるグレープフルーツなどの飲食物は除く)
  • 剤形(剤型)に関して
    • カプセル剤のほか、OD錠(口腔内崩壊錠)があり、嚥下能力が低下した患者などへのメリットが考えられる