[医師監修・作成]卵巣がんの症状について:腹水・下腹部痛など | MEDLEY(メドレー)
らんそうがん
卵巣がん
卵巣にできた悪性腫瘍のこと。大きく3種類に分けられるが、上皮性卵巣がんというタイプが多い
10人の医師がチェック 112回の改訂 最終更新: 2022.07.21

卵巣がんの症状について:腹水・下腹部痛など

卵巣がんは、検診などによる発見が難しく、主に自覚症状から見つかります。ここでは、卵巣がんの人に「よく見られる症状」に加えて、再発・転移・末期の症状も説明します。

1. 卵巣がんの主な自覚症状について:腹水・下腹部痛・腰痛など

早期の卵巣がんの症状はほとんど自覚されないので、進行した状態で発見されることが多いです。卵巣がんが見つかるきっかけになる症状には次のものがあります。

【卵巣がんの主な自覚症状】

  • 腹部膨満感:腹部の膨らみ
  • 腹痛
  • 骨盤痛
  • 腰痛
  • 易疲労感:疲れやすさ
  • 食思不振
  • 不正出血:月経(生理)や分娩、産褥期(出産直後)以外で起こる性器の出血

上記の症状は他の病気でも見られるものです。卵巣がんに特有の症状はほとんどないので、症状から卵巣がんかどうかを判断することは難しいです。卵巣がんに限らず症状の原因は診察や検査によって明らかになります。心配な人は医療機関を受診して調べてもらってください。

2. 卵巣がんが再発した場合の症状について

治療をしてがんが一度は消えたものの、再びがんが見つかることを再発と言います。症状から再発が見つかることもあれば、無症状にも関わらず見つかることもあります。

再発しても無症状のことがある

がんが再発しても、ある程度の大きさにならなければ、症状は現れません。治療後の定期的な画像検査で、がんがとても小さな状態で見つかった人のほとんどが無症状です。再発したがんが小さなうちに見つかると、治療を早く始められるメリットがあります。定期的な検査が必要と言われている間は欠かさず受診するようにしてください。

がんが再発した部位によって症状が異なる

全身のどこにでも再発は起こりえます。再発による症状は場所によって異なります。例えば、お腹の中に再発した場合は、腹部に張りを感じますし、肺に再発した場合は、呼吸が苦しくなることがあります。卵巣がんの再発はお腹の中に起こりやすく、腹部が張りや痛みを感じます。 一方で、がんの治療後に現れる症状は再発によるものとは限りません。先に例に出した、お腹張りは便秘でも起こりますし、呼吸の苦しさは肺炎で起こることもあります。症状から再発の有無を見分けることは簡単ではありません。気になる症状がある人はかかりつけのお医者さんを受診して原因について調べてもらってください。

3. 卵巣がんが転移した場合の症状について

卵巣がんが進行すると転移をします。転移とは、がんが発生した場所から他の場所に移って大きくなることを指します。卵巣がんが転移をしやすいのは、腹腔(お腹の臓器が収まっている空間)、リンパ節、肺などです。転移をした場所によって現れる症状が異なります。例えば、肺に転移をした場合には、咳や血液混じりの痰などの症状が現れますし、腹膜への転移ではお腹のスペースに水分(腹水)が溜まって張りを感じます。

また、再発と同じ話になりますが、無症状にも関わらず転移が見つかることがあります。無症状であっても、状況に合わせてがんが大きくなる前に手術や抗がん剤治療放射線治療が始められます。

4. 卵巣がんの末期の症状について

卵巣がんに限らず「がんの末期」には明確な定義がありません。ここでは末期は抗がん治療(手術や抗がん剤治療、放射線治療)が行えない状態を指すことにします。一人ひとりで状態は異なりますが、卵巣がんの末期では腹水(お腹の中に水分が溜まること)・胸水(肺の周りに水分が溜まること)や悪液質といった症状が現れることが多いです。

腹水・胸水の症状について

お腹の中の水分の溜まりを腹水、肺の周りの水分の溜まりを胸水と言います。末期になると、腹水や胸水が目立つようになります。腹水が多くなると、お腹が張り、胃や腸が圧迫されて食欲が低下し、栄養状態が悪化していきます。一方、胸水が多くなると、呼吸に影響を与えて息苦しさの原因になります。身体に針を刺して溜まった水分を抜いたり、利尿剤(尿量を増やす薬)を利用することで、腹水や胸水の症状が和らぐことがあります。

悪液質の症状について

がんが進行すると、身体に悪影響を及ぼすさまざまな物質が作られて、悪液質という状態を起こします。悪液質の状態になると、がん細胞に栄養が奪われてしまい、倦怠感や食欲不振、浮腫むくみ)といったさまざまな症状が現れ、徐々に全身が衰弱していきます。

末期症状の患者さんに周りの人ができること

患者さんの末期の症状を少しでも和らげるために、周囲の人もにできるサポートがあります。例えば、患者さんが安心して落ち着いた時間を過ごせるような雰囲気づくりをしてあげるのも一つの方法です。患者さんの好きな音楽を流すことや気に入っている香りで部屋を満たすことなどを試してみてください。あるいは、ただそばにいてあげるだけでも十分です。患者さんが「自分は1人ではない」という安心を感じ取ることが大切です。

がんの緩和治療や末期のときの過ごし方の詳しい説明は「こちらのページ」を参考にしてください。

【参考文献】

・がん情報サービス「がんの統計'22
・「卵巣がん治療ガイドライン2015年版」(日本婦人科腫瘍学会/編)、金原出版
・「がん診療レジデントマニュアル(第7版)」(国立がん研究センター内科レジデント/編)、医学書院、2016年
・「産婦人科研修の必修知識2016-2018」、日本産科婦人科学会、2016年
NCCN ガイドライン 卵巣がん