2017.12.07 | ニュース

再発卵巣がんの抗がん剤治療後、オラパリブで進行・死亡を防げるか

295人の治療で検証

from Lancet Oncology

再発卵巣がんの抗がん剤治療後、オラパリブで進行・死亡を防げるかの写真

卵巣がんの治療ではプラチナ製剤などの抗がん剤に重要な役割があります。抗がん剤で効果が現れている人に対してオラパリブの効果が検討されました。

オラパリブは進行・死亡を防げるか?

日本を含む世界各国で行われた研究の結果が、専門誌『Lancet  Oncology』に報告されました。

この研究は、オラパリブの効果を調べるため、有効成分のない偽薬と比較しています。

以下の条件すべてを満たす人が対象とされました。

  • 18歳以上
  • 治療後に再発した卵巣がん原発性他の病気や外部の要因によってではなく、その病気自体が自然発生したものであるということ。「二次性、続発性、転移性」と対比的に用いられる腹膜がん無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがある、卵管がんを含む)がある
  • がんの分類で高グレード漿液性がんまたは高グレード類内膜がんに当たる
  • 以前に2種類以上の化学療法がんの治療の一種で、抗がん剤を使った治療の総称抗がん剤治療がんの治療の一種で、抗がん剤を使った治療の総称)を受けている
    • プラチナ製剤を含む化学療法の終了から6か月以上の間隔があって再発した
    • 再発後の化学療法はプラチナ製剤を含んで4サイクル以上行われ、がんが小さくなるなどの効果を現した
    • 再発後の化学療法が終わってから8週間以内に研究に参加した
  • BRCA1またはBRCA2の遺伝子変異がある
  • 軽作業や座っての作業ができるかそれ以上の体力がある

295人が対象となり、オラパリブを1日2回飲むグループ(196人)と偽薬を1日2回飲むグループ(99人)にランダムに分けられました。

効果判定のため、がんの進行がないまま生存した期間を比較すると決められました。

 

19.1か月 vs 5.5か月

オラパリブのグループでは、半数の人が19.1か月以上、がんの進行がないまま生存しました。偽薬のグループでは、半数の人が5.5か月以上、がんの進行がないまま生存しました。

オラパリブのグループのほうが進行または死亡の率が少ないと見られました。

副作用やその他の原因による有害な出来事で、入院を必要とする程度以上のものは、表の割合で発生しました。

  オラパリブ

偽薬

貧血

38人(19%)

2人(2%)

疲労・虚弱

8人(4%)

2人(2%)

好中球血液中にある白血球の一種で、細菌や真菌に対する免疫を担っている減少

10人(5%)

4人(4%)

オラパリブのグループで1人が急性骨髄性白血病により死亡し、治療と関係があると判断されました。

 

卵巣がんにオラパリブは有効?

卵巣がんに対するオラパリブの研究を紹介しました。

オラパリブ(商品名リムパーザ®)は日本では、2017年11月24日の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会で「白金系抗悪性腫瘍無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがある剤感受性の再発卵巣がんにおける維持療法」を効能・効果として承認を了承されました。承認されれば今後の選択肢のひとつとなる可能性があります。

効果と害を見積もってひとりひとりに合った治療法を選ぶため、実際に試された研究でのデータを参考にすることができます。

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

Olaparib tablets as maintenance therapy in patients with platinum-sensitive, relapsed ovariancancer and a BRCA1/2 mutation (SOLO2/ENGOT-Ov21): a double-blind, randomised, placebo-controlled, phase 3 trial.

Lancet Oncol. 2017 Sep;18(9):1274-1284.

[PMID: 28754483]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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