うぇるにっけのうしょう
ウェルニッケ脳症
ビタミンB1(チアミン)が不足することによって起こる脳の病気。アルコール依存症にともなって起こることが多い
11人の医師がチェック 127回の改訂 最終更新: 2017.12.06

ウェルニッケ脳症の基礎知識

POINT ウェルニッケ脳症とは

ウェルニッケ脳症はビタミンB1が不足することによって脳が障害される病気です。意識障害・運動失調・眼球運動障害が起こるのが特徴です。主な原因としてアルコールの過剰摂取・栄養不足などがあります。 検査は血液検査・頭部MRI検査などを行います。ビタミンB1(飲み薬・点滴)を使用して治療を行います。今いる場所がわからない・まっすぐ立ったり歩いたりすることができない・眼球の運動が制限されるなどの症状が出たら医療機関にかかって下さい。その際は神経内科にかかることをおすすめします。

ウェルニッケ脳症について

  • ビタミンB1(チアミン)の不足により起こる脳の障害
    • ビタミンB1は糖分の代謝に使われる物質
  • 主な原因
    • アルコールの過剰摂取(アルコール分解にチアミンが使われるため)
    • 下痢によるチアミンの吸収不良
    • 胃の全摘手術による栄養欠乏
    • 食事の偏りによる栄養不足
    • アルコール依存症摂食障害を伴う場合が多い
    • 低栄養の患者(衰弱した高齢者、アルコール依存症妊娠悪阻など)にビタミンを含まずブドウ糖ばかりが入った点滴をしたとき

ウェルニッケ脳症の症状

  • 意識障害せん妄など)
    • 比較的、急に起こるのが特徴
  • 眼球運動障害
    • 眼球が動かしづらくなる
      ・より目になってしまうことが多い(外転障害)
      ・稀に全く動かなくなることもある
    • 小刻みに揺れる(眼振
  • 運動失調
    • 小脳(体のバランスをコントロールする部分)に障害が起こり、ふらふらしてしまう
  • 上記3点が中心的な症状だが、全てが揃うのは患者の3分の1に過ぎない
  • 症状の進行により、物忘れが主症状となる(コルサコフ症候群
    • 物忘れを作り話で取りつくろうとする
    • コルサコフ症候群になると、ビタミンB1を使っても治らない

ウェルニッケ脳症の検査・診断

  • 血液検査:栄養状態、チアミンの血中濃度を調べる
  • 腰椎穿刺:正常であることが多いが、他の病気との区別に役立つ
  • 脳波:半数程度の患者で、軽度の全般徐波化と呼ばれる変化が見られる
  • 頭部MRI検査:脳の障害の程度や、他の疾患の可能性について調べる
    • 第3脳室に沿った視床、視床下部や中脳水道などに左右対称な異常が見られる
    • ビタミンB1(チアミン)を補充してから48時間経つとMRI検査の変化が消失している
  • 低血糖や頭部外傷など、症状の似た他の原因を除外する必要がある

ウェルニッケ脳症の治療法

  • 主な治療はビタミンB1の使用
    • 点滴薬と飲み薬がある
  • 以下の順で症状が改善しやすい
    • 眼の症状
    • 意識障害
    • 運動失調
  • 予防、再発予防方法
    • 断酒が重要
    • その他栄養の偏りを無くすような食生活を心がける
    • 妊婦の場合、つわりで栄養不足に陥っていることがあり、サプリメントなどで補う必要がある
  • 長期的な経過
    • ビタミンB1の補充開始が早ければ早いほど経過は良好

ウェルニッケ脳症に関連する治療薬

ビタミンB1製剤

  • ビタミンB1を補い、しびれ、むくみ、動悸、食欲不振、神経や運動機能の低下などを改善する薬
    • ビタミンB1は水溶性(水に溶けやすい性質)ビタミンで、糖の代謝に関与する
    • ビタミンB1が不足するとエネルギー生産が滞り疲労物質が蓄積しやすくなる
    • ビタミンB1が不足すると中枢神経や末梢神経の働きが不調になる場合がある
  • ビタミンB1欠乏症にはウェルニッケ脳症、コルサコフ症候群、脚気などがある
ビタミンB1製剤についてもっと詳しく

ウェルニッケ脳症の経過と病院探しのポイント

ウェルニッケ脳症が心配な方

ウェルニッケ脳症では、今いる場所がわからなくなってしまう、つじつまの合わない言動が見られるといった意識障害や、まっすぐ立ったり歩いたりできないなどの運動失調、そして眼球の動きが制限されたり鈍くなったりする眼球運動障害が特徴です。ビタミンB1の不足が原因ですが、極めて偏った食生活や栄養不足でない限り、あまり見られることがない病気です。少々食事が摂れなかったり、食生活で人より好き嫌いが強かったりという程度では心配ありません。

ウェルニッケ脳症の方には、長期的なアルコール依存症の方が多いです。毎日食事を摂らずにお酒を飲んで、つまみはビタミンを含まないものだけを食べる、といった生活を続けている場合、ウェルニッケ脳症の危険性があります。

ご自身またはお近くの方にウェルニッケ脳症でないかと心配になるような症状が出た場合には、まずは内科や精神科のクリニックを受診されることをお勧めします。もし意識障害が強くて本人から受診の同意が得られず、それでも明らかに周囲からみて様子がおかしいような場合には救急車での対応が必要となることもあるでしょう。

ウェルニッケ脳症に関連する診療科の病院・クリニックを探す

ウェルニッケ脳症でお困りの方

ウェルニッケ脳症については病院で診断がつき次第その場で治療が開始されますし、治療の方法にバリエーションが少ないため、どこでどのような治療を受けるか迷う余地は少ない病気かもしれません。治療の主体は、ビタミンB1の補充と食生活の改善です。ビタミンの補充はどこの医療機関でも可能ですが、意識障害や運動失調が強い場合は一時的に入院の上で治療を行います。

また、アルコール依存症が原因となっている場合にはそちらの治療も必要です。精神科への通院や、断酒会などいくつかの取り組み方があります。詳しくはアルコール依存症のページもご参考になさってください。

ウェルニッケ脳症に関連する診療科の病院・クリニックを探す

ウェルニッケ脳症が含まれる病気

ウェルニッケ脳症のタグ

ウェルニッケ脳症に関わるからだの部位

医師登録をしてMEDLEYの編集に協力する