虚血性大腸炎の原因:糖尿病・高血圧・透析治療など
虚血性大腸炎は大腸への血流が一時的に悪くなることが原因で起こる病気です。大腸の血流が悪くなることにはいくつか原因があります。虚血性大腸炎に注意が必要な人や原因になる生活習慣について解説します。
1. 虚血性大腸炎に注意が必要な人
虚血性大腸炎は大腸への血流が悪くなることによる様々な症状が現れる病気です。大腸の血流が悪くなりやすく虚血性大腸炎に注意が必要な人は以下のような条件の人だと考えられています。
以下でそれぞれについて解説します。
参考文献
・Am J Gastroenterol.2015;110:18-44
・矢﨑義雄/編, 朝倉内科学, 朝倉書店, 2019
・福井次矢, 黒川 清/日本語監修, ハリソン内科学 第5版, MEDSi, 2017
高齢者
年齢を重ねると血管が硬くなったり細くなったりします。年齢を重ねると心臓や血管の病気が増えていく原因の一つです。血管が細くなるとちょっとした影響で容易に血の巡りが悪くなります。
虚血性大腸炎は大腸への血流が悪くなることが原因だと考えられています。このため高齢者は虚血性大腸炎が起こりやすく注意が必要です。
便秘
便秘は虚血性大腸炎の原因になる生活習慣の一つです。便秘がちになると腸の中に便が溜まり腸の中の圧力(腸管内圧)が常に高い状態が続きます。腸管内圧が高い状態になると腸の血流が低下します。血流が低下が著しいと虚血性大腸炎が起こると考えられています。
脱水状態の人
血液がかたまりやすい持病がなくても血のかたまりができることがあります。体の中から水分が失われる脱水の状態になると大腸への血流も少なくなります。大腸への血流の低下は虚血性大腸炎の原因になります。
マラソンなどの極度の脱水になる競技後に虚血性大腸炎を起こした人は過去にも報告されています。
高血圧・脂質異常症・糖尿病の持病がある人
糖尿病や高血圧の人は血管がもろくなったり細くなったりする(
血液が固まりやすい持病がある人
虚血性大腸炎の原因は大腸の血流が悪くなることと考えられています。血のかたまりが血管の中にできると血流が悪くなります。血液がかたまりやすい病気がある人は小さな血の塊が大腸に向かう血管にできてしまい大腸の血流が悪くなることはありうる話です。
抗リン脂質
透析治療を行っている人
透析治療は腎臓の機能が命を維持するために必要な水準を下回った人に対して行う治療です。透析治療にはいくつか種類があります。ここでは血液を抜いて機械で老廃物を取り除いて体に返す
- 血管が細くなりやすい
- 血圧が下がりやすくなる
透析治療をしているとリンやカルシウムなどの物質が体の中にたまりがちになります。リンやカルシウムが体にたまると血管にも蓄積して血管が細くなります。
透析治療をした直後には血圧が下がってしまうことがあります。血圧が下がるとそれに伴って腸への血流も少なくなります。
血管が細くなったり血圧が下がると腸への血流が低下して虚血性大腸炎が起こりやすくなります。
心臓の機能が低下している人
心臓は全身に血液を送り出すポンプのような働きをしています。ポンプである心臓の機能が低下すると全身の血液の流れが足りなくなることがあります。大腸への血流が少なくなると虚血性大腸炎が起こります。
腹部の血管の手術歴がある人
腹部