しきゅうふぞくきえん
子宮付属器炎
卵巣と卵管(子宮と卵巣をつなぐ管)に炎症が起こっている状態。主には細菌やクラミジアなどの感染によって起こる
6人の医師がチェック 115回の改訂 最終更新: 2018.06.06

子宮付属器炎の基礎知識

POINT 子宮付属器炎とは

子宮付属器(卵巣・卵管など)に炎症が起こった状態です。原因は性感染症や不清潔な環境での性行為が多いです。主な症状は、下腹部の痛み・発熱・膿のあるおりものなどになりますが、症状の自覚がない場合もあります。そのため、子宮付属器炎が起こっていることに気付かない場合がありますが、感染が慢性化すると骨盤内炎症性疾患に至り、不妊や子宮外妊娠を起こすことがあります。そのため、疑わしい状況(不特定多数との性行為やコンドームをつけない性行為)や疑わしい症状が出た場合は、検査を行うようにして下さい。 検査は、問診・内診や血液検査・画像検査(エコー検査やMRI検査)・細菌検査を行って診断します。治療は抗菌薬を用いて行いますが、膿が溜まっている場合は身体の外に出す処置(ドレナージ)を行う場合があります。子宮付属器炎が心配な人や治療したい人は、産婦人科・感染症内科を受診して下さい。

子宮付属器炎について

  • 子宮付属器(卵巣と卵管)が病原菌に感染し、炎症を起こした状態
    • 病原体が、腟や子宮を通って子宮付属器に感染することが原因で起こる
    • 免疫が低下していたり、大量の病原体が侵入すると発症する
  • ほとんどの場合は、細菌の感染が原因
    • 原因となる病原菌
      ・クラミジア(クラミジア感染症
      淋菌淋菌感染症
      大腸菌
    • 不衛生な性行為や、性感染症の患者との性行為などで起こりやすい
  • その他に、子宮内での医療行為や、卵巣チョコレートのう胞、子宮の悪性腫瘍なども原因となる
  • 感染が周りに広がると骨盤腹膜炎を起こし重症化することがある
  • 原因菌がクラミジアの場合は気づかないうちに慢性化し、不妊の原因となることがある
    • 感染の初期は症状がほとんどがないので自覚されないことがほとんどである
    • 卵管が周囲の組織と癒着してしまうため精子が卵管に到達しにくくなる
    • 卵管が癒着すると子宮外妊娠のリスクも上昇してしまう

子宮付属器炎の症状

  • 症状を自覚しないことも多い
  • 主な症状
    • 下腹部の痛み
    • 発熱
    • の混ざったおりもの
  • 骨盤腹膜炎になっている場合は
    • 下腹部の痛み(押して離すときに強い痛みを感じる)
    • 吐き気
    • 嘔吐
  • 骨盤の下の方に膿がたまると(ダグラス窩膿瘍)、排便痛、排尿痛が起こる

子宮付属器炎の検査・診断

  • 内診:痛みが起こる部分を詳しく調べる
  • 血液検査:炎症反応を調べる
  • 画像検査:膿瘍ができているか、その他子宮、卵巣に病気がないかを調べる
    • 超音波検査
    • MRI検査
  • 細菌検査:原因となっている細菌を調べる
  • 子宮周囲の癒着を検査、治療するために、腹腔鏡下手術で検査、治療を同時に行うこともある
  • 下腹部痛を来す他の疾患(子宮外妊娠卵巣腫瘍茎捻転、虫垂炎、憩室炎尿管結石)などの除外が重要

子宮付属器炎の治療法

  • 原則は抗菌薬による治療
    • 軽症では外来での経口(飲み薬)抗菌薬の使用
    • 感染がひどければ入院して抗菌薬を点滴
  • 使用する抗菌薬の種類
    • セフェム系抗菌薬
    • クラミジア感染症も疑われる場合には、クラミジアに効くテトラサイクリン系抗菌薬、ニューキノロン系抗菌薬なども使用する
  • が溜まっている場合、炎症がある程度治まった段階でドレナージ(膿を体の外に出す)治療を行う
  • 症状がひどい場合は、手術を行うこともある
    • 手術方法は付属器切除術や子宮も切除する場合など状態によって様々
    • 患者の年齢や手術後の妊娠、出産の希望なども手術方法を決める上で重要
  • 長期的な経過
    • 適切な治療を行えば通常は完治する
    • 治療の開始時期が遅れ、骨盤腹膜炎を起こすと重症化して敗血症になることもある
    • 治ったあとに癒着が残ることも多く、不妊症子宮外妊娠を起こしやすくなる

子宮付属器炎に関連する治療薬

セフェム系抗菌薬

  • 細菌の細胞壁合成を阻害し細菌を殺すことで抗菌作用をあらわす薬
    • 細胞壁という防御壁をもつ細菌はこれがないと生きることができない
    • 細菌の細胞壁合成に深く関わるペニシリン結合タンパク質(PBP)というものがある
    • 本剤は細菌のPBPに作用し細胞壁合成を阻害することで細菌を殺す作用をあらわす
  • 妊婦にも比較的安全に投与できるとされる
  • 開発された世代によって第一世代〜第四世代に分けられる
    • 各世代で、各種細菌へ対して、それぞれ得手・不得手がある
    • 世代が同じであっても薬剤によって各種細菌に対して得手・不得手の違いが生じる場合がある
セフェム系抗菌薬についてもっと詳しく

マクロライド系抗菌薬

  • 細菌のタンパク質合成を阻害し細菌の増殖を抑えることで抗菌作用をあらわす薬
    • 細菌の生命維持や増殖にはタンパク質合成が必要となる
    • タンパク質合成はリボソームという器官で行われる
    • 本剤は細菌のリボソームでのタンパク質合成を阻害し細菌の増殖を抑える
  • マイコプラズマやクラミジアなどの菌に対しても高い抗菌作用をあらわす
  • 服用する際、比較的苦味を強く感じる場合がある
マクロライド系抗菌薬についてもっと詳しく

テトラサイクリン系抗菌薬

  • 細菌のタンパク質合成を阻害し細菌の増殖を抑えることで抗菌作用をあらわす薬
    • 細菌の生命維持や増殖にはタンパク質合成が必要となる
    • タンパク質合成はリボソームという器官で行われる
    • 本剤は細菌のリボソームでのタンパク質合成を阻害し細菌の増殖を抑える
  • 内服薬は薬剤の作用持続時間により(短い順に)短時間作用型、中等度作用型、長時間作用型に分けられる
  • 他の種類の抗菌薬と比較した時の特徴
    • ブルセラ症、ライム病などでは優先的に使用される薬剤
    • ヘリコバクター・ピロリ感染での除菌治療で使用される場合もある(他の抗菌薬に耐性がある場合など)
    • 熱帯熱マラリア予防などに使用する場合もある
テトラサイクリン系抗菌薬についてもっと詳しく

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