こうないえん
口内炎
ほほの内側や歯ぐきなど、口の中やその周辺の粘膜に起こるできものの総称。
10人の医師がチェック 170回の改訂 最終更新: 2023.02.01

口内炎の検査について:何科を受診すればいいのか

口内炎で何科に行くか迷ったら、歯科か口腔外科を受診してください。また、なかなか治らない口内炎の原因や一般的な口内炎の検査についても説明します。

1. 口内炎の検査

口内炎では基本的に特別な検査はせず、診察だけで診断されます。具体的には、視診という方法で行われます。視診では病気の部分をお医者さんが丹念に観察する診察法のことです。多くはありませんが、他の病気が原因となって口内炎ができている可能性が考えられるときには、血液検査やCT検査が行われます。

2. 口内炎で病院に行ったほうがいいと考えられる症状

口内炎のうち最も多いアフタ性口内炎は自然に治ります。ただし、下記の特徴のうちどれかひとつにでも当てはまっていれば、アフタ性口内炎以外の病気も考えられます。その場合は病院・クリニックで診察を受けて調べてください。

【受診が望ましい口内炎の特徴】

  • 2週間以上口内炎が治らない
  • 同じ場所に何回も繰り返しできる
  • 体温が38℃以上ある
  • 皮膚に発疹や水ぶくれがある
  • 口の中に白いコケのようなものが広がっている
  • 形や色がいつもと違う
  • 大きさが1cm以上

それぞれの特徴について詳しくみていきます。

2週間以上口内炎が治らない

アフタ性口内炎は2週間ほどで自然に治ります。一方で、なかなか治らない場合は、歯の矯正器具などの物理的な刺激が原因のカタル性口内炎や、初期は口内炎と区別が難しい口腔がん舌がんの可能性があります。またベーチェット病など全身の病気が隠れている可能性もあります。まずは歯科や口腔外科を受診してみてください。

同じ場所に何回も繰り返しできる

欠けた歯や矯正器具、かぶせ物による物理的な刺激が原因のカタル性口内炎の可能性があります。原因がある場合、歯科や口腔外科で治療すれば再発する頻度を減らせます。

体温が38℃以上ある

発熱にともない口内炎ができた場合は手足口病ヘルパンギーナが原因となっていることが多いです。まれな原因としてはベーチェット病もあります。 子どもに口内炎が出来て、他に発熱や皮膚の水ぶくれなどの症状がある場合、小児科に連れて行ってください。大人で口内炎と発熱、さらに眼や外陰部やその他の皮膚などに症状がある場合は、ベーチェット病などの可能性も考えられるので、一般内科を受診するのが適しています。

皮膚に発疹や水ぶくれがある

手足口病ヘルパンギーナなどのウイルスによる感染症や、ベーチェット病天疱瘡(てんぽうそう)といった全身の病気が考えられます。手足口病ヘルパンギーナは子どもの病気なので、小児科が適しています。

大人の場合は皮膚科を受診してください。大人の場合でも発熱や腹痛、下痢などの症状がある場合は皮膚以外も関係する病気の可能性がより強いと考えられるので、一般内科のほうが適しています。

口の中に白いコケのようなものが広がっている

白板症(はくばんしょう)やカンジダ性口内炎などが考えられます。歯科や口腔外科が適しています。カンジダ性口内炎は免疫機能が十分にある人はかかりません。そのため、カンジダ性口内炎がある人には、免疫機能を低下させる大きな病気が隠れている可能性があり、隠れている病気の有無を調べることになります。検査ではさまざまな診療科が考えられますが、最初は口の中を見慣れている歯科や口腔外科がよいです。

形や色がいつもと違う

アフタ性口内炎は年に数回できる人が多いです。ですが、口内炎の形や色がいつもと違う場合、アフタ性口内炎以外の病気が原因の可能性があります。特に上で挙げている要注意な症状が他にもある場合は、医療機関を受診してください。

大きさが1cm以上

アフタ性口内炎の大きさは通常5mm以内です。それよりも大きく広がっていく場合は要注意なので、歯科や口腔外科に相談してください。

3. 口内炎での診療科選び

要注意な症状を一つひとつ説明し、それぞれで適した診療科を紹介してきました。たかが口内炎と甘くみるのではなく、何か要注意な症状があった場合は早めに病院・クリニックに相談することで、万一重い病気が見つかったときには適切に対処できます。ここでは口内炎に関係するそれぞれの診療科の特長を説明します。

歯科

一般的な口内炎であるアフタ性口内炎の治療をよく行っています。口内炎の痛みを軽くするレーザー治療ができる歯科医院も多いです。ただし、レーザー治療は保険がきかないので、全額を自分で支払う必要があります。

歯科医院は口の中以外の病気は得意ではないので、例えば皮膚に他の症状がある場合は皮膚科に行ってください。

口腔外科

白板症口腔がん舌がんの診断や治療を得意としています。最初から「がんかもしれない」と思って病院に行くことは少ないでしょうが、最初に歯科などに行って、検査や治療のため口腔外科に紹介されることがあります。

皮膚科

口唇ヘルペスのように唇に出る症状は皮膚科もよく診ています。口の中の症状は、皮膚の病気と関連していることが多いです。皮膚にも水ぶくれなどの症状がある場合は、皮膚科に相談してみてください。

小児科

子どもはよく皮膚や口の中に発疹や水ぶくれができます。夏に流行する手足口病ヘルパンギーナはその代表例です。子どもに口内炎が出来て、熱など口の中以外に症状がある場合は、まず小児科に連れて行ってください。