[医師監修・作成]胃食道逆流症(逆流性食道炎)で食事・日常生活の注意はある? | MEDLEY(メドレー)
いしょくどうぎゃくりゅうしょう(ぎゃくりゅうせいしょくどうえん)
胃食道逆流症(逆流性食道炎)
胃液が胃から食道へ逆流する状態で、食道の粘膜がただれて(炎症が起きて)しまう病気
13人の医師がチェック 170回の改訂 最終更新: 2022.03.15

胃食道逆流症(逆流性食道炎)で食事・日常生活の注意はある?

胃食道逆流症は内服薬を中心とした治療などにより症状が改善します。ここでは胃食道逆流症の治療にあたっての注意点や日常生活での工夫などについて解説します。

1. 胃食道逆流症は自然治癒する?病院に行くべき?

胃食道逆流症は多くの場合、内服薬による治療でいくらかは楽になります。治療を始めるうえでの注意点について解説します。

胃食道逆流症は自然治癒する?

胸焼けや呑酸(どんさん:口の中が酸っぱい味がする)などは胃食道逆流症の症状として知られています。これらの症状は、医療機関を受診せず食事などの日常生活を改善することで治せるでしょうか?

胃食道逆流症の治療においては日常生活の改善を指示されることもありますが、それだけでは不十分なことが往々にしてあります。

医療機関では何ができる?

胃食道逆流症は胃酸を抑える薬などを用いた適切な治療で症状の改善が期待できます。胃食道逆流症に伴う不快な症状(胸焼けや呑酸など)に悩んでいて医療機関を受診していない場合には、まず受診して相談してみることをお勧めします。

胃食道逆流症は何科を受診すればいい?

胃食道逆流症を治療できる診療科は消化器内科もしくは内科です。主に内服薬による治療を行います。

また胃食道逆流症では必要に応じて内視鏡検査をして食道の状態を確かめることもあります。内視鏡検査は消化器内科で実施できることが多いです。

2. 胃食道逆流性症だと食事は制限するべき?

胃食道逆流症の人に必要とわかっている食事制限はありません。食べかたの注意などが言われることもありますが、効果は確かではありません。

参考文献
Arch Intern Med. 2006.8;166:965-71.

食べかたに気を付けるべき?

胃食道逆流症のしくみから推測して、胃や食道に圧力がかからないようにする工夫が考えられています。しかし、工夫することで胃食道逆流症の症状が改善するかどうかは不明です。

  • 食べ過ぎないようにする
  • 食事の回数を多く小分けにする
  • ゆっくり食べる
  • よく噛む
  • 寝る前に飲食をしない(食べてすぐ横にならない)

これらはいずれも消化を助け食後を心地よくするなどにつながるかもしれませんが、胃食道逆流症との関係ははっきりしていません。自覚する症状と強い関係を感じていなければ、あまり厳しく考える必要はないでしょう。

食べ物に気を付けるべき?

特定の食品やアルコールが胃食道逆流症の症状を悪化させる可能性が指摘されています。

  • アルコール
  • 炭酸飲料
  • 香辛料
  • 柑橘類

上に挙げた食品は胃食道逆流症の症状を悪化させるかもしれないとする研究報告があります。もし食べたり飲んだりしたあとに悪化している自覚があれば、これらを避けることは合理的かもしれません。

ほかに、食道と胃の逆流防止機能に影響するとされるものの、症状が悪化することは確認されていない食品もあります。

  • 高脂肪食:チョコレート、肉など
  • ミント

これらは「避けるべき」とまでは言えないでしょう。

なお、コーヒー・カフェインは胃食道逆流症の症状を悪化させないとする報告があります。

食事や飲酒は胃食道逆流症と関係している可能性もありますが、日々の楽しみや人付き合いとしても欠かせないものです。また食品ごとの影響は人によって差があることも考えられます。一律に良い食品と悪い食品を分けようとするよりも、食べたときに自覚する症状があるかどうかに気を付けてみてください。

3. 胃食道逆流症を治すための日常生活の工夫や注意点

食事以外の生活でも、胃や食道に圧力をかけないようにする工夫が考えられています。いくつかは効果が示されています。

  • 肥満の解消
  • 頭を高くして寝る

こうした工夫について説明します。

肥満の解消

肥満は一般的には正常範囲を超えて体重が増加している状態です。医学的にはBMI(体重[kg]÷身長[m]÷身長[m])が25以上の人が肥満と定義されます。

肥満は皮下だけに脂肪がつくわけではなく、内臓にも脂肪が付きます。内臓に脂肪がつくとお腹の中のスペースが狭くなりお腹の中の圧力が高まります。お腹の中の圧力を腹圧といいます。腹圧が上昇すると胃に対する外からの圧力が高くなり胃から食道への逆流が起こりやすい状況に陥ります。

実際に、体重を減らすことで胃食道逆流症の症状が軽くなったという報告があります。

肥満は胃食道逆流症以外にも多くの病気の原因になります。肥満を解消することは胃食道逆流症以外の病気の予防にもつながります。肥満体型で体重を落としたいと考えている人はぜひ肥満解消に取り組んでみてください。

参考文献
Am J Gastroenterol. 1999;94:2840-4.

眠る姿勢の工夫

少し頭を高くした状態で眠るようにすると胃食道逆流症の症状が軽くなったという報告があります。頭を高くするとは、ベッドを傾けるようにするということです。このように頭が少し高い体位をセミファーラー位(Semi-Fowler位)と言います。

食道は体の口からほぼ垂直に降りる形で胃とつながっています。横になると地面に平行な状態に近くなりますが、体の頭側をあげる姿勢だと重力に助けられて胃から食道への逆流は少なくなると考えられます。

ほかに、右を下にして横になると食道の逆流防止機能に影響があるという報告もあります。ただし、右を下にすることで症状が悪化するかは不明です。また左を下にすると改善するかも不明です。

もし寝る向きによって症状の違いを感じているなら、楽なほうにするといいでしょう。

前屈みの姿勢、お腹を締め付ける服、喫煙は関係ある?

前屈みの姿勢、いわゆる猫背の姿勢の人はお腹の中の圧力が高くなります。お腹の中の圧力を腹圧といいます。腹圧が高くなると胃の圧力が上がり胃食道逆流症が起こりやすくなると考えられます。実際に前屈みの姿勢だと症状が悪化したという報告があります。

作業や仕事で前屈みの姿勢をとらなければならないこともあると思います。仕方がない場面もあると思いますが、もし姿勢によって症状が悪化していると感じたら、できるだけ前屈みを避けられるよう工夫することで楽になるかもしれません。

お腹を締め付ける服装は避けるほうがよいという推測もあります。ベルトなどでお腹を締める付けると腹圧が上昇します。腹圧が上昇すると胃の中の圧力が上がり胃食道逆流症が起こりやすくなると考えられます。

喫煙と胃食道逆流症には関連があると考えられています。タバコからでる煙などが食道の機能低下に影響している可能性や咳き込んだときの腹圧の上昇などが悪影響を与えているとの見方があります。しかし、禁煙しても胃食道逆流症の症状は改善しなかったとする報告もあります。

胃食道逆流症に対しては禁煙の効果があるとは言いがたいのが現状ですが、タバコはほかにも多くの病気の原因になることが知られています。禁煙をすることは胃食道逆流症の症状改善以外にも多くの利益をもたらしてくれるでしょう。

参考文献
Arch Intern Med. 2006.8;166:965-71.