いしょくどうぎゃくりゅうしょう(ぎゃくりゅうせいしょくどうえん)
胃食道逆流症(逆流性食道炎)
胃液が胃から食道へ逆流する状態で、食道の粘膜がただれて(炎症が起きて)しまう病気
13人の医師がチェック 171回の改訂 最終更新: 2024.03.24

胃食道逆流症(逆流性食道炎)の治療:薬物治療・手術など

胃食道逆流症の治療は、胃酸を減らす薬などを中心にした薬物治療が中心になります。薬物治療に効果がないときには手術も検討されます。手術は胃と食道のつなぎ目を補強して胃液の逆流を防ぎます。

1. 胃食道逆流症の薬物治療:胃酸を減らす薬・漢方薬など

胃食道逆流症の薬物治療は胃酸を抑える薬が中心になります。その他には胃の粘膜を保護する薬や漢方薬も症状に応じて用いられることがあります。

【胃食道逆流症に使われる主な薬剤】

プロトンポンプ阻害薬が治療に用いられることが多いですが、患者さんの状態や副作用などのバランスをみて他の薬に変更したり組み合わせたりすることがあります。

プロトンポンプ阻害薬(主な商品名:オメプラゾール®・タケプロン®・パリエット®など)

プロトンポンプ阻害薬は胃食道逆流症の治療薬としてよく用いられます。

胃酸は消化液としてはたらく一方で胃粘膜や食道粘膜に対して刺激や障害を与えることがあります。胃酸の分泌が多くなって胃食道逆流症が起きている場合には胃酸を減らすことで症状の改善が期待できます。胃酸を減らす代表的な薬にプロトンポンプ阻害薬があります。

胃酸は神経伝達物質が関与して分泌されます。神経伝達物質には主にヒスタミンアセチルコリン、ガストリンの3種類があり、これらの物質が胃壁細胞にある受容体に作用して胃酸を分泌するための指令が伝わっていきます。指令は順次伝達されていき最終段階であるプロトンポンプが活性化されて胃酸が分泌されます。プロトンポンプ阻害薬は最終段階であるプロトンポンプを阻害して胃酸の分泌を抑制します

胃食道逆流症に対しては8週間ほど服用することで症状などの改善があると考えられています。症状がなかなか治らない難治性の場合は投与期間を伸ばしたりすることがあります。

プロトンポンプ阻害薬について詳しくは「タケプロン、パリエットなど、消化性潰瘍や逆流性食道炎の治療薬であるPPIについて解説」で説明しています。

H2受容体拮抗薬(主な商品名:ガスター®・タガメット®・プロテカジンなど)

H2受容体拮抗薬は主に体内物質ヒスタミンの働きを抑える(ブロックする)薬で、その作用の仕組みから「H2ブロッカー」とも呼ばれ、プロトンポンプ阻害薬と同様に胃酸の分泌を抑える薬です。

胃酸は神経伝達物質が関与して分泌されます。神経伝達物質には主にヒスタミン、アセチルコリン、ガストリンの3種類があり、これらの物質が胃壁細胞にある受容体に作用して胃酸を分泌するための指令が伝わっていきます。指令は順次伝達されていき最終段階であるプロトンポンプが活性化されて胃酸が分泌されます。

H2ブロッカーは3つの神経伝達物質のうちヒスタミンの作用する受容体を阻害することで胃酸の分泌を抑制します。ヒスタミンによる胃酸分泌促進は3つの経路の中でも主な経路とされていますが、それでも3つの神経伝達物質のうち1つの経路しか阻害しないために、こと胃酸分泌抑制効果だけを比べた場合にはプロトンポンプ阻害薬に比べれば効果は弱いと考えられています。ただし、H2受容体拮抗薬は比較的速効性に優れていて急性胃炎などの胃痛・胸やけといった症状の改善薬としても使われ、医療用医薬品(処方薬)だけでなく一般用医薬品(市販薬)の成分としても使われています。

その他、薬によっては蕁麻疹治療における補助的治療薬として、または四十肩五十肩などの痛みの原因となる石灰化を抑える目的で使われるなど、胃などの消化器領域以外でも使われている薬になっています。

アルギン酸(主な商品名:アルロイド®G)

胃酸は強力な酸(塩酸)を含み消化液として働きます。正常な状態であれば胃酸が分泌されても胃や食道は粘膜の防御因子により胃が溶けたりすることはありません。しかし胃酸の量が増えたり粘膜の防御機能が低下すると胃酸による攻撃の影響が出始めます。アルギン酸は粘膜の防御作用を強める働きがあり胃食道逆流症の治療に用いられることがあります。

アルギン酸は食物繊維の一種であり副作用は比較的少ないとされています。胃酸を減らす薬(プロトンポンプ阻害薬やH2ブロッカー)などとともに用いられることもあります。

制酸薬

プロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)は胃酸分泌を抑える薬ですが、ここで言う制酸薬とは主に胃酸を中和する薬です。

アルミニウム、マグネシウム、カルシウムなどの金属成分は胃酸を中和する制酸作用をあらわすため、これらの成分を含む製剤は胃酸過多による胃炎や胸やけなどの症状を改善する効果が期待できます。

胃食道逆流症においてはPPIやH2受容体拮抗薬が薬物治療の中心となりますが、制酸薬は比較的速やかな効果が期待でき、一時的な症状改善などに対しては有用とされています。

スクラルファート(主な商品名:アルサルミン®)はその化学構造の中にアルミニウムを含み胃酸を中和すると共に胃の荒れた患部の保護や修復作用が期待できる薬です。アルミニウムは他にも水酸化アルミニウム(商品名:アルミゲル®など)などが制酸薬として使われています。

マグネシウムは一般的に下剤(緩下剤)として使われる成分ですが、制酸成分としても使われます。マグミット®などの酸化マグネシウム製剤やミルマグ®など水酸化マグネシウム製剤などが使われています。

この他、マーロックス®やマルファ®などは水酸化アルミニウムと水酸化マグネシウムの配合製剤です。この配合製剤には制酸作用の他、胃粘膜に付着することで潰瘍などの治療に対して有用となることも考えられます。

沈降炭酸カルシウムは制酸成分としてだけでなく、文字通りカルシウムを投与する目的で使われることがあり、特にリンを吸着する性質を利用して腎疾患などにおける高リン血症の治療薬としても使われています。カルシウム製剤では乳酸カルシウムもカルシウム補充目的以外に消化器症状の改善のためにも使われることがあり、小児(子供)の下痢症状などにも使われています。

他の金属含有の制酸薬としては炭酸水素ナトリウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどが使われています。

これらの制酸成分は健胃作用などをあらわす生薬や消化を助ける消化酵素などの成分と一緒に配合されている場合もあり、症状などに合わせて使われています。例として、金属成分と消化酵素及びウイキョウなどの生薬成分を配合したS・M配合散や、金属成分と過剰な消化管運動などを改善する抗コリン薬を配合したコランチル®配合顆粒などが挙げられます。

アルミニウムやマグネシウムなどの金属成分を含む製剤は腎疾患などを持病に持つ場合に注意が必要で、中でも透析治療を受けている場合には原則としてアルミニウムを含む製剤は服用できないため特に注意が必要となります。

また、アルミニウムやマグネシウムなどの金属成分はテトラサイクリン系抗菌薬やニューキノロン系抗菌薬といった一部の抗菌薬などの吸収を低下させる可能性があり、飲み合わせに注意が必要となる場合もあります。金属を含む制酸成分は一般用医薬品(市販薬)にも配合されていることがあるため注意が必要です。

漢方薬

胃酸の逆流によって不快な症状などを引き起こす逆流性食道炎などの胃食道逆流症における薬物治療では一般的に過剰な胃酸分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)などの薬が中心となります。

しかし、それらの薬だけでは胸焼け、胃もたれ・膨満感、上腹部痛、悪心・嘔吐、食欲不振等の上腹部不定愁訴と呼ばれる症状が改善しづらい場合などもあり、このようなケースでは漢方薬が有用になることも考えられます。

ここでは逆流性食道炎による諸症状に対して効果が期待できる漢方薬をいくつか挙げてみていきます。

◎六君子湯(リックンシトウ)

一般的には胃腸機能が低下していて、食欲不振や倦怠感、膨満感などがある症状に対して適するとされる漢方薬です。どちらかというと体力や胃腸が虚弱気味で、手足の冷えや貧血などがあるような胃炎、胃アトニー、食欲不振、胃下垂などに対して使われます。

六君子湯の特徴は消化管の運動機能やそれに伴う食欲の改善が期待できるところです。最近では、食欲を高めるホルモンであるグレリンの働きを増強する作用により食欲不振を改善することがわかってきました。

胃食道逆流症の治療においても使われる場合があり、PPIだけでは改善しづらいような胃症状や咽喉頭症状などに対しても改善効果が期待できるとされています。

また六君子湯には胃の機能の改善や抗ストレス作用もあるとされ、食欲低下や胃もたれや膨満感などが現れる機能性ディスペプシア(FD)などを改善する効果が期待でき、消化器領域においてよく使われる漢方薬のひとつになっています。

◎半夏瀉心湯(ハンゲシャシントウ)

一般的にはみぞおちにつかえがあり、口内炎や下痢、胃もたれ、吐き気、胸やけなどの症状に適するとされる漢方薬です。先ほどの六君子湯(リックンシトウ)はどちらかというと体力や胃腸が虚弱気味で主に胃もたれや食欲不振といった症状に対して適するとされますが、こちらの半夏瀉心湯は比較的胃腸が丈夫であり、ストレスや過食などによって胃炎や吐き気などを引き起こしているような症状に対して適するとされます。(胃腸などがやや虚弱の場合に対しても使われることが考えられます)

六君子湯同様、近年ではその作用の仕組みが解明されてきている漢方薬で、例えば口内炎では粘膜組織が障害される原因の一つになっている口腔内の細菌に対して抗菌作用をあらわすとされています。また体内の炎症を抑える作用や、細胞に障害を与える活性酸素の抑制、細胞修復機能の促進と、いくつかの作用によって口内炎を治療することができるとされています。また軟便傾向の状態にも適するとされ、下痢に対しては速効性と持続性の両面の作用が期待できるとされ、がん化学療法によって生じる下痢などの症状に対してもよく使われています。

逆流性食道炎などの胃食道逆流症の治療においても使われることがあり、特に六君子湯で効果が不十分な場合などの選択肢として有用とされています。

◎その他の漢方薬

その他、それぞれの症状や体質などに対して適する漢方薬を使うことによって改善効果が期待できると考えられます。胸やけの他、胸部の異物感、喉のつかえなどがある場合には半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)、体力や胃腸がやや虚弱で冷えやみぞおちの痛みなどがある場合には安中散(アンチュウサン)、胃もたれや消化不良などがある場合には平胃散(ヘイイサン)、胃酸による胸やけや軽度な胃痛などがある場合には黄連湯(オウレントウ)など、個々の体質や症状などによっても適する漢方薬が異なることが考えられます。自身の体質や起きている症状などをより詳しく医師や薬剤師に伝えるのも大切です。

◎漢方薬にも副作用はある?

一般的に安全性が高いとされる漢方薬も「薬」の一つですので、副作用がおこる可能性はあります。

例えば、生薬の甘草(カンゾウ)の過剰摂取などによる偽アルドステロン症(偽性アルドステロン症)や黄芩(オウゴン)を含む漢方薬でおこる可能性がある間質性肺炎や肝障害などがあります。しかしこれらの副作用がおこる可能性は非常に稀であり、万が一あらわれても多くの場合、漢方薬を中止することで解消されます。

また漢方医学では個々の症状や体質などを「証(しょう)」という言葉であらわしますが、漢方薬自体がこの証に合っていない場合にも副作用が現れることは考えられます。

ただし、何らかの気になる症状が現れた場合でも自己判断で薬を中止することはかえって治療の妨げになる場合もあります。もちろん非常に重い症状となれば話はまた別ですが、漢方薬を服用することによってもしも気になる症状が現れた場合は自己判断で薬を中止せず、医師や薬剤師に相談することが大切です。

2. 胃食道逆流症の手術

胃食道逆流症は多くの場合は薬物治療や生活習慣の改善で完治を目指します。しかし薬物治療や生活習慣の改善でも効果が上がらない場合があります。なかなか治らない胃食道逆流症に対しては手術が検討されることがあります。

手術が必要なのはどんなときか

薬物治療や生活習慣の改善を行っても胃食道逆流症が治らない場合には手術を検討しますが具体的にはどのような状況で手術が検討されるのでしょうか。『胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン 2015』は以下のような人に手術が提案されるとしています。

  • PPIによる治療に効果がない人
  • 長期的なPPIの維持内服が必要となるびらん性の胃食道逆流症

専門用語が多いので解説します。

PPIはプロトンポンプ阻害薬(Proton pump inhibitor)の略で胃酸を抑える薬です。PPIは胃食道逆流症の治療に用いられ効果が認められています。PPIの効果が小さな胃食道逆流症は手術が検討されます。

またPPIにより症状は改善したもののその状態を維持するために長期間PPIを内服しなければならない人にも手術が提案されます。

噴門形成術:ニッセン法(Nissen法)・トゥーペ法(Toupet法)

噴門形成術は胃の壁を食道に巻きつけることにより逆流防止効果を得る治療法です。高い逆流防止効果が期待できます。方法にはニッセン法とトゥーペ法の2つがあります。

ニッセン法は食道の全周に胃を巻きつける方法です。胃を食道に巻きつける事により食道の逆流防止機能を高めます。対してトゥーペ法は食道の2/3周の範囲で胃を巻きつけます。ニッセン法のほうが締め付けがきついので食事を飲みづらくなることが多いとされています。

トゥーペ法は食事の飲み込みにくさなどはニッセン法に比べると少ないですが長期的には再発が多いという報告もあります。

ニッセン法でもトゥーペ法でも、それぞれにお腹を大きく切る開腹手術と小さな穴を開けて行う腹腔鏡手術の2つの方法があります。

腹腔鏡下噴門形成術(ふくくうきょうかふんもんけいせいじゅつ)

腹腔鏡下噴門形成術(ふくくうきょうかふんもんけいせいじゅつ)は、いわゆる腹腔鏡手術で噴門形成術を行う方法です。お腹にいくつかの穴を開け、そこから腹腔鏡と鉗子(かんし)と呼ばれる長い道具を挿入して行います。ニッセン法もトゥーペ法も、施設によっては腹腔鏡手術で行うことができます。

図:腹腔の概念。

腹腔鏡手術は、お腹に穴をまずひとつ開け二酸化炭素を注入してお腹の中(腹腔)を膨らませます。お腹を膨らませることにより手術をする空間ができます。内視鏡を挿入してお腹の中を観察します。お腹の中の様子はモニタに映しだされます。その後、お腹にいくつか鉗子を挿入するための穴をあけます。穴が全て空いたところで鉗子を挿入し、お腹のなかでの操作を開始します。鉗子の先はマジックハンドのようになっており胃やその周りのものを切ったり掴んだりできます。腹腔鏡手術は、お腹に持続的に二酸化炭素を送り込むのでお腹の中の圧が高い状態になります。

腹腔鏡手術ではお腹の中の映像を拡大して見ながら操作ができます。また、体の表面につける傷が小さいので、手術後に痛みが少なく、手術後に体を動かしたりすることに有利に働きます。

腹腔鏡手術のメリット・デメリット、開腹手術との比較

腹腔鏡手術と開腹手術のメリット・デメリットを表にまとめます。

  腹腔鏡手術 開腹手術
メリット
  • 傷が小さい
  • 手術後の痛みが少ない
  • 回復が早い
  • 手術時間が短い
  • トラブルに対応しやすい
デメリット
  • 手術時間が長くなることがある
  • 癒着などが激しいときには開腹手術に変更になる
  • 傷がやや大きい
  • 傷の痛みで回復に時間がかかる

腹腔鏡手術は傷が小さいので痛みも少なく開腹手術に比べて早く日常生活に戻ることが可能です。腹腔鏡手術のデメリットは手術時間の長さです。ニッセン法やトゥーペ法はお腹の中で胃や食道を縫う必要があります。腹腔内で縫合するのは高い技術が要求されるので手術時間が長くなることがあります。

開腹手術は傷が大きいので、手術後に痛みが強く回復に時間がかかることがあります。しかし手術中にトラブルが起きた場合には迅速に対応することが可能です。さらに胃や食道を縫合する操作も腹腔鏡手術に比べると難しさは下がります。

3. 噴門形成術の合併症は?

手術にはある一定の確率で合併症がおこります。合併症は手術による望ましくない結果のことです。合併症にはいくつか種類があります。

肩の痛みや痺れ

腹腔鏡手術を受けたあとに肩を中心に痛みや痺(しび)れがおきることがあります。腹腔鏡手術で使う二酸化炭素や手術のときに体の位置を固定することが肩の痛みや痺れの原因と考えられています。痛みや痺れは手術のあと日にちを重ねるとともに改善していきます。痛みが強い場合には痛み止めを飲んだり注射してもらうと症状が和らぎます。

皮下気腫(ひかきしゅ)

皮下気腫は腹腔鏡を使った手術におきる合併症のひとつです。腹腔鏡手術では二酸化炭素をお腹の中に入れて手術をします。皮下気腫は二酸化炭素が皮膚の下に入り込んでしまうことです。手術が終わって皮膚を触るとシャリシャリとした感じがあったり引きつったような痛みを感じることがあるかもしれません。皮下気腫は広範囲でなければ問題にはなりません。二酸化炭素が吸収されるのを待ちます。

腸閉塞(ちょうへいそく)・イレウス

腹部の手術を行うと一定の確率で腸が詰まる腸閉塞や腸が麻痺するイレウスという合併症が発生します。

噴門形成術後によく起こるのはイレウスです。

手術の影響が腸管に及び、腸が動きを止めてしまうことがイレウスの原因になります。

一番気を付けなければならないのはまれに起きる絞扼性腸閉塞です。絞扼性腸閉塞とは腸が捻(ねじ)れて腸への血流がなくなり腸が壊死する危険な状態です。

手術後はイレウスと絞扼性腸閉塞を見逃さないことが重要です。腸閉塞は早期に対応する必要があるので手術後に医師は腹部の診察を繰り返し行い、適宜レントゲン撮影などを行います。イレウスは食事を一時中止して腸を休ませることでよくなります。

嚥下困難(えんげこんなん)

噴門部形成手術は食道に胃の壁を巻きつけることにより食道と胃の逆流防止機構を補強する治療です。この効果で食道が狭くなり、ものを飲み込みにくくなります。

多くの場合は時間とともに改善していきます。改善にかかる目安は3ヵ月程度とされています。改善がないまたは乏しいときには食道を内側から風船のようなものを用いて広げるバルーン拡張術などを検討することがあります。

4. 胃食道逆流症にガイドラインはある?

診療ガイドラインは、治療にあたり妥当な選択肢を示すことや、治療成績と安全性の向上などを目的に作成されています。

胃食道逆流症の診療ガイドラインとして日本消化器病学会が作成した『胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン 2015 』があります。

ガイドラインに従って治療することがすべて正しいかというとそうではありません。

ガイドラインは約5年に1回のペースで中身が更新されていますが、医学は日々進歩を遂げています。ガイドラインにはまだ反映されていない情報が急速に認知され実践されることも珍しくはありません。さらに実際の治療はその時々、患者さんの状態はひとりひとり異なることを考えに入れて行います。ガイドラインの内容がどこまで当てはまるかを判断することは主治医に委ねられています。

ガイドラインは医師が治療を進めていく上で役立ちますが、何もかもガイドライン通りに治療することが正しいわけではありません。