過活動膀胱とはどんな病気なのか
膀胱は尿を一時的に溜めておく臓器で、尿が一定量を超えると膀胱が縮んで排尿が行われます。この膀胱の働きに異常を起こす病気の1つが過活動膀胱です。ここでは過活動膀胱の概要として症状・原因・検査・治療について説明します。
目次
1. 過活動膀胱とは?
過活動膀胱(英語名:overactive bladder)とは膀胱が活動し過ぎる病気のことです。過活動膀胱を理解をするために必要な、膀胱の働きと排尿のメカニズムについて最初に説明します。
膀胱の働きと排尿のメカニズム

膀胱は下腹部にある袋状の臓器で、尿を溜めておく役割があります。尿が一定量溜まると、広がっていた膀胱は縮んで尿を排出します。膀胱は主に筋肉で構成されており、筋肉を緩めたり収縮させることで広がったり縮んだりすることができます。普段は尿を溜めるために膀胱の筋肉は緩んでいます。一方で、膀胱の出口ある尿道括約筋は、普段は尿が漏れ出ないように縮んでいます。膀胱には尿がある程度の量になると、膀胱の壁にある神経が脳に「膀胱に尿が溜まった」という信号を送り、これが尿意になります。尿意を感じ排尿の準備が整うと、膀胱は縮み反対に尿道括約筋は緩んで、排尿が行われます。
過活動膀胱になると何が起こるのか
過活動膀胱になると上で説明した、一連の排尿のメカニズムにみだれが生じます。具体的に言うと、膀胱にまだ尿が溜まりきっていないのに尿意を感じたり、膀胱が縮もうとしたりします。排尿のメカニズムのみだれは、次の項目で説明するような症状として現れます。
2. 過活動膀胱の症状について
過活動膀胱の主な症状は次のものです。
- 尿意切迫感
頻尿 - 尿失禁
残尿感
過活動膀胱の症状では尿意切迫感が特徴的です。
尿意切迫感とは前ぶれなく我慢できないほどの強い尿意が起こることで、、水の流れる音を聞いたり、水に触れるたりすることで起こることもあります。その他の症状では頻尿(日中の排尿回数が8回以上)や残尿感、尿失禁(尿もれ)などがよくみられます。
詳しくは「過活動膀胱の症状」を参考にしてください。
3. 過活動膀胱の原因について
過活動膀胱が起こる原因については詳しくはわかっていませんが、膀胱に尿が溜まるのを脳が過敏に感じることが1つの原因だと考えられています。事実として、脳血管障害(脳梗塞・脳出血)やパーキンソン病、脊髄損傷、多発性硬化症といった脳や
4. 過活動膀胱の検査について
過活動膀胱が疑われる人には次の診察や検査が行われます。
問診 - 身体診察
- 尿検査
超音波検査
上記の診察や検査によって、尿意切迫感や頻尿といった症状が過活動膀胱によるものかどうかが調べられます。また、過活動膀胱の症状は他の病気でもみられることがあるので、過活動膀胱以外の病気がないかも調べられます。
詳しくは「過活動膀胱の検査」を参考にしてください。
5. 過活動膀胱の治療について
過活動膀胱の治療は薬物治療が中心ですが、運動療法や生活習慣の見直しといった薬を使わない治療法(非薬物療法)にも効果が期待できます。また、近年は排尿を司る神経を刺激する治療や
薬物療法
過活動膀胱の主な治療薬は「抗コリン薬」と「ベータ3
非薬物療法
薬を使わない治療にも過活動膀胱の症状をよくする効果が期待できます。その中には膀胱訓練や骨盤底訓練が含まれますが、どのようなことなのかイメージが湧きにくいかもしれないので個別に説明します。
■膀胱訓練:排尿を我慢して膀胱に尿が溜められるようにする
膀胱訓練は尿意を感じても可能な範囲で我慢することによって、排尿間隔を伸ばしていく方法です。頻尿が続くと、膀胱が広がる機会が減って、次第に膀胱が広がりにくくなります。この膀胱が広がりにくくなる状態を
■骨盤底筋訓練:骨盤底の筋肉を鍛える
膀胱が収まっている場所は骨盤底と呼ばれ、筋肉で構成されています。骨盤底の筋肉を鍛えると、過活動膀胱に対する効果が期待できます。しかし、骨盤底筋を鍛えるといってもイメージが難しいものです。どのように鍛えるかはわからない人は
仙骨神経刺激療法
排尿を司る仙骨神経を電気刺激し、その機能を調整する治療法です。最終的には心臓の
内視鏡治療:ボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法
膀胱鏡という内視鏡の一種を使ってボツリヌス毒素を膀胱の壁に打ち込みます。1時間程度で終えられるので、外来で治療を受けることも可能です。
6. 過活動膀胱の人が日常生活で気をつけたいこと
過活動膀胱の症状は生活習慣によって悪化していることがあります。悪化の要因となる生活習慣の見直しの具体例として、次のものをチェックしてみてください。
上のリストの内容はいずれも過活動膀胱の症状悪化に関係しています。過活動膀胱は薬物療法にも効果は期待できますが、生活習慣を見直すことでより症状をよくする可能性があります。薬での治療とともに、自分でできることにも取り組んでみてください。詳しくは「過活動膀胱の治療」や「過活動膀胱の人の疑問や治療中の悩みについて」も参考にしてください。
【参考文献】
・「標準泌尿器科学」(赤座英之/監 並木幹夫、堀江重郎/編)、医学書院、2014
・「泌尿器科診療ガイド」(勝岡洋治/編)、金芳堂、2011
・UpToDate Lower urinary tract symptoms in men Authors:Kevin T McVary, MD, FACS Rajiv Saini, MD
・UpToDate Treatment of urgency incontinence/overactive bladder in women Author : Emily S Lukacz, MD, MAS