なるこれぷしー
ナルコレプシー
日中に耐えることが出来ないほどの強い眠気をもよおす病気
10人の医師がチェック 82回の改訂 最終更新: 2023.09.25

ナルコレプシーの人が知っておくとよいこと

ナルコレプシーの人には日中に突然強い眠気が現れます。日常生活を送るうえでは日中の眠気などの症状に上手に付き合う必要があります。ここでは日常生活の中でも特に大切な食事、仕事、車の運転について、知っておくべき注意点や対策を中心に説明します。

1. 日常生活の注意点やその対策

ナルコレプシーの症状は日中に現れるので、日常生活に影響します。ここでは病気と上手につきあうために、日常生活の注意点やその対策について説明します。

説明するのは特に大切な次の3つです。

  • 食事の注意点
  • 仕事の注意点
  • 車の運転での注意点

それぞれの注意点と問題点について説明します。

食事の注意点

ナルコレプシーの人が過剰なカフェインやアルコールを摂取すると、日中の眠気が悪化するので避けるべきだと考えられています。

どの程度の量が適切かは個人差があるので一概には言えませんが、カフェインやアルコールの摂取が習慣化している人は、量を減らしてみて症状の変化の有無を調べてみてください。カフェインとアルコールの量と症状を日記などに記録すると自分の身体に悪影響を及ぼす量の把握に役立ちます。

仕事の注意点

ナルコレプシーによって職業の選択が制限されることはほとんどありません。ただし、車の運転中や高所での仕事中に眠気や情動脱力発作が起こると事故につながる恐れがあり、生命に危険が及ぶことがあります。自分や他人の身を守るために運転手や高所での作業者は避けた方が望ましいと考えられます。

また、夜勤や深夜まで及ぶ長時間労働も夜間の睡眠不足になりやすく、日中の症状に悪影響を及ぼします。夜勤や長時間勤務をしている人は、まず自分の病気について職場の人に理解してもらってください。そして、夜勤を少なくしてもらったり、なるべく夜遅くまで働かなくてもよい勤務予定を立ててもらってください。夜の睡眠時間を確保できるようになると、日中の眠気などが和らぎます。

車の運転の注意点

ナルコレプシーの人が車の運転をする際の注意点を、「運転免許証の取得・更新」と「運転をする前にやるべきこと」の2つに分けて説明します。

■運転免許書の取得や更新について

ナルコレプシーを含む睡眠障害がある人が運転免許証の取得・更新を行う際には、主治医(かかりつけのお医者さん)の診断書が必要になることがあります。

運転免許証の取得・更新では、「質問票」という書類を記載する際に運転に支障が出る病気の有無を答える必要があります。そこで、病気が運転に支障を与える可能性があると判断された場合には、詳しい状況を追加で聞かれて、必要に応じてお医者さんの診断書が求められます。診断書が求められた場合は、その書類をもとにして運転免許証の取得や更新が可能かどうかの判断が行われます。 判断によっては免許の取得や更新が認められないことがありますが、症状が良くなればまた申請することができます。再申請の場合は、免許を取り消された日から3年以内であれば、学科試験や技能試験は免除されます。病気の症状があるにも関わらず、申告しないで免許の取得・更新を行うことは、法律違反になります。免許の取得や更新の際には病気の申告を忘れないようにしてください。

■運転をする前にやるべきこと

ナルコレプシーの薬物治療している人は、薬を飲み忘れた日の運転は避けるようにしてください。また、薬の服用直後は眠気が増す場合があります。薬を飲んでから運転するまでは時間を空けるようにしてください。どのくらいの時間を開けるのが適切かは、薬によって異なるので、薬を飲み始める際にお医者さんに確認しておいてください。また、健康な人と同様に、睡眠不足の状態での運転は危険です。運転の必要がある前日に十分な睡眠を取ることも重要です。

2. ナルコレプシーの治療に関する疑問について

ナルコレプシーを治療するときにはいくつかの疑問を抱くかもしれません。ここでは診療科や専門病院などについて説明します。

ナルコレプシーが疑わしい場合は何科を受診すればいいのか

ナルコレプシーを含む睡眠障害は睡眠科や精神科、一般内科、小児科などで診られることが多いです。受診した結果、ナルコレプシーが疑わしい場合は睡眠時ポリグラフ検査などの専門的な検査によって診断が行われます。

日中の眠気によって生活に支障が出ている人は、最初から専門的な検査が受けられる医療機関を受診してもいいですし、近くの睡眠科や精神科などを受診してみてもよいです。受診した施設で検査ができなくても、ナルコレプシーの疑いがある人には、検査ができる施設を紹介してもらえるので安心してください。

どの医療機関を受診するかより、まずは診察を受けることが大切です。

ナルコレプシーはどの病院でも治療できるのか

治療はどの医療機関でもできなくはないですが、専門的にみてくれる施設で治療を受ける方が望ましいです。ナルコレプシーを専門的にみれる病院を探す際には「日本睡眠学会」のホームページが参考になります。専門的な診療を行っている医療機関の一覧が掲載されています。もし、近くに専門的な医療機関がない場合は、睡眠科や精神科などでまず相談してください。

ナルコレプシーは完治するのか

ナルコレプシーを根本的に治す治療は現在確立されてはいません。ですので、現状では完治が難しいです。完治は難しいものの、生活習慣の改善や薬による治療によって多くの人は症状がよくなり、なかには薬の量をかなり減らせる人もいます。治療によって症状のコントロールが良くなれば、健康な人とほとんど変わりない生活が送れるようになる人もいます。

ナルコレプシーは完治は難しいですが、治療を続けることによって完治に近い状態を維持することは可能です。