きりつせいていけつあつしょう
起立性低血圧症
座っていたり寝ている状態から立ち上がった時に、血圧が急に下がりめまいや失神を起こす状態
13人の医師がチェック 163回の改訂 最終更新: 2024.01.23

起立性低血圧症とは?症状、原因、検査、治療など

起立性低血圧症は立ち上がりの際の脳の血流の低下により起こる病気で、めまい、立ちくらみの原因になります。お年寄りや成長期の子どもで起こりやすいです。診察や検査から起立性低血圧症が疑われる場合には、運動療法などの非薬物療法やα刺激薬、鉱質コルチコイド薬などの薬物療法を行います。

1. 起立性低血圧症はどういう病気か

私たちの身体は心臓のポンプ機能を使って全身に血液を送り届けています。血液がうまく脳や内臓に届けられないとその機能を維持することができません。

起立性低血圧症は立ち上がった際に心臓と脳の位置関係が変わることで、脳への血流が低下し起こります。これにより起立性低血圧症では立ち上がりの際に、以下のような症状があらわれます。

  • めまい
  • ふらつき
  • 立ちくらみ
  • 冷や汗

起立性低血圧症の症状はお風呂上がり、食事をした後、飲酒後などに起こりやすいです。

一方、起立性低血圧症ではけいれん、手足の麻痺や意識を失った状態が続くことはありません。これらの状態が続く場合には、起立性低血圧症ではなく脳出血脳梗塞などの他の病気が疑われますので、直ちに医療機関を受診してください。

2. 起立性低血圧症の原因

起立性低血圧症の多くははっきりとした原因がわかりません。ただし、一部の人では何らかの原因により起立性低血圧症を引き起こします。具体的には以下のような原因があります。

もし、起立性低血圧症の原因がある場合には、まずその原因への対応を行います。それぞれの原因への対応は「こちらのページ」で説明しています。

3. 起立性低血圧症の検査

起立性低血圧症が疑われる場合には、以下の検査を行い起立性低血圧症の可能性が高いか判断していきます。

  • 問診
  • 身体診察
  • 起立血圧測定(シェロング試験)
  • ヘッドアップティルト試験

起立性低血圧症であるかは、問診や身体診察である程度判断できます。シェロング試験やヘッドアップ試験では姿勢が変わることによる血圧の変化を測定することで正確な診断をすることができます。それぞれの検査について詳しくは「こちらのページ」で説明しています。

4. 起立性低血圧症の治療

起立性低血圧症の治療としては以下のものがあります。

  • 原因への対応
  • 非薬物療法
  • 薬物療法

もし、脱水など起立性低血圧症の原因がはっきりしている場合には、まず原因への対応を行います。例えば、脱水であれば水分補給を行います。原因がはっきりわからない場合や原因への対応で改善しない場合には、非薬物療法、薬物療法を行います。非薬物療法には「頭を上げて寝る「、「弾性ストッキングの着用」、「リハビリテーション・運動療法」があります。薬物療法としてはα刺激薬や鉱質コルチコイド薬があります。

それぞれの治療について詳しくは「こちらのページ」で説明しています。

5. 起立性低血圧症の注意点

起立性低血圧症自体は命に関わる病気ではありません。しかし、お年寄りで起こりやすく、転倒の原因にもなりやすいため注意が必要です。お年寄りの転倒は骨折などの大事故につながり、最悪の場合、寝たきりにつながることもあるので、しっかりと対策をとることが望ましいです。具体的な対策は以下の通りです。

  • 立ち上がる時の対策
    • ゆっくりと立ち上がる
    • 手すりにつかまる
    • まわりの人のサポートが得られる時は介助してもらう
  • 以下の起立性低血圧症が起こりやすいタイミングを意識しておく
    • お風呂あがり
    • 食後
    • 飲酒後
    • 排便後
  • 筋力が衰えないようにするための対策
    • 日頃から適度な運動をする
    • 在宅リハビリ・通所リハビリを活用する

転倒防止に必要なリハビリや、リフォーム、日用品の購入には介護保険が使えることがあるので、詳しくは担当のお医者さんやケアマネージャーに相談してみてください。