2015.07.09 | ニュース

立ちくらみは危険?起立性低血圧と死亡率、既往歴の関連

イタリア1,352人の観察研究
from Journal of hypertension
立ちくらみは危険?起立性低血圧と死亡率、既往歴の関連の写真
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血圧は体の部分ごとに少しずつ違い、姿勢によっても変わります。寝たり座ったりした姿勢から立ち上がると上半身の血圧が下がりますが、下がりすぎる起立性低血圧の状態では、目の前が暗くなる(立ちくらみ)などの症状があり、転びやすくなるため中高齢の人にとっては危険な状態と考えられています。イタリアの人を対象にした研究で、起立性低血圧がある人では10年間の死亡率が高かったという結果が出ました。

◆起立性低血圧がある人とない人を追跡

研究班は、イタリアの長期研究に参加した1,352人を対象として、起立性低血圧の検査を行い、その後の生存率に違いがあるかどうかを追跡して調べました。

 

◆10年死亡率と関連

調査の結果、立ち上がってから1分後に起立性低血圧が認められた101人を含む対象者1,352人について、次の結果が得られました。

起立性低血圧は10年間の全死因死亡率増加と関連していた(起立1分後、起立3分後ともにハザード比2.0、95%信頼区間1.5-2.7)。多変量回帰分析では、起立性低血圧は年齢65歳以上、前年の転倒、高血圧の既往、脳卒中の既往、狭心症の既往と関連していた。

起立性低血圧がある人では、ない人よりも10年間の死亡率が高くなっていました。また、65歳以上、前の年に転んだことがある、以前に高血圧・脳卒中狭心症と診断されたことがある、といういずれかの条件に当てはまる人では、起立性低血圧の割合が大きくなっていました。

 

転倒は骨折の原因になり、寝たきりなどの深刻な結果につながる場合も多いと考えられています。起立性低血圧にはさまざまな原因がありますが、血圧を下げる薬などの副作用として現れる場合もあります。治療中に立ちくらみの症状が出たときは医師と相談してみてください。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

LB02.09: DETECTING RISK OF POSTURAL HYPOTENSION IN THE ELDERLY (DROP-HE): THE INCHIANTI STUDY.

J Hypertens. 2015 Jun

 

[PMID: 26102956]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。