C型肝炎について知っておくとよいこと
1. C型肝炎ウイルスに感染しない、させないために必要なこと
C型肝炎ウイルスは、感染している人の血液を介してうつります。血液や傷口のないところからは感染しないため、適切な対処をしていれば、まずうつりません。どのような行為では感染しないのか、反対にどのような行為には気をつけたほうがよいのか説明します。
感染の心配がない行為
日常生活でC型肝炎ウイルスに感染することは、特殊な状況を除いてまずありません。たとえば、下記のような行為で感染することはありません。
- 握手をする
- 食器を共用する
- キスをする(口に出血や傷があるときは念のため避けてください)
- 一緒に入浴する
感染しないために気をつけるとよい行為
日常生活で感染することはあまりないですが、下記のような行為には注意が必要です。
- 歯ブラシやカミソリを共有する
- 注射針を使い回す(覚せい剤などの薬物)
- ピアスや刺青をするときに消毒が不十分な機材を使う
- 他人の血液を素手で触る(必要時はゴム手袋などを使うと良い)
- 感染している人とコンドームを使わず性交渉をする
性交渉による感染のリスクは極めて低いといわれています。子どもが欲しい人はお医者さんに相談してください。ただし、月経中の性交渉や男性同士の性交渉は感染するリスクが高いので注意が必要です。
C型肝炎ウイルスのワクチンはあるのか
2019年8月現時点で日本で実用化されているC型肝炎ウイルスのワクチンはありません。
2. C型肝炎ウイルスに感染している人が知っておくとよいこと
C型肝炎ウイルスの人が生活習慣で気をつけたいことや治療について知っておくと良いことについて解説をします。
C型肝炎ウイルスに感染している人は飲酒をしてよいのか
C型肝炎ウイルスに感染している人が飲酒をすると、肝炎が進行しやすいことがわかっています。飲酒はしないことをお勧めします。
C型肝炎ウイルスに感染していても症状がなければ治療はしなくてもよいのか
C型肝炎になっても症状がない人のほうが多く、長年放置していると気づかないうちに肝硬変や肝臓がんなど重篤な状態になってしまうことがあります。近年劇的に治療法が進歩しており、以前の
なお、C型肝炎ウイルスに感染していても、肝臓へのダメージが少なく肝炎になっていないと判断されれば、治療が保険適応とならない人もいます。しかし、このような状態であっても、定期的に血液検査や画像検査をしていると肝炎へ移行して、いずれ抗ウイルス薬が保険適応となることも多いです。少なくとも定期的に受診する必要はあります。
高齢でもC型肝炎ウイルスを排除する治療をしたほうがよいのか
若い人よりも高齢者のほうが、肝硬変や肝臓がんになる可能性が高いことがわかっています。そのため、高齢でも抗ウイルス薬の使用が推奨されています。ただし、極端に悪い状態の肝硬変の人や他に重い持病がある人は、抗ウイルス薬による治療ができないことがあります。
抗ウイルス薬の治療にはどれくらいの費用が必要か
C型肝炎ウイルス治療薬には医療費助成があります。いくつかの条件はありますが、肝炎治療受給者証の交付を受ければ、自己負担額は月1-2万円を上限に治療できます(収入によって自己負担額の上限は異なります)。
3. C型肝炎ウイルスが排除された人からよくある質問
C型肝炎の治療が完了した後に注意してほしいことについて説明をします。
C型肝炎ウイルスが排除されても定期的な通院は必要なのか
C型肝炎ウイルスへの感染がなくなると、肝硬変の進行や肝臓がんになるリスクは減りますが、少ないながら残ります。したがって、ウイルスを排除した後も定期的に通院して、採血や
C型肝炎ウイルスに一度感染したら、もう感染することはないのか
C型肝炎のウイルスは、細かく分けると50以上の遺伝子型があります。そのため、一度に何種類ものC型肝炎ウイルスに感染する可能性はありますし、治っても別の遺伝子型のC型肝炎ウイルスに感染することがあります。