しーがたかんえん
C型肝炎
C型肝炎ウイルス(HCV)の感染によって起こる肝臓の炎症。比較的ゆっくりと病状が進み、長年をかけて肝硬変や肝がんに至る
7人の医師がチェック 124回の改訂 最終更新: 2022.02.14

Beta C型肝炎のQ&A

    C型肝炎の針刺し事故など院内感染予防と対処法について教えてください

    C型肝炎は血液感染によって発症します。C型肝炎の感染の原因として感染している人の血液を介して感染する場合や病院などの医療機関で多い、汚染された注射器や注射針を介した感染が挙げられます。

    医療機関におけるC型肝炎の感染予防法には以下が挙げられます。

    • HCVキャリア(C型肝炎ウイルスを保持している)の方の血液や体液の安全な処理方法を徹底する

    • リキャップは禁止

    • リキャップとは注射針のキャップを使用後注射針に戻して再装着すること

    • 注射器から外したキャップを再び針につける際に、針刺し事故が起きやすいためリキャップは行わない

    • 採血した後の注射針の処理に気をつける

    • 注射器やゴム手袋などを捨てる医療用廃棄物を捨てるゴミ箱が溜まってきてもかさを減らすために手で 押し込んだりしない、触らない

    • 注射針を扱う作業する場合は、かならず手袋を装着する

    どんなに注意していても、一定の確率で針刺し事故は起こります。そのため、針刺し事故が起こったあとの対応策を知っておくことも非常に重要です。

    針刺し事故による感染の疑いがある場合は、受傷部位を水道水などの流水で流すようにしましょう。注射針が手に刺さってしまった場合は、受傷部位から血液を十分に絞りだしてから流水で洗浄するようにすることが大切です。HCV感染者からの血液を介した感染が疑われる場合は、針刺しから1か月、3か月、12か月後に定期的な血液検査を行って感染が起こっていないか経過観察する必要があります。

    もし、感染が判明した場合はHCVウイルスを排除する抗ウイルス治療を行う必要があります。

    C型肝炎の治療法について教えてください

    C型肝炎は、HCV(C型肝炎ウイルス)の感染によって起こる病気です。ウイルスに感染した場合は60-70%の確率で慢性化(長期化)することが分かっており、C型慢性肝炎は肝硬変や肝がんへ移行することも分かっているため、感染の早期発見と適切な治療が必要になります。

    C型肝炎または移行した肝硬変の治療の目的はC型肝炎ウイルスを排除することです(抗ウイルス治療)。治療法にはウイルスを排除するためのインターフェロン治療と直接作用型抗ウイルス薬(direct acting antivairals; DAAs)による治療があります。 これらの治療法を行い、効果が見られない場合は肝庇護療法(かんひごりょうほう)を行います。

    治療方法は血中のウイルスの量や型に合わせて治療法を決めます。一般的にウイルスの量が多いほどインターフェロンが効きにくく、ウイルスの型が1型(感染者の7割を占める)だと効果が得られにくいと言われています。

    以下にC型肝炎の実際の治療の具体例をご紹介します。

    ◎高ウイルス量、ウイルスの型が1型の場合
    高ウイルス量で1型の慢性肝炎の場合はシメプレビル(ソブリアード®)とペグインターフェロン; PEG-IFN(ペグイントロン®、ペガシス®)、リバビリン(レベトール®もしくはコペガス®)を組み合わせた3剤併用療法を12週間行い、その後にペグインターフェロン、リバビリンの2剤を併用した治療を12週間を行うことがあります。

    また、C型肝炎のウイルス型が1型の患者に使用できる薬として、ソバルディとレディパスビル(NS3阻害薬)の合剤であるハーボニー®という薬が発売されました。この薬は奏効率99%という高い有効性を持っています。

    ◎高ウイルス量、ウイルスの型が2型の場合
    ペグインターフェロンのうちペグイントロンとリバビリンのいずれかを24週間使用することがあります。

    ◎ウイルスの型を問わず、低ウイルス量の場合
    血中内のウイルスの量が少ない場合は、インターフェロン療法を8週間から24週間使用します。ただし初回の治療にリバビリン(レベトールやコペガス)を使用することは認められてません。

    ◎上記の治療で効果が見られなかった場合や、高齢者や精神疾患などがありインターフェロン治療ができない場合
    インターフェロン療法を少量投与する治療が行われたり、肝臓の機能を示す血液検査で示されるALT値を改善させる治療(ウルソデオキシコール酸、グルチルリチン配合剤)が行われます。また肝臓の機能を正常に保ちつつ、肝炎の進行を防ぐ肝庇護療法を行うことがあります。

    ◎肝硬変に移行した場合
    ウイルスの量や型を問わず、ペグインターフェロン(PEG-IFN)とリバビリンの併用療法を48週間行います。これらの治療法が効果がない場合や使用できない場合はダクルインザ、スンベプラの併用療法を使用することが可能です。

    C型慢性肝炎では肝硬変を経て肝がん発症のリスクが高くなるため、専門医を受診し定期的に腹部超音波検査や腹部CT、MRI検査といった画像検査を行うことがとても大切になります。