あなふぃらきしー
アナフィラキシー
強いアレルギー反応により、窒息など命の危険が引き起こされた状態
17人の医師がチェック 135回の改訂 最終更新: 2022.03.07

アナフィラキシーの基礎知識

POINT アナフィラキシーとは

急激なアレルギー反応により命の危険につながる様々な症状が起きる状態です。数分で死亡することもあります。特に危険な症状として、喉の奥が腫れて呼吸ができなくなる、立ちくらみや意識消失があります。治療はアドレナリン筋肉注射、ステロイドや抗アレルギー薬の点滴を行います。原因として食べ物、薬剤、画像検査で使用する造影剤、ハチの虫刺されなどがあります。アナフィラキシーを起こした人は以後その原因物質と接触しないようにする必要があります。アナフィラキシーを起こした人はアドレナリンのペン型製剤(エピペン)を携帯することを考慮します。アナフィラキシーが起こった場合は救急科を受診してください。

アナフィラキシーについて

  • 急激なアレルギー反応により、命の危険が生じた状態
  • 皮膚・消化管・気道などにさまざまな症状を生じる
    • 特に喉の奥の粘膜が腫れて(喉頭浮腫)、息が吸えない状態になることが原因で命を落とすことがあり危険
    • 死に至るケースでは症状が急激に悪くなり、発症後、30分から1時間以内に死亡している事が多い
  • アナフィラキシーを起こし、血圧が急に低下することがある
  • ハチなどの虫刺され、食べ物、薬剤が原因になりやすい
  • 画像検査で用いる造影剤が原因となることもある
  • 身体に合わない特定の食べ物を食べたあとに、運動をすることでアナフィラキシーを起こすことがある(運動誘発性アナフィラキシー)
    • 運動前4-6時間は原因となる食物を避ける
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アナフィラキシーの症状

  • 最初はアレルギー反応が起こる
    • 皮膚や口などの違和感やかゆみ
    • 全身が赤く腫れる、じんましんが出る
    • 腹痛、下痢、嘔吐
    • 眼の充血
    • 頭痛、めまい
    • 動悸、冷や汗
  • 症状が進むと、のどの粘膜が腫れて空気の通り道が狭くなることで呼吸がしづらくなる
    • 窒息や血圧が低下してショック状態となる
  • 重症の場合は、意識障害、呼吸停止、けいれんなどを起こして命に関わることもあるため緊急対応が必要
症状の詳細

アナフィラキシーの検査・診断

  • 数十秒から数分の遅れが命に関わるため、検査よりも治療が優先される
    • 症状のみで診断をして、すぐに治療に移る
  • アナフィラキシーであったかどうかは、検査で確かめることはできないが、ほとんどのケースでは経過から容易に診断がつく
検査・診断の詳細

アナフィラキシーの治療法

  • 緊急事態であればアドレナリンを筋肉注射することによって対応
  • 急場をしのいだら、その後は点滴やアレルギー薬を使用する
    • 血管内の水分が減少してしまうため、点滴で水分を補う
    • ヒスタミン薬とステロイド薬を使用する
  • 一度、アナフィラキシーを経験した人は二度と起こらないように気をつけることが大切
    • アレルギー物質が分かっている場合には、それを避けることが何よりも重要
    • アドレナリン自己注射(自分で太ももに注射できる簡易キット)の処方を受けて携帯することを考慮する
    • 自己注射薬は必須ではないが、その後も同じアレルギー物質との接触が予測される場合には重要度が高い(例:山仕事をする人のハチアレルギー、調理師の食物アレルギーなど)
治療法の詳細

アナフィラキシーの経過と病院探しのポイント

アナフィラキシーが心配な方

一般的にアナフィラキシーは、アレルギーの原因物質を摂取またはそれに接触したのちに急激に発症する、皮膚症状(蕁麻疹、かゆみ)、呼吸器症状(息苦しさ)、消化器症状(腹痛、下痢、嘔吐)、循環器症状(たちくらみ、意識障害)が特徴的な病気です。アナフィラキシーでは、いわゆる蕁麻疹とは違って、呼吸器症状、循環器症状、消化器症状が生じます。

アナフィラキシーに加えて血圧の低下などがみられる場合は、アナフィラキシーショックといいます。ここまでに記した症状が重症な場合(改善がなく、症状による本人の辛さがある場合)は、救急車を呼び、総合病院を受診することをお勧めします。まれに、蕁麻疹と軽度の下痢のみなど、症状が軽度のことがあり、クリニックでの診療も可能なことがありますが、急激に悪くなる可能性があるため、少しでも悪くなったらすぐに救急車を呼ぶ必要のある病気です。

アナフィラキシーは上記の通り、アレルギーの原因に接触した後の皮膚、呼吸器、循環器、消化器症状から診断します。アレルギーの原因がはっきりしないこともまれにあり、その場合でもとりあえず治療を開始することが先決です。下記に示す治療が終了した後に、皮膚科にてアレルギー検査を行い、アレルギー物質を確認することも可能です。

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アナフィラキシーでお困りの方

アナフィラキシーの診断がつけば(診断がつかなくても状況によっては)、すぐに治療を行います。具体的にはアドレナリンという薬剤を筋肉注射します。アナフィラキシーであればボスミンの注射後に症状の改善が認められます。蕁麻疹やかゆみなどの皮膚症状に対して抗ヒスタミン薬などを注射することもよく行われます。

症状が出現してから、24時間以内は、再度症状が起こることもある(遅発性反応)ので、例え症状が改善していたとしても1泊入院して症状が再発しないことを確認することも多いです。

上で述べたような急性期の症状が改善した後は、今後の対応が大切になります。具体的には「アレルギーの原因物質の検査」と「エピペンの処方について」です。

どちらも皮膚科やアレルギー科での診療になります。この時期には、急性期の症状が改善しているため、クリニック、総合病院のどちらでも診療可能です。
アナフィラキシーを再度繰り返さないためにアレルギーの原因物質を特定することは非常に重要です。そのため、アレルギーの原因物質の検査やアナフィラキシーを起こした状況(直前にどういうものに暴露したか)などを踏まえて、原因物質の予測を行なっていきます。

医師の判断により、エピペン(自己注射できるアドレナリンの注射キット)の処方を行いますが、一度アナフィラキシーになった場合であれば、処方されることが多いです。エピペンを処方されれば、もし次回症状が起こった時に、自分で太ももに注射することが可能です。

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