2015.12.17 | ニュース

アドレナリンの注射で起こる事故や副作用とは?

救急医療施設へのアンケートより

from Annals of emergency medicine

アドレナリンの注射で起こる事故や副作用とは?の写真

アドレナリン(エピネフリン)は、アナフィラキシーの症状が現れたときに緊急の治療として使われます。病院で診察を受ける前に患者が自分で注射できる製品もあります。今回、アドレナリンの自己注射によって起こりうる事故について報告されました。

◆アナフィラキシーとは?

アナフィラキシーとは、一度に全身に急激なアレルギー症状が現れることです。蕁麻疹や腫れといった皮膚・粘膜上の反応や、息苦しさや血圧の低下が短時間に起こります。その中でも重い症状である、急激な血圧低下や意識不明状態のようなショック症状が起こる前に早めに対応することが必要です。

アナフィラキシーの原因は、食べ物や虫さされ、薬によるアレルギーが多いとされています。

 

◆救急医療施設にアンケート

研究チームは、子どものアドレナリンの自己注射による事故を調査するために、アメリカの救急医療施設へのアンケートを行いました。

 

◆アドレナリンによって22件の事故が起こった

アンケートの結果、以下の事例が明らかとなりました。

エピネフリンの自己注射に関する外傷は、22件記載されていた。21件は、子どものアレルギー反応に使われた際に起こった。17人の子どもは裂傷を起こした。4件は、子どもの手足に針が刺さったものだった。1件は、自動注入装置による看護師の指の裂傷だった。

今回のアンケートから、アドレナリンの自己注射によって皮膚への切り傷や、手足への針刺し事故が起こる可能性があることが示されました。また、看護師の指への傷も確認されました。

 

アドレナリンは、アナフィラキシー症状が現れたときに重篤な症状を防ぐ救命の役割を果たしています。自己注射の練習用器具もあることから、アナフィラキシー症状が現れたときにも正しく使うことで、今回報告されたような事故のリスクを減らせるかもしれません。

執筆者

鈴木あいか

参考文献

Lacerations and Embedded Needles Caused by Epinephrine Autoinjector Use in Children.

Ann Emerg Med. 2015 Oct 3 [Epub ahead of print]

[PMID: 26452720]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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