りょうせいほっさせいとういめまいしょう(びーぴーぴーぶい)
良性発作性頭位めまい症(BPPV)
頭の位置や傾きが変わることをきっかけに、ぐるぐるとした数十秒間のめまいが生じる病気
26人の医師がチェック 131回の改訂 最終更新: 2019.11.05

良性発作性頭位めまい症(BPPV)の人に気をつけて欲しいこと

良性発作性頭位めまい症は治るめまいですが、気持ち悪さや吐き気などの症状が強いため、不安になることもありますね。注意点などについて見ていきましょう。

1. 良性発作性頭位めまい症は何科を受診したら良いのか?

良性発作性頭位めまい症に限らず、めまいを感じた時は、まず内科に受診しましょう。なぜなら、めまいの原因となる病気で、緊急の治療が必要になるものは、脳出血脳梗塞などの脳の病気だからです。脳出血脳梗塞などの可能性が低いと判断された場合には、耳鼻咽喉科に受診しましょう。

めまいの診断には、聴力検査や、眼の動きの検査(眼振検査:がんしんけんさ)を行う必要があります。これらの検査は、耳鼻咽喉科で行うため、詳しいめまいの検査を希望される場合には、耳鼻咽喉科に受診するのが良いです。

吐き気が強く動けない場合や、夜間などであれば、救急外来に受診をしても構いません。症状が落ち着いて、動けるようになったら、耳鼻咽喉科に受診しましょう。

2. めまいを早く治したい人はどうしたら良いか?

良性発作性頭位めまい症と診断されて、めまいを早く治したい場合は、半規管に入り込んだ耳石を、所定の位置(前庭)に戻す治療法があります。

良性発作性頭位めまい症では、前庭にもともとあった耳石という小さな砂状の石が、半規管に迷入することが原因になります。半規管に耳石が迷入して、半規管内を動いたり、めまいの神経細胞を刺激するとめまいを起こします。半規管内の耳石が所定の位置にでたり、自然に溶けてなくなると、めまいの症状が改善します。

めまいの症状がではじめた直後は、気持ち悪さや吐き気などが強いことが多く、すぐには動くことが難しいかもしれません。症状が強い場合には、まず安静にしてゆっくり寝ましょう。その後、座ることが可能になったくらいの時期からは、体を積極的に動かしましょう。吐き気などがなくなったのに、ふらつきがあるからと言って、安静を続けていると、めまいの治りは遅くなります。

耳石を早く前庭に戻すためには、理学療法をすることをお勧めします。理学療法には耳石置換法と、めまい体操の2種類があります。耳石置換法は、半規管に入った耳石を所定の位置に戻す方法で、頭位治療とも呼ばれます。どの半規管に耳石が落ちたかで、行う動作が異なりますので、「理学療法」を参考にして、行ってみてください。はじめはめまいがひどくなる感じがあるかもしれませんが、めまいの症状が治るまでの期間を短くできます。

後半規管型では、理学療法のEpley法が有効で、自然治癒に比較して、短期間で症状が改善

することが報告されています。1回の施行で80%の自覚症状が消失します。

めまい体操は、再発を防ぐ方法です。「運動(めまい体操)」を参考にしてみてください。

3. めまいがひどい場合にはどうしたら良いか?

めまいの症状がひどく、気持ち悪さや吐き気が強い場合に、最も効果的な治療は、安静にして寝ていることです。

頭の位置を動かすとめまいが起こるため、なるべく頭の位置や体を動かさないように、安静にして、一番楽な姿勢で、過ごしてください。

吐き気が強い場合などでは、病院に受診しても良いでしょう。吐き気どめや、めまいに対す

る不安感を取り除く薬を使用することで、症状を軽くすることができます。吐き気が強く、

全く動けない場合や、薬を内服するのが難しい場合などは、入院で治療をすることがありま

す。飲み物を飲めたり、薬を飲める場合は入院せずとも、自宅安静で十分です。

4. 一度症状が出たらどのくらいで完治するのか?

良性発作性頭位めまい症は自然に治ることがほとんどです。後半規管型では平均39日、外側半規管型では平均16日で症状が軽快すると報告されています。

後半規管型の良性発作性頭位めまい症は、外側半規管型の良性発作性頭位めまい症より治りにくいとされています。後半規管型の良性発作性頭位めまい症に対する理学療法の、Epley法などを行うと、自然治癒より短期間でめまいが改善すると報告されています。

めまいの症状が治りにくいと推定される人もいます。突発性難聴などの内耳障害を持つ場合、糖尿病や人工透析導入中などの全身疾患がある場合、頭や体を動かすことに制限がある場合や、同じ方向で眠るなどの生活習慣がある場合は、治るまでの期間が通常より長くなったり、再発しやすい可能性が考えられています。

参照:Neurology Mar 2005, 64 (5) 920-921.

5. 良性発作性頭位めまい症は再発するのか?

良性発作性頭位めまい症の1年以内の再発率は15%、5年再発率は50%と比較的高いです。めまい体操を行うことで、再発を防ぐことができるとされています。

参考:J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2007 Jul;78(7):710-5. Mayo Clin Proc. 1991 Jun;66(6):596-601.

6. 症状がなかなか治らない場合にはなにを考えたら良いか?

めまいの診断では、まずは早めの治療が必要な中枢性めまいでないことを確認します。中枢性めまいとは脳に原因があるめまいで、代表的には脳出血脳梗塞が原因になります。そのほかにも、脳腫瘍や小脳脊髄変性症などの神経の病気も原因になります。

小脳の異常では一定の頭の位置や、頭位変換でめまいが誘発されます。中枢性めまいでは、立てない、手や腕がうまく使えないといった運動の症状や、手足がしびれるなどの感覚の異常などがでることもありますが、めまいの症状のみのこともあります。この場合は、良性発作性頭位めまい症と区別が難しい場合もあります。

その他には、首の血管が原因でめまいが起きることがあります。首が原因のめまいを頸性めまいとよびます。頸性めまいは、頭部の回転もしくは頸部(首)の伸展で起こるめまいです。首の血管の異常で脳の血流が一時的に低下したり、首のまわりの神経の異常などで起こると考えられています。

めまいの最初の診察や検査で、中枢性めまいが考えにくいと診断された場合でも、後々になって中枢性めまいであった、という場合もあります。めまい以外の症状がない中枢性めまいは診断がつきにくいからです。その他にも、発症したばかりの脳梗塞や、小さな脳腫瘍などはMRIでも見つかりにくく、診断が難しくなります。

一定の頭の位置や、頭位変換で、めまいが起こる場合は良性発作性頭位めまい症を考えて治療を行います。しかし、なかなか治らない場合には、中枢性めまいや頸性めまいの可能性があります。

なかなか治らないめまいの場合は、脳や首の血管の状態を評価するために、脳や首の画像検査を行うと良いかもしれません。主治医と相談してみてください。