デング熱の基礎知識
POINT デング熱とは
デング熱は蚊を媒介として広がる感染症です。東南アジアやアフリカなどで流行する病気ですが、まれに日本でも流行することがあります。症状は発熱・発疹・頭痛・目の奥の痛み・関節痛・下痢・嘔吐などが挙げられます。まれに重症化して身体のいろいろな部位から出血するようになることがあります。 有効な治療法はないため、必要時に症状を和らげる治療を行います。解熱鎮痛薬を用いるときは副作用の観点からアセトアミノフェンを使うようにします。蚊に刺されてから上記の症状が出た場合は、お近くの感染症内科を受診してください。
デング熱について
- 東南アジアや中南米、アフリカなどを中心に
発症 が多い感染症 - 症状や経過はインフルエンザに似ている
- 高熱が出た後に、多くの場合は1週間程度で症状が自然に改善する
- 2014年夏期に日本国内で患者が多く発生し、報道が盛んになったが、それ以前も海外で感染した患者が日本国内へ移動するという形では毎年100~200人の患者が発生している
- 国内での感染については、過去(戦時中)には沖縄、長崎、大阪などで大流行が記録されている
- 原因
- デング
ウイルス への感染が直接的な原因 - ネッタイシマカ、ヒトスジシマカといった種類の蚊がウイルスを媒介する
- 感染者の血液を吸った蚊の中でウイルスが増え、その後にまた別の人を刺すと、その人が感染してしまう
- 人から人へ直接感染することはない
- デング
デング熱の症状
- 症状や経過はインフルエンザに似ていて、高熱が出た後に、1週間程度で症状が自然に改善する
- 典型的な症状としては、次のようなものがある
- 発熱
- 頭痛や眼の奥の痛み
- 関節痛
- 下痢
- 嘔吐
発疹 :体や手足などが赤くなる、ときに痒みを伴う
ウイルス が体内に侵入して感染が起こってから症状が出てくるまでの時間差(潜伏期間 )が2-15日間ある- 2回目の感染の方が重症になるリスクが高く、その場合はちょっとした傷からの出血が止まりにくくなることがある
デング熱の検査・診断
- 血液検査
- 血球が減少することや肝機能が低下することがあり、これに関して血液検査で調べる
- 微生物検査
- 簡易検査で血液中にNS1というデング熱に特別なタンパク質があるのかどうかをチェックする
- 簡易検査以外では血液を特殊な医療機関に輸送して詳しい分析を行うため、診断の精度は高いが1週間ほどの時間が必要
- デング熱であることが判明しても特殊な治療薬がなく、ほとんどの場合には1週間程度で
治癒 する- 検査結果が判明した時点では症状が軽症で安定していたり消えている場合には、検査を行わないこともある
レントゲン 写真やCT 検査などの画像検査で診断を確定することはできない
デング熱の治療法
- 主な治療
- 解熱薬など
対症療法 の薬を除けば、特別な薬はない - 水分や
ミネラル の点滴- 食欲不振で栄養不良や脱水になった場合に行う
- 解熱薬など
- 入院治療は必ずしも必要ではない
- 状態が悪くて疲弊していたり、血液検査で血球が減っていたりした場合は入院治療を行う
デング熱の経過と病院探しのポイント
デング熱が心配な方
デング熱では発熱や頭痛、胸や手足のぶつぶつといったような症状がみられます。国内で感染することは過去には稀でしたが、2014年に東京で流行した経緯があることから、現在でも感染の可能性がないわけではありません。
ご自身がデング熱でないかと心配になった時には、もしお近くに感染症科のある病院や、感染症専門医のいる病院があるのであれば、そのような病院を受診されるのが適切でしょう。デング熱そのものが国内では珍しいこともあり、慣れている医師でないと診断をつけることが困難です。受診の際には、いつからいつまでどこに旅行をしていたかを医師に伝えてください。
ただし、軽症のデング熱であれば特別な治療を行わなくとも数日から1週間程度で自然に治ってしまうことも多いです。特殊な検査を行わないとデング熱の診断はつかないため、大学病院などを除けば基本的には血液検査を病院外の検査センターに送って、結果が返送されてくるのを待つということになります。
デング熱でお困りの方
デング熱には特効薬がありません。解熱薬や点滴で対症療法を行いながら、自然に治るのを待つことになります。
デング熱が悪化すると、まれにデング出血熱と呼ばれる状態になりますが、その場合には、集中治療室(ICU)での治療を行うような重体があり得ます。