子宮内膜症の原因:年齢、食べ物、性交渉との関係はあるか
子宮内膜症の原因は未だ不明です。いくつかの仮説はあるものの、決定的な原因は分かっていません。ここでは子宮内膜症になりやすい年齢などについて解説します。
目次
1. 子宮内膜症が起きるメカニズム
子宮内膜症が起きる原因ははっきりとはわかっていません。いくつかの仮説があるので代表的なものを紹介します。少し難しい内容も含んでいるので読み飛ばしても差し支えはありません。
体腔上皮化生説(たいくうじょうひかせいせつ)

子宮内膜症が発生する仮説の一つに体腔上皮化生説があります。
化生(かせい)とは、すでに特定の組織として完成していたものが変化して、違った特徴を備えるようになる現象です。体腔上皮化生説は、腹膜などの組織が化生によって
子宮内膜症は腹腔(ふくくう)に発生することが多いという特徴があります。腹腔は腸と腸の間にあるスペースです。腹腔は腹膜という膜で囲まれています。腹膜と子宮内膜はもともと同じ組織からできるため、体腔上皮化生説は一つの有力な説として考えられています。
参考文献:河野一郎, 子宮内膜症の発生病理, 日産婦誌:1998;50(10):345-348
月経血の逆流により生着したとする説
月経(生理)が起きると子宮の内膜が剥がれ落ち出血などの症状が現れます。
月経血は膣から身体の外に出ます。しかし、月経血は逆流することもありお腹の中のスペース(腹腔)に流れ込むこともあります。月経血の中には子宮内膜が交ざっています。逆流して腹腔に入った子宮内膜が腹腔に生着することが子宮内膜症の原因になるという説があります。月経血の逆流は多くの女性に起きることが確認されているので有力な説の一つです。しかし子宮内膜が腹腔内で成長できるのかが不明であったりするのでまだ決定的な説にはなってはいません。
参考文献:河野一郎, 子宮内膜症の発生病理, 日産婦誌:1998;50(10):345-348
リンパや血液の流れにのって移動したとする説
子宮内膜症はごくまれにですが肺や
子宮から離れた位置に子宮内膜が発生する説明として子宮内膜がリンパ管や血管の中に入り込み遠く離れた場所に移動して生着するという説(
2. 子宮内膜症になりやすい年齢
子宮内膜症を
参考文献 ・産科婦人科学会, 産婦人科医会/編, 産婦人科
3. 子宮内膜症はうつるか
子宮内膜症は性
4. 子宮内膜症と性交渉との関係
子宮内膜症の発症と性交渉には関係がありません。子宮内膜症を発症したからといって性交渉との関係は気にかけることはありません。
5. 子宮内膜症と中絶との関係
子宮内膜症と中絶との関係は不明です。
子宮内膜症の原因の仮説の一つに、血管の中に子宮内膜の一部が入って他の部分に生着するとする考えがあります。中絶では胎児とともに子宮内膜を外に出します。子宮が傷つき血管の中に子宮内膜が入りこむこともあり得ます。かなりまれなケースですが、中絶をした後に肺に子宮内膜症が発生した人の報告もあります。
参考文献:Intern Med.2017;56:1405-1408
6. 子宮内膜症と帝王切開の関係
まれですが、手術が子宮内膜症を発症する原因になることが知られています。
子宮内膜症の原因となる手術は、帝王切開のように子宮を一度切り開くような手術です。子宮を切ることで子宮内膜が腹腔(ふくくう)に入ることがあります。腹腔を構成する腹膜に子宮内膜が生着すると、子宮内膜症が起きると推測されています。
かなりまれなことですが、お腹の皮膚の下に子宮内膜症が起きることがあります。皮膚の下に子宮内膜症ができた人を調べたところ、83.2%の人が帝王切開の経験があったとする報告があります。子宮内膜症の原因の一つとして手術は可能性があるかもしれません。
しかし、帝王切開が子宮内膜症の原因だったとしてもそれはまれな結果です。帝王切開と関係なく発生する子宮内膜症が大部分です。帝王切開は胎児のことを考え必要な時に行われます。その後のまれな結果を心配するよりも、まずは安全に出産をすることが大事です。仮に帝王切開後に子宮内膜症が起きても、手術などで治療することが可能です。
参考文献:奥野厚志, 越川尚男, 帝王切開術後創部に発生した腹壁子宮内膜症の1例, 日臨外会誌 2008;69:1232-1237
7. 子宮内膜症とピルの関係
ピルの内服と子宮内膜症の発生の関係性はまだ不明な部分があります。
ピルやその他の避妊方法を使っていた女性を長期追跡した調査によると、ピルを一度も飲んだことがない人に比べて、ピルを服用中または服用をやめて12か月以内の人に子宮内膜症は少ない(人年あたり0.4倍)という結果でした。
ピルは子宮内膜症の症状を和らげる働きがあります。ピルを飲んでいた人に子宮内膜症が少なかったのは、避妊を目的としていたピルが目的とは別に子宮内膜症の症状を抑え、子宮内膜症であることに気付きにくかったからかもしれません。
ピルの内服は子宮内膜症の発症を抑制するかもしれませんが、子宮内膜症の予防目的でピルを内服することは一般的ではありません。薬は適切な目的・方法を守って使うことが大事です。
参考文献:BMJ.1993;306:182-4
8. 子宮内膜症と食べ物の関係

子宮内膜症の予防に効果があるとはっきりわかっている食べ物はありません。
長鎖ω(オメガ)-3脂肪酸という成分は子宮内膜症の予防につながる可能性があります。長鎖ω-3脂肪酸はDHAやEPAなどのことで、青魚やくるみに多く含まれています。
大規模追跡調査のデータを解析した研究によると、観察対象になった人々を長鎖ω-3脂肪酸の摂取量ごとに5段階に分けたとき、長鎖ω-3脂肪酸の摂取量が最も多いグループは最も少ないグループより子宮内膜症になる割合が22%減少していました。長鎖ω-3脂肪酸の摂取が多いと子宮内膜症を発症する可能性が低くなるのかもしれません。
子宮内膜症と食事の関係については、今も多くの検討が行われています。今後、子宮内膜症の予防に役立つ食べ物が見つかるかも知れません。
しかし、食事を考えるうえでは、日々の栄養バランスを保つことが第一です。子宮内膜症への影響を気にするあまり栄養バランスに偏りが生じては食事に気を遣う意味が薄れてしまいます。
自分で収集した情報を実際の食生活に応用しようと思うときは、栄養面や、好きなものを食べられる楽しい生活などとのバランスを考えて判断することをお勧めします。