[医師監修・作成]子宮内膜症の人が日常生活で気をつけることは? | MEDLEY(メドレー)
しきゅうないまくしょう(ちょこれーとのうほうをふくむ)
子宮内膜症(チョコレート嚢胞を含む)
子宮内膜が子宮以外の場所にできる病気。月経のたびに強くなる腹痛、性交時・排便時の痛みなどを起こす。
13人の医師がチェック 189回の改訂 最終更新: 2022.04.15

子宮内膜症の人が日常生活で気をつけることは?

子宮内膜症は妊娠が可能な女性の約10%に発症する身近な病気です。どんな症状がでたら子宮内膜症を疑えばいいのでしょうか。子宮内膜症に関する日常生活で気をつけることなどについて解説します。

1. どんな症状がでたら子宮内膜症を疑った方がいいのか?

子宮内膜症は何やら聞き覚えのない病気ですが、妊娠が可能な女性の約10%に発症する身近な病気です。どんな症状が現れたら子宮内膜症を疑えばいいのでしょうか?以下が子宮内膜症で現れる症状です。

  • 子宮内膜症でよく現れる症状
    • 強い生理痛(月経痛)
      • 症状が以前より強くなった 
      • 痛み止めの量が増えた
      • 日常生活に支障がでてきた 
    • 不妊症
    • 性交痛
  • 子宮内膜症で現れることがある症状
    • 生理のときに腰痛などがある
    • 排便の時に痛みがある
    • 便秘(べんぴ)
    • 頻尿(ひんにょう)
    • 生理のとき以外にも出血がある

上のリストで思い当たるものが多い場合は産婦人科などを受診して子宮内膜症について調べてもらうことを検討してみてください。時間とともに進行して症状が重くなることがあります。

子宮内膜症ではなかったとしても、生理痛で日常生活ができないこと自体が治療の対象となり、薬などを使った治療で生活を楽にできる可能性があります。

医療機関を受診すると色々検査をされることを想像して怖いと思うかもしれません。「性病ではないか」「妊娠できるのだろうか」といろいろな不安で頭がいっぱいになってしまうかもしれません。しかしいきなり多くの検査を受けなければいけないわけではありません。医師に相談して話を聞いてもらうだけでも病気がありそうかのあたりがついたり不安も解消できると思います。

子宮内膜症が見つかれば早期に治療することで痛みを和らげるなどの効果をえることができます。子宮内膜症を治療することで、不妊症だった女性が妊娠できる場合もあります。勇気をもって一歩踏み出すことが大事です。

2. 子宮内膜症の人は運動はしていいの?

運動が子宮内膜症の症状を悪化させることはありません。ただし腹痛などがひどいときには無理に運動をする必要はありません。むしろ体を休めることをお勧めします。

体調がよい場合に運動をするとストレスを発散でき、気持ちもリフレッシュできると思います。子宮内膜症の症状が重いと精神的にもストレスがかかった状態になりがちです。

運動が苦手だという人にはウォーキングやストレッチなど日常生活より少し負荷がかかる程度の運動がおすすめです。生活の中に上手に運動を取り入れてみてください。

3. 子宮内膜症の人はどんな食事をすればいいの?サプリメントは効果がある?

子宮内膜症の予防や症状の緩和に食事やサプリメントは効果があるのでしょうか?ここでは子宮内膜症と食事の関係について解説します。

食事で子宮内膜症は予防できる?

子宮内膜症の予防にはっきりとした効果の示された食べ物はありません。その中でも長鎖ω(オメガ)-3脂肪酸という成分は子宮内膜症の予防につながる可能性が唱えられています。長鎖ω-3脂肪酸はDHAやEPAなどのことで、青魚やくるみに多く含まれています。長鎖ω-3脂肪酸を多くとる人で子宮内膜症が少なかったとする報告があります。

参考文献:Hum Reprod.2010;25:1528-35

子宮内膜症に効果のあるサプリメントはある?

子宮内膜症を予防したり症状を和らげたりするサプリメントは知られていません。サプリメントは不足している栄養素を補う役に立ちますが、薬のように治療効果を現すものではありません。多量摂取などで害を引き起こす恐れもあります。

サプリメントで栄養のバランスを整えようとしているのであれば普段の食事を見直すことの方が大事だと思います。

とはいえ、逆に言えば特定の栄養素の不足により子宮内膜症が起こることもありません。子宮内膜症になったからといって「栄養が偏っているせいだろうか」と考える必要はありません。

食事は何に気をつければいいのか?

食事を考える上で、前提として食事は日々の栄養バランスを保つものと考えてください。しかも食事と関係する病気は子宮内膜症だけではありません。子宮内膜症への影響を気にするあまり栄養バランスに偏りが生じては食事に気を遣う意味が少ないといえます。病気への効果を気にしすぎた食事は本来食事がもつ楽しみなどが半減してしまうこともあると思います。月並な意見かもしれませんが、規則正しくバランスの取れた食事を楽しみながら続けることが何より大事です。

4. 子宮内膜症の治療中に注意することは?痛みへの対応の仕方

子宮内膜症の症状には痛みがつきものです。特に月経(生理)の前後は痛みは日常生活に支障をきたすこともあります。痛みが強いときには以下のような工夫を試してみてください。

  • お腹を温める 
  • 身体を締め付けるような服装は避ける 
  • 鎮痛剤を使うのを我慢しない

お腹を温める

お腹が痛むときに痛む場所を温めると症状が和らぐ経験したことがある人は多いと思います。患部を温めることは子宮内膜症の腹痛でも効果が期待できます。カイロなどを使って温めるとよいと思います。やけどあせもには気を付けてください。

服装に工夫を

腹痛をできるだけ和らげるには、楽な格好で過ごすことが有効なことがあります。少なくとも腹部を強く締め付ける服装は避けた方が無難です

鎮痛剤の使用を我慢することはない

痛みがあってもただ痛みを我慢し続ける人がいます。薬にあまり頼りたくないというのがその理由とよく聞きます。痛みを無理に我慢し続けることはないと思います。子宮内膜症で使われる鎮痛剤には依存性などはありませんので安心してください。

ただし、鎮痛剤の量が多くなると胃潰瘍(いかいよう)や腎臓の機能が低下したりするなどの副作用が現れることがあります。鎮痛剤の量が増えてきたらホルモン療法などの治療を追加で行うことを検討してよいかもしれません。新しい治療を始めるのは気が重くなりますが症状と付き合いながら生活を営む上では大事なことです。医師に症状をしっかりと伝えて自分に合った治療を相談することが大事です。

5. 子宮内膜症は自然治癒することはある?

子宮内膜症が自然治癒することはまれです。

子宮内膜症は女性ホルモンによって進行することが知られているので時間とともに症状が重くなります。ゆえに自然治癒は難しいと言わざるをえません。ただし、子宮内膜症は女性ホルモンの影響を受けて大きくなるので閉経が訪れると女性ホルモンが減少し子宮内膜症の症状は改善します。また妊娠すると症状がよくなることも知られています。

閉経前や妊娠などの特殊な状況を除けば子宮内膜症の自然治癒は難しく、子宮内膜症と診断された場合は定期的に医療機関を受診して適切な治療を受けることが大事です。

6. 子宮内膜症は予防できる?

子宮内膜症が発生する原因についてはまだ未解明なことがあり、そのため予防法も確立できていません

子宮内膜症の発生と関連性があるものを挙げてそれらに注意をうながす意見もあります。しかし、いくら予防に気を配っていても子宮内膜症を発症する危険性を0%にすることはできません。子宮内膜症はむしろ予防できる病気ではないと考えて早期に発見して治療することを重視するのがいいと思います。

生理痛が徐々に重くなったり月経時の出血が多くなったりするなど、子宮内膜症を疑う症状が現れたときは「今回はたまたま」、「そのうち良くなる」などと考えずに産婦人科などの医療機関を受診してみてください。子宮内膜症は治療から多くの効果を得ることができます。