にょうろけっせきしょう
尿路結石症
腎臓(腎盂)で尿の成分がかたまり(結石)を作り、尿路の中に存在している状態。腰や背中の激痛の原因となる
14人の医師がチェック 215回の改訂 最終更新: 2019.09.13

腎結石とは?症状、原因、手術、腎盂腎炎について解説

尿路結石は腎臓の腎杯や腎盂という場所で形成されます。腎結石は尿管へ移動して尿管結石となり痛みなどの症状が出現します。ここでは結石が尿管に移動する前の状態である腎結石について解説します。

1. 腎結石の症状は?

痛み(疼痛)

腎結石は腎臓の腎杯(じんぱい)や腎盂(じんう)という場所にできます。腎盂は腎臓と尿管をつなぐ場所です。結石は腎盂から尿管へと流れていきます。結石が移動することや途中で引っかかることで痛みを生じます。痛みは、差し込むような痛みを特徴としています。疝痛(せんつう)と表現されます。疝痛は腎盂の壁の筋肉(平滑筋)が痙攣(けいれん)したり収縮したりすることによるものです。痛みは結石がある場所のみに現れるのではなく、脇腹(側腹部)や下腹にも感じられることがあります。痛みは鈍痛であることや重圧感のように感じるだけのこともあります。疼痛(とうつう)は夜間や早朝に見られることもあります。

血尿

血尿は痛み発作があるときに見られます。結石により尿の流れが閉ざされているときには血尿が出ないこともあります。

比較的頻度の低い症状

  • 吐き気、嘔吐
  • 冷や汗
  • お腹が張った感じ 
  • 顔面蒼白、呼吸促迫(こきゅうそくはく)、血圧上昇

上記のように腎結石が原因で自律神経症状があらわれることがあります。痛みで動けなくなることも珍しくありません。動けないほどの痛みを感じたら救急車を呼んでください。

2. 結石性腎盂腎炎とは?

結石が詰まってしまい、腎盂(じんう)とよばれる場所に細菌が定着して発熱の原因になる場合があります。腎盂腎炎(じんうじんえん)といいます。腎盂腎炎は汚れた尿が溜まっていることが原因です。結石がない人でも腎盂腎炎発症することがあります。結石を原因とする腎盂腎炎を結石性腎盂腎炎ということがあります。

腎臓のイラスト

腎結石がある人が必ず腎盂腎炎を起こすわけではありません。

糖尿病などでもともと免疫力が落ちている場合などは、持病がない人よりも腎盂腎炎を起こす可能性が高いです。

診断・検査

腎盂腎炎でポイントになるのは、重症度です。腎盂腎炎は菌血症に移行しやすい傾向があります。菌血症とは細菌が血液に回って全身に広がった状態です。菌血症は重い感染症であり、危険な状態です。結石を治療する医師は結石による痛みをとりつつ、発熱など全身の状態を注意深く観察しています。

腎盂腎炎の重症度の評価や治療方針の決定に必要な検査などは以下のものです。

  • バイタルサインの測定(体温、血圧、脈拍、呼吸数など)
  • 血液検査、尿検査 
  • 超音波検査 
  • CT検査
  • 細菌検査(尿培養、血液培養)

腎臓では尿の流れが滞っているので、腎盂が拡張してきます。この状態を水腎症といいます。水腎症の状態が続き腎盂の圧が上昇することで、腎臓の中へ感染が広がると考えられています。

腎臓は血流の非常に多い臓器です。そのために、腎臓へ感染した細菌が血液にのって全身にまわる菌血症に進行しやすい傾向にあります。菌血症は命に影響を及ぼすことがあり注意が必要です。

治療

結石性腎盂腎炎の治療は2種類あります。

  • 抗生物質
  • ドレナージ(尿管ステント、腎

結石性腎盂腎炎は菌血症に発展して危険な状態に陥ることがあります。抗生物質(抗菌薬、抗生剤)による治療を行いますが、結石によって汚れた尿が体の外に出る見込みがない場合や抗生物質の効果がない場合は、尿を体の外に出す手段をとる必要があります。汚れたものを体の外に出すことをドレナージといいます。

ドレナージの方法には2つあります。尿管ステント留置術と腎瘻(じんろう)造設術です。

経皮的腎瘻造設術(けいひてきじんろうぞうせつじゅつ)

腎臓は背中側にある臓器です。背中に針を刺して腎臓に直接届く穴(腎瘻)を開け、カテーテルという細い管を入れることで尿を体の外に出すことができます。

  • 利点
    • 腎臓に直接管を挿入するので、確実に尿を体外に出すことができる。
  • 欠点
    • 全身の状態が悪い場合や、血液を固まりにくくする薬を飲んでいる場合には行えない場合がある。
    • 腸や太い血管に傷がついてしまう合併症がまれにある。

腎瘻を増設して、感染が落ち着き結石の治療を行った後に腎瘻カテーテルを抜去します。感染が治っていれば、カテーテルを抜くだけで腎瘻によってできた体の穴は自然に閉鎖します。

尿管ステント留置術

ステントというのは長い管です。狭くなった尿管にステントを入れることで、尿はステントの中を流れることができ膀胱へ出て行くことができます。

ステントを入れるためには内視鏡を使います。尿道から内視鏡を入れて尿管が膀胱に開口している部分(尿管口)まで内視鏡を進めます。内視鏡は道具を送り込めるようになっているので、ステントを尿管に挿入し腎臓まで届かせることができます。腎臓まで管が通れば管の中を汚れた尿が排出されます。

  • 利点
    • 針を体に刺すなどの必要がなく腎瘻に比べると体への負担は少ないと考えられる。
  • 欠点
    • 挿入できたとしても、ステントが詰まり他の方法に変更が必要になる場合がある。
    • ステントは腎瘻に比べると細いので汚れた尿を体の外に出すことに不十分な場合があり、腎瘻増設が追加で必要な場合がある。

3. 菌血症とは?

結石性腎盂腎炎が重症化すると菌血症になる場合があります。菌血症は全身に細菌が回っている状態です。菌血症は全身に炎症を起こし血圧の急激な低下や呼吸状態の悪化の原因になります。

強力な抗生物質による治療とドレナージが必要になります。ドレナージの方法は、腎瘻造設術と尿管ステント留置術です。全身状態を考慮しながら最適な方法でドレナージを行います。

菌血症は呼吸状態や循環状態(血圧、脈拍など)が悪化することもある重症であり、集中治療室での治療が必要になります。

4. DIC(播種性血管内凝固症候群)とは?

結石性腎盂腎炎が菌血症を起こしてさらに重症になると、播種性血管内凝固症候群(はしゅせいけっかんないぎょうこしょうこうぐん)という状態が引き起こされることがあります。

播種性血管内凝固症候群は、英語のDisseminated Intravascular Coagulationを略してDICと呼ばれることもあります。DICは全身の血管の中で血栓(血の塊)ができる状態です。血栓がいろいろな臓器の血管を塞いでしまい、臓器にダメージを与えます。さらに、大量の血栓ができることにより、血液が固まるために必要な物質が消費されて少なくなってしまいます。すると逆に血液が固まりにくくなる場合もあります。

DICが改善しないと、いろいろな臓器で血栓により血流が失われてしまい、多臓器不全という状態に発展します。多臓器不全は「多くの臓器が機能を失う」という状態です。

DICの状態を改善するには血栓ができるのを極力防ぐための薬を投与しつつ、原因である感染症を強力な治療により改善することが重要です。

5. 腎結石の原因は?

腎結石の原因は、いくつかの要因が絡み合っていると考えられています。大きくは4つに分類されます。腎結石が形成され、それが尿管に移動することによって痛みが生じます。

  • 環境要因
    • 飲水不足
    • 食事
    • 男女差
  • 尿中物質の排泄異常 
    • シュウ酸、カルシウムの尿中排泄量の増加
  • 腎・尿路の異常 
    • 尿の停滞、濃縮
    • 感染、尿のpH
  • 結石形成過程の異常

環境要因

水分の摂取量が少ないと尿が濃縮されて、結石が形成されやすくなります。一度結石ができてしまった場合でも、1日あたりの摂取水分を2L以上とすることで再発予防が可能とされています。結石の形成には食事も重要です。シュウ酸の摂取量を減らすことやカルシウムの摂取量を適当な範囲にすることが重要視されています。尿路結石の再発予防について「尿路結石とは?」で解説しています。

腎・尿路の異常

腎臓やその後に続く尿路(腎杯-腎盂-尿管-膀胱-尿道)の形に異常がある場合も結石の原因になる場合があります。たとえば前立腺肥大症で尿が出しにくい状況は、結石の形成につながることも考えられます。結石の原因になる異常を治療することは重要です。

6. 腎結石の治療は?

腎結石の治療ではまず痛みを抑えることを重視します。発熱などがない場合は痛みが治まれば、結石の評価を行います。自然に排石されそうかどうかが一つのポイントです。結石の大きさにより治療方針が大きく変わります。

発作時の治療

尿路結石の痛みはとても激しいものです。人生最悪の痛みと表現されることもあります。痛みのために身動きが取れなくなり救急車を呼ばなければ病院にも行けないことも珍しくはありません。

腎臓にある結石が尿管に詰まることで激痛を引き起こします。腎臓に結石がとどまった状態では、鈍い痛みなどを自覚する場合もあります。

下記は腎臓にある結石が尿管に移行した場合を想定した痛み止めの方法です。

  • 鎮痛剤
    • NSAIDs
    • 中枢神経作用薬
  • 鎮痙薬
  • 局所のブロック

結石の痛みにはNSAIDs(エヌセイズ)という種類の薬が効果的です。NSAIDsという名前はNonsteroidal Anti-Inflammatory Drugs(非ステロイド性消炎鎮痛薬)の略です。市販薬でもNSAIDsに分類される薬剤は「痛み止め」の成分として一般的に使われています。

尿路結石に対しては特にNSAIDsの座薬がよく使われます。

座薬で効果がないときは中枢神経(脳や脊髄)に作用し痛みを和らげるペンタジン®という注射薬などを用いることがあります。注射をすると意識がややぼんやりすることで痛みが和らぎます。

尿路結石、特に尿管結石の痛みは激しいものがあります。尿管結石の痛みの原因は、尿管の壁の筋肉(平滑筋)が痙攣したり収縮したりすることによるものです。尿管の痙攣を取ることで痛みが改善することがあります。

それでも効果がない場合の対処法として、痛みが最も強い部位に局所麻酔薬を注入して痛みを抑える方法があります。効果が強く出る場合とあまり出ない場合があります。結石を超える痛みはこの世に少ないと言われています。なんとかして痛みを抑えるために医師もあの手この手を尽くしています。

手術

下記のように治療方針を決定します。

図:腎結石の治療方針の選び方。
 

TUL(経尿道的尿管結石破砕術)

TULは手術室で行う内視鏡手術です。体に傷口は作らず尿道から内視鏡を入れて結石のある場所まで進めます。使用する尿管鏡は軟性鏡です。軟性鏡は胃カメラのように柔らかく腎盂内の結石を破砕できます。

レントゲンを用いながら、結石のある側の尿管へ尿管鏡を挿入し、ホルミウムYAGレーザー体内式衝撃波結石破砕装置(商品名リトクラスト®)を使って結石を破砕したり、カテーテルを用いて結石を掴んで体の外に出します。

手術時間は1-2時間程度です。

手術の後、尿管が狭くなり尿の流れが悪くなることがあるので、尿管ステントを一定期間留置することがあります。尿管ステントは入院中や通院中に抜去します。術後に血尿が現れますが、ほとんどが自然消失します。

TULの合併症

  • 尿管穿孔(せんこう)・尿管断裂
    • 尿管結石を破砕している最中に破砕装置が尿管の壁を損傷してしまうことがあります。穿孔とは穴が開くことです。尿管穿孔などが起こった場合には安全性を考え手術を中止します。
  • 腎盂腎炎
    • 腎盂で細菌が増殖して感染を起こすことです。腎盂腎炎は重症になりやすいので、抗菌薬をしっかりと使った治療が必要になります。

ESWL(体外衝撃波結石破砕術)

ESWLは1980年にドイツで開発されました。体外で衝撃波を発生させて体内まで届かせることで結石を細かく砕き、結石を排出させやすくする治療法です。一回の治療に1時間ほどかかります。治療中は衝撃波を発生させるために大きな音がします。痛みが我慢できる範囲に出力を調整します。

結石によっては1回の治療では効果が不十分なことがあります。この場合は後日再びESWLを行うか、内視鏡手術など他の治療を行うことが必要になります。砕石した破片が尿管内に詰まり痛みや発熱を来たした場合、対処のため尿管の中に細い管(カテーテル)を留置することがあります。

ESWL(体外衝撃波結石破砕術)

ESWLの合併症

  • 血尿
    • 尿に血が混ざりますが、通常数日で軽くなります。
  • 疼痛(痛み)・吐き気
    • 通常、時間とともに和らぎます。
  • 下血
    • 衝撃波の当たった皮膚が赤くなることがありますが、自然に消失します。
  • 腎被膜下血腫
    • 腎結石の治療後、まれに腎臓内に血の塊ができることがあります。発熱や疼痛を伴いますが、ほとんどが保存的に(手術などをせず)様子を見るうちに改善します。

PNL(経皮的腎砕石術)

PNLは、背中から腎臓に向かって針を指し、その穴を広げ、内視鏡を挿入し結石破砕する治療法です。

患者さんは全身麻酔がかかった状態でうつ伏せになります。医師は超音波で針先の位置を確認しながら腎臓に向かって針を指します。針の穴を徐々に広げます。

穴からシース(外筒)というものを挿入し、内視鏡やレントゲン装置を用い尿路や結石を確認します。到達した尿路に灌流液(かんりゅうえき)という液体を流します。灌流液によって内視鏡の前の邪魔なものが洗い流され、視野が確保できます。内視鏡からモニターに映し出された様子を確認しながらレーザーや体内式衝撃波結石破砕装置(商品名リトクラスト®)を使って結石を破砕します。次いで結石を回収する器具(バスケットカテーテル)を用いて結石を回収(抽石)します。

抽石終了後、内視鏡やレントゲン装置、尿路造影で残石の有無、尿路損傷の有無の確認を行います。 出血・感染の抑制、尿流の確保・測定のために、造設した穴からカテーテルを挿入し留置します。

PNLの合併症

  • 腎臓および周囲臓器の損傷
    • 腎臓の周りには血管、腸管、腹膜、肺、胸膜、脾臓(左)、肝臓(右)があります。腎臓に針を刺すときにこれらを損傷すると出血、気胸腹膜炎等の原因となります。軽度な損傷であれば自然に治る見込みがありますが、症状が重い場合には追加治療が必要となります。まれには生命に関わることもあります。
  • 術後感染症
    • 腎盂腎炎の原因となった結石や感染結石を治療する場合、術後に急性腎盂腎炎を発症する場合があります。通常、抗菌薬の点滴投与により改善する場合がほとんどですが、場合によっては菌血症性ショックとなり、集中治療が必要になる場合もあります。
  • 術後尿管狭窄(きょうさく)
    • 下記の場合は術後に尿管狭窄を合併することがあります。狭窄とは狭くなることです。尿管が狭くなると尿の流れが悪くなることがあります。尿管狭窄が起こった場合は、尿管ステント留置、尿管拡張術、尿管吻合術(にょうかんふんごうじゅつ)など追加治療が必要になります。
      • 手術操作で尿管を損傷した場合
      • 結石が長期間放置されていた場合
      • 結石を破砕する際に尿管を一部切開しなければならなかった場合