にょうろけっせきしょう
尿路結石症
腎臓(腎盂)で尿の成分がかたまり(結石)を作り、尿路の中に存在している状態。腰や背中の激痛の原因となる
14人の医師がチェック 215回の改訂 最終更新: 2019.09.13

尿路結石症とは?原因、治療、予防、食事について解説

尿路とは腎臓で作られた尿が身体の外に出て行くまでの経路を指し、腎臓、尿管、膀胱、尿道で構成されます。尿路結石は尿路内で尿の成分が固形化したものです。尿路結石ができると、尿の流れを妨げたり、尿路を傷つけたりすることによって、痛みや血尿の原因になります。

1. 尿路結石症について

尿路とは尿の通り道のことで、腎臓、尿管、膀胱、尿道で構成されます。尿には水分以外の物質が含まれており、固形化することがあります。この尿が固形化したものを尿路結石といい、尿路を塞いだり、尿路の壁を傷つけ、痛みや血尿といった症状の原因になります。

尿路結石のできやすさに男女差はあるのか

尿路結石ができやすいのは男性とされています。その男女比はおおむね2:1です。また、尿路結石の生涯罹患率(一生に一度以上発症する確率)は以下のようになります。

  • 男性:15.1%
  • 女性:6.8%

言い換えると、男性では約7人に1人、女性では約15人に1人が尿路結石を経験します。

尿路結石になりやすい年齢について

30歳から50歳代に尿路結石が多く見られます。一方で、子どもに結石ができることは多くはありません。子どもが尿路結石になった場合は、原発性副甲状腺機能亢進症や、キサンチン尿症、シスチン尿症といった病気が隠れていることも考えなければならないので、詳しい検査が必要になります。

季節と尿路結石の発生について

四季が存在する国では、夏に結石が多く発生がするという研究報告があります。夏は脱水になりやすく、尿が濃縮されやすいことが結石の原因と推測されています。

2. 尿路結石の症状について:痛みや血尿など

尿路結石の症状は結石が発生した場所によって異なります。

それぞれの部位に分けて症状を説明します。

■腎結石・尿管結石

腎結石・尿管結石は症状がほぼ同じです。 腰や背中に差し込むような痛みが主な症状です。この痛みは疝痛(せんつう)と表現され、尿路結石に特徴的とされます。痛みは夜間や早朝に現れやすいです。
また、腎盂や尿管の壁を結石が傷つけるために、痛みに血尿がともなうことが多いです。

■膀胱結石

背中や腰の痛みが腎結石・尿管結石の特徴的な症状であるのに対して、膀胱結石では下腹部痛や、頻尿、排尿時痛といった症状が現れます。また、腎結石や尿管結石と同様に、血尿が見られます。

■尿道結石

尿道は膀胱から身体の外に尿が出ていくための管です。尿道に結石が詰まると、尿が出なくなり、下腹部が痛みます。また、他の部位の結石と同様に、血尿も見られます。

3. 尿路結石の原因について

尿路結石の形成にはいくつかの要因が絡み合っており、その要因は大きくは3つに分かれます。

  • 水分摂取の不足
  • 偏った食事
  • 腎・尿路の異常 

水分摂取の不足

水分の摂取量が少ないと尿が濃縮されて、結石が形成されやすくなります。1日あたり2リットル以上の水分を摂ることで再発予防が可能とされています。

偏った食事

シュウ酸を多く含む食品を摂取しすぎると、尿路結石ができやすくなります。シュウ酸は葉菜類(ほうれん草やコマツナなど)やお茶、バナナ、チョコレート、ココアなどに多く含まれています。具体的な食事方法についてはお医者さんや栄養士に相談してみてください。

腎・尿路の異常

尿路(腎臓-尿管-膀胱-尿道)の形の異常は結石の原因になります。例えば、前立腺肥大症で尿が出にくい状況は結石の形成につながりますし、尿管に狭い場所がある場合も結石ができやすくなります。

4. 尿路結石の種類について

尿路結石は成分によっていくつかの種類に分けられます。代表的な種類を表に示します。

【結石の種類と特徴】

  シュウ酸カルシウム結石(リン酸カルシウムとの混合も含む) リン酸マグネシウムアンモニウム 尿酸 シスチン
頻度 約90% 約5% 約5% 1-2%
レントゲン写真への写り方 (結石密度) 濃い 淡く写る 写らない 淡く写る

結石の種類がわかれば、効果的な予防策をとることができます。結石の成分を調べるために、結石が身体の外に出てきたらお医者さんに提出してください。

5. 尿路結石症の検査について

尿路結石症が疑われた人には検査がいくつか行われ、結石の存在や他の病気の有無が調べられます。

【尿路結石の検査】

  • 尿検査
  • 血液検査
  • 画像検査
    • 超音波検査
    • レントゲン検査
      • KUB
      • 排泄性尿路造影検査(IVU:intravenous urogtaphy) 
    • CT検査

尿路結石症になると尿に赤血球白血球が見られることが多いです。このため、尿検査を行い異常の有無が確認されます。また、必要に応じて血液検査が行われ、感染症の有無や腎機能が調べられます。
画像検査では身体の中を画像化することができ、超音波検査やレントゲン検査、CT検査などが画像検査に含まれます。画像検査では結石の位置や大きさなどを知ることができ、治療に役立てられます。

6. 尿路結石の治療について:鎮痛剤・排石促進薬・手術

尿路結石の治療は大きく3つに分けることができます。

  • 尿路結石の痛みを和らげる治療
  • 尿路結石を出しやすくする治療
  • 尿路結石を取り除く治療

尿路結石の痛みは強烈なので、発作時には鎮痛(痛みを抑えること)が主目的になります。痛み止めにはNSAIDsという薬が効果的なのでよく用いられます。
痛みが和らいだ後は結石を身体の外に出す治療が行われます。結石が小さく、排出される可能性が高い場合、結石を出しやすくする薬を使って自然排出を促します。一方で、結石が大きく、排出される可能性た低い場合は、ESWL(衝撃波で結石を砕く治療)や、内視鏡治療などが検討されます。
それぞれの治療について詳しく説明します。

 

尿路結石の痛みを和らげる治療

尿路結石の痛みはとても激しいです。痛みのために身動きが取れなくなり、救急車を呼ばなければならないことも珍しくはありません。
発作時の治療は痛みを抑えることが目的になります。鎮痛には次のような方法があります。

  • 鎮痛剤
    • NSAIDs(エヌセイズ)
    • 中枢神経作用薬
  • 鎮痙薬
  • 神経ブロック

結石の痛みにはNSAIDs(エヌセイズ)という種類の薬が効果的です。NSAIDsという名前はNonsteroidal Anti-Inflammatory Drugs(非ステロイド性消炎鎮痛薬)の略です。市販薬でもNSAIDsに分類される薬剤は「痛み止め」の成分として一般的に使われています。尿路結石に対しては特にNSAIDsの座薬がよく使われます。NSAIDsに効果がない場合は、中枢神経に作用する痛み止めや、痛みの原因である尿管の痙攣を抑える薬が使われることがあります。

結石を出しやすくする治療

α1遮断薬(アルファワンしゃだんやく)という前立腺肥大症の薬には結石の排出を促す効果もあり、海外を中心に有効性の報告が行われています。代表的な研究の結果を下に表で示します。

【1cm以下の結石に対してα1遮断薬を使用した場合としなかった場合の比較】

  α1遮断薬を使用した場合 α1遮断薬を使用しない場合
排石までの期間 6.07日 9.45日
排石した割合 83% 53.8%

参考:Urol Int. 2010:84:254-9

この報告は海外からのものであり、使用されている薬の量も前立腺肥大症に対して使われる量よりかなり多いので、この結果をそのまま日本人に当てはめることはできない点には注意してください。
α1遮断薬以外ではウロジロガシエキス(ウロカルン®)や漢方薬の猪苓湯(チョレイトウ)が使われることがあります。

尿路結石を取り除く治療:手術

尿路結石が自然排出されず症状があったり、他の臓器の悪影響が出ている人には、手術が必要になります。手術方法は、腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石のそれぞれで異なり、以下の表になります。

  腎結石 尿管結石 膀胱結石 尿道結石
手術法 経皮的結石破砕術 (PNL) 経尿道的尿管結石破砕術 (TUL) 体外衝撃波結石破砕術 (ESWL) 経尿道的尿管結石破砕術 (TUL) 体外衝撃波結石破砕術 (ESWL) 経尿道的膀胱結石破砕術 膀胱切石術 体外衝撃波結石破砕術 (ESWL)

それぞれの治療内容については「腎結石について」「尿管結石について」「膀胱結石について」「尿道結石について」を参考にしてください。

参考:
「標準泌尿器科学」、(赤座英之/監修)、医学書院、2014
尿路結石症診療ガイドライン