へんけいせいしつかんせつしょう
変形性膝関節症
膝関節の軟骨がすり減って、関節がなめらかに動かなくなったり、動かすと痛みが出たりする状態
8人の医師がチェック 177回の改訂 最終更新: 2022.03.11

変形性膝関節症で知っておくと良いこと

変形性膝関節症は進行していく病気です。進行のスピードを少しでも遅くし、上手に付き合っていくためには、日常生活のさまざまな場面で工夫が必要になります。このページでは日常生活の注意点と患者さんが抱きがちなちょっとした疑問について説明していきます。

1. 変形性膝関節症の人が日常生活で気をつけること:靴の選び方、インソールなど

変形性膝関節症の進行を抑えるために、膝に負担をかけない生活を心がけることが大切です。そのための方法として、体重増加に気をつける、太ももの筋力をつける、歩きすぎない、など特に生活に取り入れて欲しいことを中心に説明していきます。

肥満にならない

変形性膝関節症の人は太りすぎに気をつけてください。

体重が正常範囲を外れて増加すると、膝への負担が増します。変形性膝関節症の人にとっては肥満は大敵と認識し、体重管理にはシビアになるべきです。まず、自分の適性体重を知るようにしてください。適切な体重は次の式で求めることができます。

  • 適正体重=22× 身長(m)×身長(m)

例えば、身長170cm(=1.7m)の人の適正体重は、上記の式より22×1.7×1.7=63.58kgになります。適正体重を超えた人は、この体重にできるだけ近づけるようにダイエットに取り組んでみてください。体重を落とすには運動療法と食事療法を適切に行う必要があります。医師や、管理栄養士、理学療法士に方法を相談しみてください。

サポーターを活用する

状態によっては、膝のサポーターが動作時の負担軽減に有効な場合があります。 医師や理学療法士から購入を勧められるかもしれません。ただ漫然と使用するのではなく、どのような状況で使うと有効なのかをよく聞いたうえで試すとよいです。ただし、サポーターをすることで変形性膝関節症が治るわけではないので、過度な期待は禁物です。ですので、他の治療も十分に行うことが肝要です。

適切な靴を選び必要に応じてインソールを利用する

変形性膝関節症の人にとって靴選びは症状緩和につながる可能性があるため重要です。

自分にあっていない靴を使っていると、膝に負担がかかる原因になってしまいます。変形性膝関節症の人は靴が自分にあったものかどうかを見直してみるとよいです。もし靴があっていないのであれば、靴を買い直してもよいですし、インソールを利用してもよいので、できるだけ自分の足に負担がかからないように工夫をしてみてください。

歩きすぎに注意する

足の筋力を高めたり減量するために歩行を生活に取り入れるのは良い考えです。症状緩和に有効だと考えられています。一方で、歩き過ぎると、膝への負担が強くなってしまいます。ウォーキングを日課にするのはよいのですが、デメリットがメリットを上回らないよう、どの程度が適切か医師や理学療法士とよく相談してください。無理はくれぐれも禁物です。

太腿の筋力を高める

太ももの筋力を高めると、膝への負担が軽減されると考えられています。太ももの筋肉は意識的に鍛えるとよいでしょう。医師や理学療法士など専門的な知識をもつ人に相談して、効果的な鍛え方を教わってみてください。

2. 変形性膝関節症のちょっとした疑問:サプリメント・サポーターなど

変形性膝関節症は多くの人がなる病気だからか、治療の情報を耳目にする機会が多いように思います。ここではサプリメントと膝の水を抜くことの2つにフォーカスを当てて説明します。

サプリメントに効果はあるのか?

変形性膝関節症に効果があるサプリメントは現在のところまだはっきりとはみつかっていません。まれに、お医者さんに相談せずに、サプリメントを使って自分で治そうとする人がいるようですが、お勧めはしません。変形性膝関節症は進行性の病気なので、できるだけ

早くからお医者さんに診てもらっておいたほうが進行を遅らせることができるかもしれません。くれぐれもサプリメントだけではなく、医療機関で受けられる治療を本筋として治療を進めることを検討してみてください。

膝の水を抜くとくせになるのか?

結論から言うと膝の水を抜いても癖になることはありません。

変形性膝関節症が進行すると、膝関節に水分が溜まってきます。膝に水分が溜まると、腫れから痛みが生じたり、曲げ伸ばしがやりづらくなります。これらの症状は、膝の水分を抜くと緩和されることが多いです。 しかし、膝の水を抜いても、再び膝に水が溜まってしまうことはよくあることです。何度も膝に水が溜まっては抜いてを繰り返すうちに、膝の水を抜くせいで膝に水が溜まるのだと誤解してしまう人がまれにいます。そして、「膝の水を抜くとくせになる」からと考えて過度な我慢してしまうことも珍しくはないようです。しかし、膝の水を抜くことで一層水がたまりやすくなるということはありません。症状がつらいのに過度な我慢を続けると、心身ともにつらいものがあるので、膝に溜まった水はその都度抜いてもらったほうがよいです。 繰り返しになりますが、膝の水を抜いてもくせになることはありません。ですので、症状がつらいときは我慢せずにお医者さんに相談してみてください。

参考文献

Michael Doherty, Abhishek Abhishek. Clinical manifestations and diagnosis of osteoarthritis. UpToDate

Leticia Alle Deveza, Kim Bennell. Management of knee osteoarthritis. UpToDate