[医師監修・作成]変形性膝関節症の治療について:薬物療法、リハビリ、手術など | MEDLEY(メドレー)
へんけいせいしつかんせつしょう
変形性膝関節症
膝関節の軟骨がすり減って、関節がなめらかに動かなくなったり、動かすと痛みが出たりする状態
8人の医師がチェック 177回の改訂 最終更新: 2022.03.11

変形性膝関節症の治療について:薬物療法、リハビリ、手術など

変形性膝関節症の症状を和らげるには治療が必要です。主な治療には薬物療法やリハビリテーション、手術があります。このページでは治療の選び方やその内容について掘り下げて説明します。 

1. 変形性膝関節症の治療の選び方

変形性膝関節症の原因は軟骨のすり減りです。一度すりった軟骨を元に戻すのは困難なため、治療の目的は、症状を和らげ、できるだけ進行を遅らせることになります。

【変形性膝関節症の治療】

  • 薬物療法
  • リハビリテーション
  • 手術
    • 関節鏡手術
    • 高位脛骨骨切り手術
    • 人工膝関節置換術

手術は身体への負担が大きいので、初期の段階で選ばれることは多くはありません。そこで、最初に薬物療法が行われることが多いです。飲み薬や関節注射を使って痛みを緩和します。薬物療法と並行して、リハビリテーションも行われます。手術後のイメージが強いリハビリテーションですが、手術をしていない人にも有効です。具体的には、太腿の筋肉を鍛えて膝関節にかかる負担を減らします。

進行していたり、症状のコントロールが不十分な人には手術が検討されます。手術にはいくつか方法があり、膝の状態から適した方法が選ばれます。

2. 薬物療法

薬物療法の目的は痛みを抑えることになります。主な方法としては飲み薬と関節内注射の2つがあります。

飲み薬

飲み薬はアセトアミノフェンやNSAIDsなどの一般的な痛み止めを使います。それでも効果がない場合にはオピオイドというカテゴリーに含まれる薬を使うことがあります。NSAIDsやアセトアミノフェンは市販薬として入手することも可能ですが、お医者さんに相談をしないで使うのは避けたほうがよいです。まず診察を受けて、膝の痛みが変形性膝関節症であるかどうかやその程度について、見立ててもらってからにしてください。 NSAIDsアセトアミノフェンオピオイドについてはそれぞれのリンクや「こちらのコラム」も参考にしてください。

関節内注射

膝関節に薬を注射する方法もあります。ヒアルロン酸という成分を含む薬が使われることが多いです。変形性膝関節症になると、膝の軟骨が凸凹になり痛みを引き起こすのですが、ヒアルロン酸を注射すると、傷んだ軟骨の表面がコーティングされて、症状が和らぎます。

一定の効果がある関節内注射ですが、持続時間が短く一時的な処置の位置づけになります。また、関節内注射も注射の一種なので、治療時に痛みがあり、頻繁にやると身体に負担をかけてしまいます。そのため、関節内注射と飲み薬を上手に組み合わせて、効果と身体の負担とのバランスをとることが多いです。

3. リハビリテーション

リハビリテーションはいわゆる「リハビリ」のことです。手術をしない人にもした人にも行われます。変形性膝関節症のリハビリテーションでは、膝の動かしづらさを改善し、膝への負担を減らすことが目的になります。具体的には、膝のストレッチを行ったり、大腿(太もも)の筋力を強化したりします。必要に応じて、専用の器具を使ったりもします。 リハビリテーションのメニューはその人の状態に合わせて適したものが選ばれます。自分の膝の状態を理学療法士に詳しく伝えて、コミュニケーションを密に取りながら進めるようにしてください。

4. 手術

手術には3つの種類があり、変形性膝関節症の進行度に応じて、適した方法を選びます。(この下に、関節鏡手術の画像が入っています。)

【変形性膝関節症の手術法】

  • 関節鏡手術
  • 高位脛骨骨切り手術
  • 人工膝関節置換術

それぞれの内容について一つずつ詳しく説明します。

関節鏡手術

関節鏡とは内視鏡の一種です。膝に小さな穴を数カ所開けるだけで手術がでできます。膝関節の変形が進んでいない人に行われることが多く、手術では軟骨や半月板の傷んだ部分を取り除きます。 後述する2つの方法に比べて身体の負担が小さいので、入院期間が短くて済む点がメリットです。一方で、膝の変形を根本的に治す治療ではないので、関節鏡手術の後に進行してしまうこともあります。その場合には、再び手術が必要になる点がデメリットだと考えられます。

脛骨骨切り手術

膝が変形してしまった人に行われます。後述する人工関節膝置換術に比べて若い人に検討されることが多いです。

通常、膝にかかる体重は膝の中央に集まります。しかし、膝の変形が進行すると、膝の中央より外側または内側に体重がかかるようになります。そうなると、膝関節のクッションとなっている半月板や軟骨が痛みやすくなります。こうした状況が続くと、痛みや動かしづらさは悪化の一途をたどります。

「脛骨骨切り手術」を行うことで、変形した膝を元に近い状態へ近づけることが可能です。具体的には、膝関節を構成している脛骨(すねの骨)の上端の一部を切り出して、体重が膝の中心にかかるように角度を調節します。この時必要に応じて、脛骨に人工の骨を挟み込むこともあります。次に調節した脛骨を安定させるために、金属プレートを埋め込み固定します。 脛骨骨切り手術は自分の骨を温存できるので、膝の曲げ伸ばしは自然ですし、基本的には動きや運動には制限がかからないのがメリットです。一方で、回復に時間がかかることや、骨がくっついた後に、固定のために埋め込んだ金属プレートを手術で抜去する必要があることがデメリットとして考えられます。

人工膝関節置換術

脛骨骨切り手術と同じく、膝が変形してしまった人に行われます。若い人に検討されることが多い脛骨骨切り手術に対して、人工膝関節置換術は高齢者に検討されることが多いです。 手術では膝関節を構成する大腿骨(太ももの骨)と脛骨(スネの骨)の両方の骨の表面を削り取って、人工物に置き換えます。関節面が自分の骨である脛骨骨きり手術に対して、関節面が人工物に置き換わる点が異なります。 脛骨骨切り手術と比べたときの人工膝関節置換術のメリットは、「安静期間の短さ」が挙げられます。術後翌日から歩行を始ることも可能ですし、膝の痛みも大きく改善しています。若い人に比べて、高齢者は安静期間が長引くと、筋力を元に戻すために時間がかかりがちで、そのまま寝たきりになってしまう可能性も少なからずあります。そうした背景から、高齢者にとっては安静期間は極力短いほうがよいので、脛骨骨切り手術よりも人工関節置換術のほうが向いていると考えられています。一方で、デメリットしては、日常生活に支障はないものの、激しいスポーツなどを行うにはどうしても膝の違和感が問題になってしまうことが挙げられます。

参考文献

Michael Doherty, Abhishek Abhishek. Clinical manifestations and diagnosis of osteoarthritis. UpToDate

Leticia Alle Deveza, Kim Bennell. Management of knee osteoarthritis. UpToDate