2016.03.04 | ニュース

突然の頭痛、CTを撮れば安心か?

文献の調査から

from Stroke; a journal of cerebral circulation

突然の頭痛、CTを撮れば安心か?の写真

くも膜下出血は突然の激しい頭痛が特徴です。頭痛からくも膜下出血が疑われたとき、ほかの原因と見分けるためCTの画像はよく使われますが、どの程度信頼できるのでしょうか。これまでの研究データをまとめる方法で検証が行われました。

◆くも膜下出血とCTの文献を調査

研究班は、文献のデータベースを検索し、過去の研究論文を集めました。発症の様子などからくも膜下出血が疑われた成人を対象に、発症後6時間以内に造影剤を使わないCTが撮影された結果のデータを集めて解析しました。

 

◆見逃しもまれにある

次の結果が得られました。

13件で、6時間以内の脳CTにおいて見逃されたくも膜下出血(発生率は1,000件中1.46件)が報告されていた。全体でCTの感度は0.987(95%信頼区間0.971-0.994)、特異度は0.999(95%信頼区間0.993-1.0)だった。

CTによって、くも膜下出血が実際にあった人のうち98.7%を発見し、くも膜下出血ではなかった人の99.9%は正しくくも膜下出血ではないと判断できていましたが、くも膜下出血が実際にあった人でも1%あまりが見逃されていました。

 

CTによるくも膜下出血の診断は信頼度が非常に高いものですが、医療ではどんなときにも「絶対」はありません。より正しく判断するために医師は診察など多くの情報を組み合わせて診断します。CTがくも膜下出血の診断に適していることと同時に、ひとつだけの検査に頼ることの限界も示されていると言えるのではないでしょうか。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Sensitivity of Early Brain Computed Tomography to Exclude Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage: A Systematic Review and Meta-Analysis.

Stroke. 2016 Mar.

[PMID: 26797666]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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