2016.10.16 | ニュース

検査で頭痛に…「水分を取って安静」は間違い!ルンバールの頭痛を防ぐ方法

文献の調査から

from The Cochrane database of systematic reviews

検査で頭痛に…「水分を取って安静」は間違い!ルンバールの頭痛を防ぐ方法の写真

脳を調べる腰椎穿刺(ようついせんし、ルンバール)という検査は、かなりの割合で検査後の頭痛を引き起こします。以前は「頭痛予防のため検査後は水分を取って横になる」と言われていましたが、この方法には効果がないことがわかってきています。

腰椎穿刺は、脳の周りを満たしている脳脊髄液(のうせきずいえき)を取り出す検査です。脳脊髄液は略して髄液とも言います。髄液を調べることで、脳に細菌やウイルスが感染していないか、炎症が起こっていないかなどがわかります。

髄液を取り出したあとはかなりの割合で頭痛が起きます。髄液が少し減ることにより、脳にかかる圧力が変わるためと考えられています。明らかに腰椎穿刺の関係が疑われる場合は硬膜穿刺後頭痛(こうまくせんしごずつう)と診断されます。

 

腰椎穿刺後の頭痛に対して、横になることと水分を取ることの効果を調べた研究を紹介します。

この研究は、過去に関係する内容で行われた研究の報告を集め、結果をまとめたものです。

研究班は文献データベースを2015年2月までの範囲で検索し、関係する研究報告を集めました。同じテーマの調査が2013年にも行われていましたが、以後に加わった報告も含めるよう改めて調査が行われました。

 

研究班は見つかった24件の研究の結果を詳しく調べ、統計解析を行いました。次の結果が得られました。

さらに、安静臥床はおそらく、直後から動くことよりも硬膜穿刺後頭痛を増やす(リスク比1.24、95%信頼区間1.04-1.48、参加者1,519人、12件の研究)。

腰椎穿刺の直後から動く場合に比べて、腰椎穿刺のあと横になっているほうが硬膜穿刺後頭痛の発生が多くなっていました

水分補給については次の結果でした。

重症の硬膜穿刺後頭痛の発生率に対して(リスク比0.67、95%信頼区間0.26-1.73、参加者100人、1件の研究)、また硬膜穿刺後頭痛の発生率に対して(リスク比1、95%信頼区間0.59-1.69、参加者100人、1件の研究)、流体補充に関連する利益がないことの低い質のエビデンスがあり、腰椎穿刺後のすべての頭痛の発生率に対して利益がないことの中等度の質のエビデンスがあった(リスク比0.94、95%信頼区間0.66-1.34、参加者200人、2件の研究)。

水分補給はしてもしなくても頭痛の頻度は同程度と見られました。

 

腰椎穿刺のあとは寝ているよりもむしろすぐ動いたほうが頭痛は防げるかもしれません。

この報告のように、かつて有効と信じられていたことが実は逆効果だったということも、医療の中ではときどき見つかります。実際に効果が出ているかを結果で確かめることが大切です。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Posture and fluids for preventing post-dural puncture headache.

Cochrane Database Syst Rev. 2016 Mar 7.

[PMID: 26950232]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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