2015.06.26 | ニュース

片頭痛が治りにくい人の特徴とは?減量の効果に表れた違い

減量プログラム参加者の調査から

from Pediatric obesity

片頭痛が治りにくい人の特徴とは?減量の効果に表れた違いの写真

片頭痛は原因が分からない時が多く、厄介な病気です。肥満のある人が減量すると片頭痛が治ることがあるのですが、片頭痛を抑制出来る要因は、良く分かっていませんでした。イタリアで片頭痛がある人に減量してもらい、片頭痛がなくならなかった人を調べたところ、肥満の度合いが強く、その結果血糖値を下げるホルモンであるインスリンの働きが悪くなっていた人(インスリン抵抗性)に片頭痛が多い傾向を見つけました。

◆減量プログラムに参加した112人を対象に調査

筆者らは以下の計画をデザインしました。

横断的デザインを用い、過去我々の減量プログラムを行った経験がある135人のうち112人を対象とした。頭痛の存続を元に、40人の片頭痛がなくなった人と72人の片頭痛が続いている人を比較の対象とした。参加者は身体測定と生化学的検査を行った。

つまり片頭痛に対する減量プログラムを受けた112人から、片頭痛が続いていた72人と片頭痛がなくなった40人に関し、各種パラメーターを調査しました。

 

◆片頭痛が治らない患者はインスリン抵抗性、高肥満の割合が多い

以下の結果を得ました。

片頭痛が続く患者は片頭痛が治まった患者より、高体重(P<0.01)、高BMI(P<0.01)、高胴囲(P<0.01)、インスリン抵抗性(P<0.001)、高トリグリセリド(P<0.05)、総コレステロール(P<0.05)、低密度リポプロテインコレステロール(P<0.05)であった。潜在予測因子間で、インスリン抵抗性のみが減量プログラム後の片頭痛持続と関連があった(オッズ比3.5、95%信頼区間1.4から6.1、p<0.001)。

つまり高体重の人や、血糖値を下げるホルモンであるインスリンを受け取る細胞が正常にインスリンに反応しない「インスリン抵抗性」を発症している人に、減量しても片頭痛が治らない場合が多い結果となりました。

2型糖尿病では肥満が原因になって、インスリンが分泌される量が減ったり、インスリン抵抗性が生じることによって、血糖値が下がりにくくなると考えられています。

著者らは「減量プログラムをおこなった肥満青年において、片頭痛が治らなかったのは高い肥満を示す患者だった。インスリン抵抗性であると片頭痛が持続するオッズが3.5倍高かった」と述べています。

 

インスリン抵抗性に伴い血中を流れる各種ホルモン組成が変わるので、その中に片頭痛をもたらす因子があるのかも知れません。もしそうだとすれば、この因子を見つければ片頭痛を治す薬を開発出来るかも知れません。今後の研究に期待したいです。

執筆者

高田

参考文献

Migraine and obesity: metabolic parameters and response to a weight loss programme.

Pediatr Obes. 2015 Jun

 

[PMID: 24990114] http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ijpo.245/abstract

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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