新型コロナワクチンとインフルエンザワクチン同時接種のメリット・デメリットとは? | MEDLEYニュース
2022.10.06 | コラム

新型コロナワクチンとインフルエンザワクチン同時接種のメリット・デメリットとは?

Dr. 伊東が伝えたいコロナインフル同時流行への備え
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(c) lembergvector-stock.adobe.com

2シーズン連続でインフルエンザの流行がなかったので、今年も流行しないだろうと考えている人が少なくないかと思います。しかし、9月21日に行われた「新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード」では、今年度は「インフルエンザの例年よりも早期の流行と、新型コロナウイルス感染症との同時流行が懸念される」との見解を示しています。

そのため、新型コロナワクチンの接種に加えて、インフルエンザワクチン接種が推奨されます。そのような中で、「ワクチンの同時接種と接種間隔」について疑問がある人も多いと思います。令和4年7月22日開催の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会において議論された結果、従来の新型コロナワクチン(オミクロン株対応ワクチン含む)は、インフルエンザワクチンとの同時接種が可能となりました[1]。さらに、インフルエンザワクチンと新型コロナワクチンの間隔に関する規定もなくなり、別々に接種する場合にも間をあけなくてよいことになりました(ただし新型コロナワクチンとインフルエンザワクチン以外のワクチンの同時接種については、現時点で安全性に関する十分な知見が得られていないため、実施できません。互いに、片方のワクチンを受けてから2週間後に接種できます)。

本コラムでは主に新型コロナワクチンとインフルエンザワクチン同時接種のメリット・デメリットについて解説します。

 

インフルエンザワクチンと新型コロナワクチンの同時接種および接種間隔について

参考文献:第33回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会資料「新型コロナワクチンと他のワクチンとの同時接種について

 

今年はインフルエンザの流行の可能性が高い

インフルエンザは例年冬に流行します。北半球での流行に先駆けて、季節が逆の南半球で日本の夏の時期に流行します。そのため、北半球の冬季のインフルエンザ流行の予測をするうえで、南半球の状況が参考になります。

オーストラリアは定期的にインフルエンザの流行状況を報告しています[1]が、2020年および2021年は、日本と同様にインフルエンザの発生は極めて少数でした。しかし、2022年は4月後半から報告数が増加し、例年を超えるレベルの患者数となっており、医療の逼迫が問題となりました。

日本は海外からの入国が緩和され、外国人観光客の入国が本格的に再開される見込みです。人的交流が増加すれば、国内へウイルスも持ち込まれると考えられ、今秋から冬には、オーストラリアと同様にインフルエンザが流行する可能性があります。

 

今シーズンのワクチン供給量は過去最多

そのような背景から、今シーズンはワクチンメーカーにより増産が図られています。今シーズンのインフルエンザワクチンの供給見込み量は約3,521万本、成人では約7,042万回分で過去最多です[2]。今年度は2020年度と同様にワクチンの出荷が早く、例年の接種開始日である10月1日時点の供給量見込み量は約1,670万本(成人では約3,340万回分)となっています。これは65歳以上の高齢者(約3,640万人)の約9割が1回ずつ接種できる量に相当します。インフルエンザワクチンを接種したいけど、すでに予約が一杯で接種できなかったという状況は今シーズンでは少なくなるのではと思います。

 

インフルエンザワクチン接種が特に必要な人

インフルエンザワクチンには次のような効果があることがわかっています。

 

インフルエンザワクチンの効果】

  • インフルエンザ発症を予防する効果
  • 入院リスクを減らす効果
  • 重症化予防効果
  • 集団予防効果(免疫を持つ人によって、免疫を持たない人も感染から守られる効果) など

 

また、65歳以上の高齢者、5歳未満の子ども、そして年齢には関係なく、持病がある人は、特にワクチン接種が必要です。詳細については過去のコラム「インフルエンザワクチンのメリット」を参考にしてください。

 

新型コロナワクチンとインフルエンザワクチン同時接種のメリット・デメリット

日本だけでなく、諸外国においては、概ね新型コロナワクチンと季節性インフルエンザワクチンの同時接種が認められています。

同時接種のメリットは、それぞれのワクチンのメリットのいいとこ取りと考えていただいて差し支えないです。同時に打つことでワクチンから得られるメリットが目減りするとは考えられていません。また、医療機関へ行くのが1回で済むので時間の節約にもなります。

デメリットというと、その有効性や安全性は大丈夫かということが気になるかと思います。ファイザー社、アストラゼネカ社、モデルナ社、武田社ワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種の有効性と安全性がすでに検討されています[4-6]。同時接種は単独接種に比べて抗体価の上昇に差はなく、お互いのワクチンが免疫に干渉することはありません。また、単独接種と比べ、インフルエンザワクチンとの同時接種で安全性の懸念は認められていません。

なお、新型コロナワクチンの追加接種のみ行った人とインフルエンザワクチンを同時接種した人と比べた研究では[7]、発熱や倦怠感などの全身反応はファイザー製が1.08倍、モデルナ製が1.11倍と報告されています。若干副反応が強くでる可能性があるものの、同時接種後の反応はたいてい軽微であり、差し控えるものではないと考えられます。

 

まとめ

インフルエンザは、新型コロナウイルス感染症と症状が類似しており、症状だけで見分けることは困難です。新型コロナにしても、インフルエンザにしても重症化リスクのある人は抗ウイルス薬の治療対象となりますので、医療機関への受診が必要となります。医療機関への負担を軽減し、必要な人に必要な医療が行き渡るように、ワクチン接種をぜひご検討頂けますと幸いです。

もちろん、手洗い、マスク、体調不良時は外出しないなどの基本的な感染対策の継続もよろしくお願いします。

 

参考文献

1. 新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種の有効性・安全性(第33回 厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会資料より抜粋)

2. Australian Government Department of Health. Australian influenza surveillance report No. 07, 2022.

3. 厚生労働省健康局予防接種担当参事官室.2022/23シーズンのインフルエンザワクチンの供給等について.

4. Lazarus R, Baos S, Cappel-Porter H, Carson-Stevens A, Clout M, Culliford L, Emmett SR, Garstang J, Gbadamoshi L, Hallis B, Harris RA, Hutton D, Jacobsen N, Joyce K, Kaminski R, Libri V, Middleditch A, McCullagh L, Moran E, Phillipson A, Price E, Ryan J, Thirard R, Todd R, Snape MD, Tucker D, Williams RL, Nguyen-Van-Tam JS, Finn A, Rogers CA; ComfluCOV Trial Group. Safety and immunogenicity of concomitant administration of COVID-19 vaccines (ChAdOx1 or BNT162b2) with seasonal influenza vaccines in adults in the UK (ComFluCOV): a multicentre, randomised, controlled, phase 4 trial. Lancet. 2021 Dec 18;398(10318):2277-2287.

5. Izikson R, Brune D, Bolduc JS, Bourron P, Fournier M, Moore TM, Pandey A, Perez L, Sater N, Shrestha A, Wague S, Samson SI. Safety and immunogenicity of a high-dose quadrivalent influenza vaccine administered concomitantly with a third dose of the mRNA-1273 SARS-CoV-2 vaccine in adults aged ≥65 years: a phase 2, randomised, open-label study. Lancet Respir Med. 2022 Apr;10(4):392-402.

6. Toback S, Galiza E, Cosgrove C, Galloway J, Goodman AL, Swift PA, Rajaram S, Graves-Jones A, Edelman J, Burns F, Minassian AM, Cho I, Kumar L, Plested JS, Rivers EJ, Robertson A, Dubovsky F, Glenn G, Heath PT; 2019nCoV-302 Study Group. Safety, immunogenicity, and efficacy of a COVID-19 vaccine (NVX-CoV2373) co-administered with seasonal influenza vaccines: an exploratory substudy of a randomised, observer-blinded, placebo-controlled, phase 3 trial. Lancet Respir Med. 2022 Feb;10(2):167-179.

7. Hause AM, Zhang B, Yue X, Marquez P, Myers TR, Parker C, Gee J, Su J, Shimabukuro TT, Shay DK. Reactogenicity of Simultaneous COVID-19 mRNA Booster and Influenza Vaccination in the US. JAMA Netw Open. 2022 Jul 1;5(7):e2222241.

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。