2017.11.14 | ニュース

免疫チェックポイント阻害薬アテゾリズマブは非小細胞肺がんに効く?

850人でドセタキセルと比較

from Lancet

免疫チェックポイント阻害薬アテゾリズマブは非小細胞肺がんに効く?の写真

アテゾリズマブ(商品名テセントリク®)はがん治療薬です。免疫チェックポイント阻害薬に分類されます。ある種類の肺がんに対する効果を試す研究が行われました。

免疫チェックポイント阻害薬とは?

免疫病原体に対する体の防御システム。何かのきっかけで、免疫が過剰反応している状態がアレルギーで、免疫が自分自身の体を攻撃してしまうのが自己免疫疾患チェックポイント阻害薬は体の免疫のしくみを利用して治療効果を現します。さらに細かい分類として、抗PD-1抗体白血球が作り出す、免疫の一部を担う物質。体内の病原体に付着して、他の免疫細胞の働きを助けたりするや抗PD-L1抗体が免疫チェックポイント阻害薬に含まれます。2017年11月時点で日本で承認されている免疫チェックポイント阻害薬の例として以下があります。

  • 抗PD-1抗体
    • ニボルマブ(商品名オプジーボ®)
    • ペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ®)
  • 抗PD-L1抗体
    • アベルマブ(商品名バベンチオ®)※未販売
  • CTX線(放射線)を用いて、体の内部を画像化して調べる検査LA-4抗体
    • イピリムマブ(商品名ヤーボイ®)

このうちニボルマブは「切除不能な進行非小細胞肺癌・切除不能な再発非小細胞肺癌」を効能・効果のひとつとし、以前に化学療法がんの治療の一種で、抗がん剤を使った治療の総称抗がん剤治療がんの治療の一種で、抗がん剤を使った治療の総称)を受けたあとの人に対して使用可能です。

ペムブロリズマブは「PD-L1陽性の切除不能な進行非小細胞肺癌・PD-L1陽性の切除不能な再発非小細胞肺癌」を効能・効果のひとつとしています。がん無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがある組織の検査で「PD-L1陽性」であることが重要になります。

アテゾリズマブは抗PD-L1抗体です。

 

化学療法後の非小細胞肺がんに対するアテゾリズマブ

多国籍の研究班が、アテゾリズマブの効果と安全性についての研究結果を医学誌『Lancet』に報告しました。

この研究は、アテゾリズマブをドセタキセル(商品名タキソテール®など)と比較しています。

ステージがん等の進行の程度を示す言葉。がんの場合、大きさや広がり、リンパ節転移の有無、他の臓器への転移の有無などで決定され、治療方法に影響するIIIBまたはステージIVの非小細胞肺がんの患者で、以前にプラチナ製剤を含む化学療法(抗がん剤治療)を受けている人が対象となりました。PD-L1陽性かどうかは区別せず参加可能とされましたが、効果判定のためにPD-L1の検査は行われました。

対象者はランダムに、アテゾリズマブを使用するグループと、ドセタキセルを使用するグループに分けられました。

効果判定のため、治療後の生存期間を比較することと決められました。

 

生存期間が延長

2グループ合計で850人の対象者のデータが解析されました。治療から次の結果が得られました。

ITT集団において、全生存期間はドセタキセルに比べてアテゾリズマブで改善した(全生存期間の中央値は13.8か月、95%信頼区間11.8-15.7 vs 9.6か月、8.6-11.2、ハザード比0.73、95%信頼区間0.62-0.87、P=0.0003)。

ドセタキセルを使ったグループでは、半数の人が9.6か月以上生存しました。アテゾリズマブを使ったグループでは、半数の人が13.8か月以上生存しました。アテゾリズマブのほうが統計的に生存期間が長いと見られました。PD-L1陽性の人でもそれ以外の人でも、アテゾリズマブがドセタキセルに勝る結果でした。

薬の副作用やその他の原因によって現れた症状などで、治療に関連すると思われ、かつ入院が必要な程度または命を脅かす程度のものは、アテゾリズマブのグループで15%、ドセタキセルのグループで43%の人に発生しました。ドセタキセルのグループで1人が治療に関連すると思われた呼吸器感染症何らかの病原体が引き起こす病気。細菌、ウイルス、真菌などが原因となることが多い。人から人へ直接うつらないものも含めた総称で死亡しました。

 

アテゾリズマブは非小細胞肺がんに有効?

非小細胞肺がんに対してアテゾリズマブを試した研究を紹介しました。

アテゾリズマブ製剤のテセントリク®は2017年11月に「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を効能・効果として承認了承されました。今後アテゾリズマブが、非小細胞肺がんに対する初の抗PD-L1抗体として治療選択肢に加わることが考えられます。

アテゾリズマブをどう使うかを検討するうえで、こうした研究のデータを参照することが助けになるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

Atezolizumab versus docetaxel in patients with previously treated non-small-cell lung cancer (OAK): a phase 3, open-label, multicentre randomised controlled trial.

Lancet. 2017 Jan 21.

[PMID: 27979383]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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