2017.09.22 | ニュース

キイトルーダ試験中止の余波、ほかの免疫チェックポイント阻害薬にも

ニボルマブ、デュルバルマブにも実施保留命令

キイトルーダ試験中止の余波、ほかの免疫チェックポイント阻害薬にもの写真

がん治療薬のペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ®)の臨床試験で死亡数が増えたことから、似た仕組みで働くニボルマブ(オプジーボ®)、デュルバルマブ(IMFINZI®)の試験にも実施保留命令が出されました。

免疫チェックポイント阻害薬とは?

ペムブロリズマブ、ニボルマブ、デュルバルマブはいずれも免疫病原体に対する体の防御システム。何かのきっかけで、免疫が過剰反応している状態がアレルギーで、免疫が自分自身の体を攻撃してしまうのが自己免疫疾患チェックポイント阻害薬に分類される薬剤です。日本ではペムブロリズマブとニボルマブが肺がんなどの一部の場合で使用可能となっています(デュルバルマブは未承認)。

最近行われていた臨床試験で、多発性骨髄腫の治療にペムブロリズマブを試していたところ、ペムブロリズマブを使った対象者グループのほうが死亡数が多くなったことから、試験が中止となりました。

関連記事:免疫チェックポイント阻害薬キイトルーダ、死亡者増で試験中止

多発性骨髄腫は血液系の細胞から発生するがん無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがあるです。

 

多発性骨髄腫に対するニボルマブの試験

ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)社が9月6日に出したプレスリリースによると、多発性骨髄腫に対してニボルマブを試していた臨床試験3件に対して、アメリカの規制当局である食品医薬品局(FDA)が部分的実施保留命令(partial clinical hold)を出しました。試験の中でニボルマブを使用中であり効果が出ている人はニボルマブを使い続けることができますが、新しい参加者の登録は中止されます。

 

多発性骨髄腫などに対するデュルバルマブの試験

アストラゼネカ社が9月7日に出したプレスリリースによると、デュルバルマブ(商品名IMFINZI®)をほかの薬剤と組み合わせて多発性骨髄腫慢性リンパ性白血病(CLL)、または悪性リンパ腫を治療する臨床試験5件に対して部分的実施保留命令が、1件に対しては完全実施保留命令(full clinical hold)が出されました。

完全実施保留命令が出された試験は、以前に治療されていない多発性骨髄腫の患者を対象に、デュルバルマブ、レナリドミド、デキサメタゾンの3剤(またはデキサメタゾンを除く2剤)を使用し、最適な用法・用量を決める試験(MEDI4736-MM-002試験)です。この試験に参加していた人はデュルバルマブを使う治療を中止されます。

 

ニボルマブ・デュルバルマブは大丈夫なのか?

上に挙げたFDAの命令は、ニボルマブやデュルバルマブのリスクが報告されたためではなく、ペムブロリズマブについて疑われたリスクからの類推によるものです。

ペムブロリズマブは2017年9月時点で、多発性骨髄腫に対しては保険診療の範囲内で使用されることはありません。すでに承認された使用目的については同様の規制がある臨床試験を通過して効果と安全性が確認されています。「思っていたより危険な薬だったのではないか」と考える必要はありません

同様に、ニボルマブも日本で承認され使用されていますが、保険診療の範囲内で使用する限り、すでに報告されている安全性情報が有効です。

FDAは臨床試験を安全に進めるための判断として一連の命令を出しています。対象となった試験以外にもニボルマブやデュルバルマブを試している臨床試験は続けられていますが、すべてが危険とみなされたわけではありません。

ほかの治療で十分な効果が得られない人にとって、新薬は新しい選択肢となる可能性があります。そのためにも、臨床試験は細心の注意を払って行われ、安全を第一として進められています。

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

トップ