足の爪の真菌症に対する飲み薬の効果
オーストラリアの研究班が、足の爪の真菌症に対する飲み薬の効果について調査を行い、結果を『The Cochrane Database of Systematic Reviews』に報告しました。
この研究は、文献を集めて吟味する方法によって、これまでの研究から得られているデータをまとめたものです。
調査対象として、飲み薬をほかの治療または有効成分のない偽薬と比較した研究を調べました。
テルビナフィンとアゾールが有効、グリセオフルビンは有害事象が多い
調査により、採用基準を満たす48件の研究が見つかりました。報告されていたデータから次の結果が得られました。
- テルビナフィンを使用した人では、偽薬を使用した人に比べて臨床的治癒に至った人の割合が6.00倍、真菌学的治癒は4.53倍になった(高い質の証拠)
- テルビナフィンを使用した人では胃腸症状、感染症、頭痛などが発生したが、偽薬を使用した人に比べて統計的に多いとは言えなかった(中等度の質の証拠)
- アゾールを使用した人では、偽薬を使用した人に比べて臨床的治癒が22.18倍、真菌学的治癒が5.86倍になった(高い質の証拠)
- アゾールを使用した人では頭痛、インフルエンザ様症状、吐き気が発生したが、偽薬を使用した人に比べて統計的に多いとは言えなかった(中等度の質の証拠)
- テルビナフィンのほうがアゾールよりも臨床的治癒または真菌学的治癒を達成する効果が高い(中等度の質の証拠)
- テルビナフィンとアゾールの有害事象のリスクに差はない(中等度の質の証拠)
- アゾールとグリセオフルビンは臨床的治癒または真菌学的治癒を達成する効果が同程度(中等度の質の証拠)
- グリセオフルビンはアゾールに比べて有害事象のリスクが高く、アレルギー症状などを起こす(中等度の質の証拠)
テルビナフィンはラミシール®などの商品名で日本でも使用されています。
アゾール系抗真菌薬に分類されるイトラコナゾールなどの薬剤も、イトリゾール®などの商品名で使用されています。
グリセオフルビンは2017年現在、日本では販売されていません。
臨床的治癒は見た目の症状が治まること、真菌学的治癒は検査で原因のカビが見つからなくなることを指します。
有害事象とは、薬の副作用やその他の原因により現れた症状などを指します。
水虫は飲み薬で治る?
足の爪の真菌症を治療する飲み薬についての研究を紹介しました。
水虫などの真菌症に対して飲み薬は効果を期待できる選択肢と言えるでしょう。飲み薬は皮膚科などの医療機関で処方されます。
ただし、飲み薬を使用した人でも、治癒に至らなかった人もいます。また、水虫は治療後に再発する場合もあります。再発させないためには足を清潔にして湿ったままにしないなどの注意があります。水虫の治療には根気が要ります。医師に相談して自分に合った治療法を探してみてください。
執筆者
Oral antifungal medication for toenail onychomycosis.
Cochrane Database Syst Rev. 2017 Jul 14.
[PMID: 28707751 ]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。