◆19か国22施設の調査
研究チームは、ヨーロッパなど19か国にまたがる22の施設で、それぞれ2009年1月から2011年1月の間の1年間に、患者にアスペルギルスの感染がないか、また見つかったアスペルギルスに薬剤耐性があるかを調べました。
◆3.2%が耐性菌
患者から計3,788回アスペルギルス属の真菌が見つかりました。そのうち最も多かったA. fumigatusという種類のもののうち、3.2%はアゾール耐性アスペルギルスでした。A. fumigatusに見つかったアゾール耐性の割合は、最も多い施設では26.1%にのぼりました。アゾール耐性アスペルギルスは19か国のうち11か国の患者から見つかり、アゾール耐性アスペルギルスによる感染症を起こしていた人が28人いました。
抗真菌薬には細菌に対する抗菌薬ほどの種類がありません。MRSAなどと同様、アスペルギルス感染を普通の薬で治療できなければ、治療の遅れや感染の蔓延にもつながりかねません。まだ3%にとどまっていると言っても、耐性菌が増えれば治療法の見直しが必要になるときが来るかもしれません。耐性菌を生み出した背景の調査と、適切な対策が望まれます。
執筆者
Prospective multicenter international surveillance of azole resistance in Aspergillus fumigatus.
Emerg Infect Dis. 2015 Jun
[PMID: 25988348]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。