2015.06.15 | ニュース

病気を起こすカビ、薬剤耐性が世界各国に

19か国中11か国で
from Emerging infectious diseases
病気を起こすカビ、薬剤耐性が世界各国にの写真
(C) science photo - Fotolia.com

侵襲性肺アスペルギルス症などを起こす真菌(カビ)のアスペルギルスは、家庭など普通の環境によく住みついています。健康な人にとって問題となることは少ないですが、がんの治療中など免疫が弱った状態の人には脅威となります。アスペルギルスの感染には主にアゾール系抗真菌薬という薬が使われますが、この薬が効かなくなったアゾール耐性アスペルギルスが世界各国に見つかることが、多国籍の研究チームから報告されました。

◆19か国22施設の調査

研究チームは、ヨーロッパなど19か国にまたがる22の施設で、それぞれ2009年1月から2011年1月の間の1年間に、患者にアスペルギルスの感染がないか、また見つかったアスペルギルスに薬剤耐性があるかを調べました。

 

◆3.2%が耐性菌

患者から計3,788回アスペルギルス属の真菌が見つかりました。そのうち最も多かったA. fumigatusという種類のもののうち、3.2%はアゾール耐性アスペルギルスでした。A. fumigatusに見つかったアゾール耐性の割合は、最も多い施設では26.1%にのぼりました。アゾール耐性アスペルギルスは19か国のうち11か国の患者から見つかり、アゾール耐性アスペルギルスによる感染症を起こしていた人が28人いました。


抗真菌薬には細菌に対する抗菌薬ほどの種類がありません。MRSAなどと同様、アスペルギルス感染を普通の薬で治療できなければ、治療の遅れや感染の蔓延にもつながりかねません。まだ3%にとどまっていると言っても、耐性菌が増えれば治療法の見直しが必要になるときが来るかもしれません。耐性菌を生み出した背景の調査と、適切な対策が望まれます。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Prospective multicenter international surveillance of azole resistance in Aspergillus fumigatus.

Emerg Infect Dis. 2015 Jun

[PMID: 25988348]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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